皮膚の皮がむけたり、水ぶくれ(水疱)ができたり、皮膚が赤くヒリヒリするような日焼けをした後はシミ、色素沈着が現れやすくなります。
特に、普段から紫外線に慣れてない生活をしている人ほど、日焼け後に色素沈着を起こしやすい傾向がありますが、強い日差しを浴びた後は適切な処置をすることでシミ・色素沈着を予防することができます。
日焼け後のスキンケア対策
強い日焼けした後はとにかく冷やす
日焼けといっても基本的に火傷(やけど)と同じ状態になっています。
やけどしたらすぐに冷水で冷やすと良いと言われるように、日焼けの場合もとにかく冷水で冷やして皮膚の炎症、ほてりを抑えることが重要です。
冷やす方法は、全身にわたる日焼けの場合は水風呂が理想的です。
シャワーでも十分です。冷やす時間は一回10~15分ほどで、日焼け当日は数時間おきに数回繰り返します。
日焼けしてからできるだけ早く冷やすほうがダウンタイムを抑制できます。
なお、氷や保冷剤などを使って長い時間にわたって冷やしたりすると、かえって皮膚が冷えすぎてしまって再生力が低下してしまうことがあります。やりすぎると冷たさによる接触皮膚炎を起こすことも。
日焼け後の肌は冷水やビニールに入れた氷水などで冷やすのが理想です。
強い日焼けした後は赤みが引くまで熱いお風呂には入らない
日焼け後に熱いお風呂やシャワーを浴びたりするような皮膚を温める行為は、さらに炎症が悪化してしまう原因になります。
それまで赤みやヒリヒリ感だけだったのが、お風呂に入ったら水ぶくれがポツポツとでてくることがよくあります。
入浴の際は冷水~ぬるま湯で簡単に汚れを落とすようにし、肌に刺激を与えないようにしましょう。
そして、当日から3~5日くらいは温かいお湯につかるようなことはしないほうがいいです。
また、カラダを洗う時にも、ナイロンタオルでゴシゴシ洗ったりしないようにし、手洗いで優しく洗うようにしましょう。
日焼けの度合いによっては石鹸などが刺激になることがあり、その場合は石鹸を使用せずに水洗いのみにしましょう。
水分補給も重要
強い日焼けはヤケド状態と同じようなもの。
例えば、皮膚の広範囲をヤケドした場合、組織の修復のためにより多くの水分が必要となりますが、日焼けにおいても同じように、より多くの水分摂取が必要となります。
水分が不足するとヤケドの回復が遅れたり、だるさが大きくなって体調を崩したりします。なので、普段よりも30~50%くらい多めに水分をとって下さい。
日焼け後の水ぶくれ(水疱)は潰さない
強い日焼けをすると、水ぶくれ(水疱)になってしまうことがありますが、水ぶくれの中には、傷ついた皮膚のダメージを修復する天然成分が含まれているため、潰さないようにしましょう。
患部を湿潤状態に維持することで、より早くキレイに治ります。(湿潤療法:モイストヒーリング)
また、自己判断で水ぶくれを潰してしまうと、そこから細菌感染により炎症が悪化してしまうケースもあります。細菌感染を起こすと化膿しやすいです。
なお、水ぶくれができるということは、皮膚の深い部分がダメージを受けている証拠ですので、自己判断よりも皮膚科医に診てもらって薬を処方してもらったほうがいいかもしれません。
日焼け後の肌は化粧水で保湿する
紫外線を多く浴びた肌は、紫外線ダメージにより水分不足に陥っています。
紫外線によって皮膚細胞も傷ついているため、セラミドやヒアルロン酸、天然保湿因子(NMF)などの潤い成分を作り出す能力も低下しています。
そのため、日焼けした後の肌はしっかりと冷水で冷やして、その後は化粧水などで保湿をして肌の再生力を促してあげましょう。刺激性の少ない化粧水が理想的です。
さっぱりタイプの化粧水の中には、エタノールのような肌を乾燥させる成分が多く含まれていることがありますので、しっとりタイプの化粧水のほうが良いと思います。
ワセリンで湿潤状態をつくる
肌がダメージを受けた場合は、湿潤療法といってワセリン(白色ワセリン、サンホワイトなど)を使って皮膚を保護し、湿潤状態をつくってあげると肌の回復が早まります。
ワセリンがあれば家庭でも治療できます。また、ワセリンを塗った後にサランラップなどでさらに湿潤状態を高めると、より効果的です。
ニベアクリームなどでもいいと思います。
ただし、夏場に皮膚にラップをしていると、あせもを引き起こす可能性もあります。
マッサージなどの肌を活性化させるようなことはしない
日焼けがある程度おさまった後に、肌の再生を促したいとしてマッサージなどを行う人がいますが、日焼け後に肌を活性化させるような行為は、かえって色素沈着をまねいてしまうことがあります。
赤みが引いてからも炎症が残っていることがあるため、あまり刺激を与えないようにすることが基本です。
カサブタになっても無理に剥がさない
日焼け後の肌がカサブタになることがありますが、それを無理に剥がさないで下さい。
保湿しながら自然に剥がれるのを待ちます。
日焼け後の症状がひどい場合は皮膚科へ受診
ひどい日焼けをした後は、皮膚の赤みやほてりだけではなく、疲労感、体のだるさなどの症状が出る場合があります。
全身の日焼けというのは全身をヤケドした状態と同じであり、ヤケド状態を回復させるために必要以上に体が酷使されて、疲れ、だるさなどを感じることがあるのです。
また、日焼け後の水ぶくれ(水疱)やびらん形成が広範囲に及ぶ場合には、ヤケド治療と同じように入院治療(点滴治療)が必要になることがあります。
広範囲にわたって日焼けした場合は、極端に免疫が低下して感染症などを引き起こしやすくなったりするので、日焼けのレベルがひどい場合は自己判断でケアするより病院を受診したほうがいいでしょう。
ただ、お医者さんが適切な処置、アドバイスができるかどうかはまた別の話しです。(筆者の経験上、わりとテキトーな医師は多いものです)
日焼けに対して皮膚科で処方される外用薬
白色ワセリン(プロペト)
軽い日焼け程度であれば、プロペトという白色ワセリンが処方されることが多いです。
日焼け部分を化粧水などで保湿するとしみたりすることがありますが、ワセリンならば皮膚表面をコーティングするだけなので、刺激を受けることはほとんどありません。
なお、ワセリンはドラッグストアなどでも購入できます。いろいろ種類があると思いますが最も純度が高いサンホワイトが有名です。(精製技術が高くなっているので、どのワセリンでも不純物を気にせず安心して使えるはずです)
非ステロイド性の消炎剤
炎症を早めに抑えるために、消炎薬が処方されることが多いです。処方薬としては、スタデルム軟膏、ベシカム軟膏、フエナゾール軟膏などがあります。
それらはステロイドではないので、ほとんど副作用を気にせず使うことができるはずです。
市販薬ではスキンセーフAPクリームがおすすめ
市販薬でもよい消炎薬があります。スキンセーフAPクリームという塗り薬です。
炎症を大きくする物質を抑制し、日焼けによるダメージの回復を早めます。ステロイドではないので塗り続けて大丈夫です。
ステロイドが必要な場合
症状がやや強い場合はステロイドが処方されることもあると思います。ロコイド軟膏やキンダベート軟膏というお薬が有名です。
また、ロコイドをワセリンで希釈(薄めること)して処方されたりします。
ただし、ステロイドは優れた消炎作用がある一方で、皮膚のダメージの回復を悪くしてしまう問題もあるので、限定的に使う必要があります。
使用期間は1~3日程度が理想です。ずっと使い続けてはいけません。
抗生剤の塗り薬が処方されることがある
日焼けによってポツポツとできた水ぶくれがつぶれたりしている場合、黄色ブドウ球菌などの病原性が強い細菌による感染を防ぐためにワセリンと一緒に抗生物質の軟膏が処方されることがあります。
アクアチム軟膏、ゲンタシン軟膏などの刺激性が低い抗生剤が有名です。ワセリンと抗生剤の軟膏の塗る順番は、どちらが先でも問題ないです。
イブプロフェンが日焼けの悪化を予防してくれる
飲み薬としては、風邪薬などにも含まれるイブプロフェンが効果があります。
その成分は消炎作用があり、素早く炎症の悪化を予防してくれます。風邪の症状だけではなく、あらゆる炎症性疾患に効果があります。
サンバーンによる炎症、赤みやヒリヒリ感を予防し、その後の色素沈着も抑えてくれる効果が期待できるはずです。
処方薬としてはブルフェンというお薬があります。
また、イブプロフェンはドラッグストアなどでも購入できます。なお、その成分だけが含まれるイブ錠がおすすめです。
そして、ロキソニン(ロキソプロフェン)でも効果があります。ただし、「炎症抑制」が目的の場合はイブプロフェンのほうが効果が高いようです。
シミになるとどうなる?
日焼け後の水ぶくれが跡になるとどうなるのか。写真がその状態。
肩に水ぶくれができた後に発生するしみで、医学的には花弁状色素斑(かべんじょうしきそはん)といいます。
これは主に海水浴などの非常に強い紫外線を浴びた後にできるものです。リゾート地なんかで発生することも多く、そのためアフターケアが遅れてしまって跡になってしまうことが多いです。(後悔する人も多いのだとか・・・)
日焼け後のシミはレーザーで消せる
日焼け後のシミはレーザーで薄く消せることができます。昔と違って現在では良いレーザーが登場しています。
シミ悪化のリスクを抑えながらシミをじょじょに薄くしていくことができるレーザーもあります。
なお、レーザー治療は発生してから半年以上経過してから行って下さい。
簡単なまとめ
日焼け後の色素沈着を抑えるためのまとめ。
- できるだけすぐに冷やす。いかに早く冷やせるかが勝負。とにかく冷やす。寝る前も冷やす。
- 栄養をしっかりとり、水分も多めにとる。
- 数日は絶対に温めない。お湯につからない。
- 冷やしながら保湿する。肌水分量を高めることで回復が早くなる。
- 症状がひどい場合は病院を受診。
- 病院に行くほどではない場合は市販薬のスキンセーフAPクリームがおすすめ。
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