医薬品、医薬部外品、薬用化粧品の違いとは?

化粧品は、美容や皮膚の健康維持を目的として製造されて消費者に販売されます。

皮膚障害や皮膚の美容と健康を維持する製品には、医薬品、医薬部外品、薬用化粧品がありますが、それぞれ異なる分類として扱われます。

医薬品と医薬部外品の違い

医薬品とは?

医薬品(いやくひん)とは、医薬品は厚生労働省から承認された、服用、外用、注射などによって人間の様々な疾患に対して診断、予防、治療などの効果を発揮する薬品をいいます。

「医療用医薬品」と、薬局・ドラッグストアで購入できる「一般用医薬品(OTC医薬品)」とに分けられます。

医薬品とされるお薬の例でいうと、塗り薬の場合は、抗生物質やステロイドが配合されたものです。例えば、有名な外用薬でいえばフルコートF、ドルマイシン軟膏、テラコートリル軟膏なども医薬品の部類に入ります。

ニキビ治療薬などにおいては、オロナインH軟膏、ピンプリットなども医薬品です。

医薬部外品とは?

医薬部外品(いやくぶがいひん)とは、薬事法に定められた医薬品と化粧品の中間的な分類で、医薬品ほどではないが人に対しての作用が緩和なものをいい、厚生労働大臣が認めた有効成分が配合されています。ただし、医薬品ではないので配合される有効成分には制限があります。

そして、医薬部外品は、製品として表示できる効能に制限があります。

薬用化粧品とは?

薬用化粧品(やくようけしょうひん)は、薬用効果がある化粧品類似の製品で、薬事法において化粧品ではなく医薬部外品に該当します。市販されている化粧品の中には「薬用化粧品」と表記されているものがありますが、医薬部外品として扱われます。

つまり、「薬用化粧品=医薬部外品」ということです。

医薬部外品として認められている美白成分

美白成分には多くの成分が存在しますが、医薬部外品として厚生労働省から認められている成分は特に美白効果が高いとされます。医薬部外品指定成分として認可されてる美白成分には、以下のようなものがあります。

ビタミンC誘導体

ビタミンC(アスコルビン酸)に別の物質(例えばリン酸基など)を結合させて安定と皮膚への吸収率を高めた成分です。

アルブチン

植物の苔桃(こけもも)から抽出される成分。一般的にはβ-アルブチンといわれる。誘導体のα-アルブチンもあり、β-アルブチンの10倍ものメラニン抑制効果があるといわれます。

コウジ酸

コウジ酸とは、麹菌がグルコースなどの糖を発酵させることによって生成される麹菌由来成分で、麹を扱う酒蔵で働く人の手が白くなることから注目されるようになった美白成分です。

エラグ酸

エラグ酸とは、イチゴ、ラズベリー、クランベリー、ブドウ、ザクロなどの果実に含まれるポリフェノールの一種で、強い抗酸化作用をもつ成分です。

ルシノール

モミの木に含まれる成分に着目して開発された成分。化学名は「4-n-ブチルレゾルシノール」といいます。

リノール酸

サフラワー油などの植物油から抽出される美白成分。メラニンを合成するチロシナーゼを阻害し、美白に導きます。

カモミラエキス

カミツレエキス(カモミラET)とは、キク科の植物カミツレ(英語:カモミール)の花から抽出されたエキスです。優れた美白効果と抗炎症作用(消炎効果)があり、メラノサイトを活性化させるエンドセリンを抑制します。

トラネキサム酸

メラニンを作り出す情報伝達物質の働きを抑制し美白に導く効果と、抗炎症作用による肌荒れ防止効果をあわせ持つ成分です。肝斑治療に有効とされます。

マグノリグナン

マグノリグナンとは、モクレン科植物ホオノキの樹皮などに多く含まれている「フェノール性二量体」という構造をもつ天然化合物(ポリフェノール)の美白効果に着目して開発された成分です。

プラセンタエキス

豚や馬などの胎盤から抽出される成分です。チロシナーゼ酵素阻害作用や成長因子を含み、ターンオーバーを促します。

4MSK

シミの部位で引き起こされるターンオーバー異常を正常化する成分です。

上記の成分が配合され、医薬部外品と表示がある化粧品には、それらの成分が一定濃度配合されています。

美白化粧品はいろいろ成分が多くてよくわからないという人は、医薬部外品であるかどうかを目安にするのも一つの方法です。

なお、上記の美白成分の中では、ビタミンC誘導体、トラネキサム酸(肝斑治療)などがよく使用されます。それらの成分は美容皮膚科やエステサロンでもニキビ治療や肝斑というしみ治療に多用されます。

また、カミツレエキス(カモミラエキス)は美白効果の他に消炎作用もあるので、美容クリニックやエステなどでなんらかの施術を行った後のクールダウン成分として使用されることがあります。

化粧品選びのポイント

医薬部外品であっても、そうでなくても化粧品は人によって効果の現れ方が異なるといいます。厚生労働省が認めた美白成分だからといって一概に万人に有効だとは言えないのです。美白コスメを選ぶ基準は以下のようなものが重要だと考えられます。

  • 色々な成分がアレコレ含まれてなく、有効成分とシンプルな成分で構成されている。
  • 有効成分の浸透が良いこと。(水溶性成分であればベタベタしない化粧品が有効です)。
  • シミの症状と有効成分が合っていること。(例えば、肝斑にはトラネキサム酸、炎症後色素沈着にはビタミンC誘導体など、しみの症状によって理想的な有効成分が異なります)。
  • 無香料、無着色料、無鉱物油であること。(長く使い続けるには余計な成分はいりません)。