シミや色素沈着、ほくろなどは皮膚だけではなく目・眼球にも発現することがあります。
眼球の白目にできる茶色の濃いシミは結膜母斑(けつまくぼはん)という症状で、大きくなると目立つことがあります。
結膜母斑は特に病気ではありませんが、瞳にシミがあると顔の印象が変わってしまうこともあるため、治療を考える人も少なくありません。
今回は、その結膜母斑という眼球のシミの原因と予防法、治療方法などを解説していきます。
結膜母斑の原因と特徴
症状の色や形状
結膜母斑という眼球のシミは、大きさは数ミリほどで、茶色がかった色をしています。多くの場合は平らなしみですが、まれにホクロのように盛り上がりがあるシミもあります。
盛り上がりがあるものは目に違和感があり、瞬きするたびにゴロゴロしたりします。
発生するところ
結膜母斑は、眼球の白い部分に発生しやすいです。そして、シミは特に黒目から外側(こめかみ側)に発生しやすい傾向があります。外側の白目にポツンとできたシミは、横顔や角度によって目立つことがあります。
目のシミの原因は?
結膜母斑という白目のシミの原因は、基本的に肌にできるシミやほくろと同じように、紫外線や加齢、または体質的な要因などによって発生します。
その中でも紫外線は、肌のシミと同じように悪化原因の大きな要素であり、特に目が炎症を起こしている時に強い紫外線を浴び続けたりすると、結膜母斑が現れる可能性が高くなります。
他には、目をこすったりすることなどの物理的な刺激や、目を酷使することでも発生リスクが高くなるといえます。そして、目のシミは、日本人を含む東洋人に発現しやすい傾向があります。
眼球にしみがある人はわりと多く、芸能人でも眼球にしみがある人は写真撮影の時は修正されて眼球のしみを消したりするそうです。
自然に治る?
眼球のシミは基本的に自然には治りません。目薬などでも改善しません。目のシミを治すにはレーザー治療や手術が効果があります。
なお、目薬などにはビタミンA、ビタミンEといったシミに効きそうなビタミンが入っていますが、それでも効果はないです。美白剤でも効果はないです。
例えば、皮膚にできるホクロにビタミンを塗ってもホクロが薄くなったりしないのと同じことです。
治療の必要性は?
結膜母斑があってもほとんどの場合は視力には影響はない単純なしみです。肌にあるシミと同じようなものなので、結膜母斑は見た目を気にしない場合は積極的に治療する必要はありません。目の病気ではないため心配しないで下さい。
ところが、色素沈着が強い場合は、ごくまれに緑内障や眼底疾患などの合併症が生じることがありますので、一度検査してもらうと良いかもしれません。また、盛り上がりが強いものも病院で診てもらって下さい。
眼球ではなく、まぶたにできたシミは悪性化しやすいので、眼科医から早めの治療をすすめられることもあります。
結膜母斑と似ている目の病気
黄色いシミは瞼裂斑という症状
結膜母斑と似た症状に瞼裂斑(けんれつはん)という症状があります。瞼裂斑は、眼球の結膜が分厚く盛り上がることで発生する黄色いシミです。結膜母斑と似ていますが違う症状です。
瞼裂斑は、紫外線やコンタクトレンズ(特にハード)などの影響で眼球に負担がかかることで発生しやすくなります。特に鼻側の白目に発生しやすい傾向がありますが、耳側や両側にできることもあります。
瞼裂斑が炎症を起こした瞼裂斑炎の場合、点眼治療が基本です。抗アレルギー薬や、非ステロイド性消炎薬、またひどい場合はステロイド点眼が眼科から処方されます。それらの治療は保険適応です。
結膜腫瘍の場合もある
盛り上がりがみられるのは結膜母斑ではなく結膜腫瘍という症状の可能性があります。結膜腫瘍には、良性のものと悪性のものがあります。
結膜腫瘍を治す場合はレーザーではなく手術となります。結膜腫瘍の手術は熟練した医師に行ってもらって下さい。慣れていない医師が行うと後遺症が残ることもあります。結膜腫瘍は保険適応です。
目・眼球のしみ(結膜母斑)の治療方法
結膜母斑は、平らな場合はレーザー治療によって消すことができます。
何度もレーザーを受けないといけない場合もありますが、ほとんどの場合は1回でシミはとれます。また、やや盛り上がりがあるシミの場合は、レーザーだけでは難しいため手術によって切り取ります。
レーザー治療後は紫外線対策が必要で、1週間から1か月くらい充血が続くため、生活や仕事に余裕がある時に行って下さい。
そして、眼球の平らなシミに対するレーザー治療には保険はききません。自由診療です。治療費用は10万円くらいかかります。
また、目に盛り上がりがあるしみが発生している場合は、保険適応になることがあります。詳しいことは医師に診てもらっていろいろ尋ねてみて下さい。
そして、眼球のようなデリケートな部分へのレーザー治療にはリスクがあることを覚えておいて下さい。
そもそも、目のシミ(結膜母斑)に対してレーザー治療を行っている眼科はとても少ないです。基本的に眼球のシミは、見た目を気にしなければ問題になることはないため、病院では「皮膚のシミと同じだから何もしなくても大丈夫」などといわれることが多いです。
飛蚊症という後遺症が現れることもある
目のシミにレーザー治療を行うことで飛蚊症(ひぶんしょう)という症状が発生することがあります。
飛蚊症は、視界に蚊が飛んでいるように見える症状です。多くのケースでは目の中の硝子体(しょうしたい)がにごることで発生します。
眼球へのレーザー治療による飛蚊症の場合は、レーザーによって炎症が起こって硝子体が濁ってしまうことや、目の中で出血を起こして血液が硝子体の中に入ることで飛蚊症として感じるようになることが原因として考えられます。
そして、眼球へのレーザーによる飛蚊症は、基本的に炎症や出血が再発しない限り、時間の経過と共に回復していきます。
ただし、硝子体は循環が悪い部分なので時間がかかることがあります。レーザーによる目のシミ消し治療はノーリスクで行えるものではないことを覚えておいて下さい。
大きな眼球のしみは手術
大きくなった眼球のシミや盛り上がったシミを治療する場合、レーザーよりも手術が適しています。
茶色くなった部分を取り除くだけですが、手術を受けると目に傷跡が残ってしまう可能性もあります。このあたりは医師の技術が重要となります。
目のシミを予防するには?
眼球の白目のシミを予防するには、紫外線を浴びないことが大切です。目のシミにおいても皮膚と同じように紫外線で発生、悪化するようになるためです。
特に強い日差しの時は、サングラスを着用したり、メガネを着用すると良いです。普通のメガネにもUVカット効果があります。
他にも、目をこすったりしないことも大切です。目の充血、目の疲れを起こさないようにすることも目のシミの予防につながります。
コンタクトレンズは紫外線予防効果がある一方で、眼球に刺激を与えてしまう欠点もあります。
必要な人は目に優しいソフトコンタクトレンズが理想です。そして、できるだけメガネに代えて眼球に負担を与えないようにしましょう。
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