紫外線によるシミや、ニキビなどによる色素沈着を薄くするには一般に美白化粧品が有効だとされます。
ただし、厳密にはシミには様々な種類があり、美白化粧品で改善できるシミとそうでないものがあります。
今回は、美白成分が効くシミの種類を解説。
美白化粧品で取れるしみ
一般に、境界線がはっきりとしていないモヤモヤとした色素沈着は美白化粧品によって効果が期待できることが多いです。
老人性色素斑(日光黒子)
老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)とは、紫外線の影響や肌老化の影響によって引き起こされる一般的なシミです。
紫外線による影響が強いことから日光黒子(にっこうこくし)とも呼ばれます。
紫外線に当たるところに発現しやすく、特に顔面の頬のあたりにできやすい傾向があります。また、手の甲にも発生しやすいです。
境界がはっきりしていて円形状の形をしており、しだいに濃くなっていくことがあります。
そして、肌老化の進行とともに脂漏性角化症という盛り上がりのあるシミになることがあります。
老人性色素斑は、美白化粧品でわずかに改善できる可能性があります。また、美白コスメを使い続ける事で老人性色素斑の予防に役立ちます。
なお、シミが大きくなったものや、濃くなったものは美白化粧品での改善は難しいです。ハイドロキノンという美白剤を使っても上手に消すことは難しいと思います。
そして、濃いシミにはレーザー治療や光治療が有効です。
肝斑(かんぱん)
肝斑とは、主に顔の両側の頬骨あたりに左右対称に発生するモヤモヤとした女性特有のシミです。斑点が肝臓のような形状をして現れることから肝斑と名づけられています。
肝斑は、女性ホルモンのバランスが変化することで発生すると考えられており、30代以降の女性に発生し、妊娠期、経口避妊薬(ピル)を服用時にも発現しやすくなります。
この肝斑にも美白成分が有効だとされます。特にトラネキサム酸やビタミンC誘導体などの美白剤が高い効果があります。
また、従来は肝斑にはレーザー治療は厳禁だとされていましたが、レーザートーニングという皮膚に対する負担が少ないレーザーの登場により、肝斑に対するレーザー治療も効果を得られるようになっています。
炎症性色素沈着
炎症性色素沈着は、ニキビ、虫さされ、毛包炎、擦り傷、切り傷などが治った後に、茶色くシミとなって残ったものをいいます。
皮膚の炎症によってメラニン色素が生成され、炎症の赤みが引いた後にメラニンだけが残ってしまった状態です。日焼けすることで色素沈着は悪化します。
炎症性色素沈着には美白化粧品が非常に有効です。特に、ビタミンC誘導体、ハイドロキノン、トラネキサム酸などは高い効果があります。
炎症後色素沈着は何もしなくても数年経過すると薄く消えていくことが多いですが、強い炎症の場合や、加齢によってターンオーバーが低下していると自然には消えにくいことがあります。
美白化粧品で取れないしみ
そばかす(雀卵斑)
ソバカスは、小さくて薄いシミが主に顔の中心部分から頬にかけて散在する遺伝性の色素斑をいい、「雀卵斑(じゃくらんはん)」ともよばれます。
日本人には少なく、白人種に多く発生することで知られています。そばかすが多い人は、肩から胸元などにも発生することがありますが、そういったケースは日本人では極めてまれです。
そばかすは遺伝性のシミであるためなのか、美白化粧品では効果が得られないことがほとんどです。ただし、ソバカスの予防と悪化には美白化粧品で効果があるとされます。
ソバカスを消すには美白化粧品よりもレーザー治療や光治療が適しています。
脂漏性角化症(老人性疣贅)
脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)とは、シミの部分が盛り上がってイボのような状態になったものをいいます。老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい」ともよばれます。
主に顔や手の甲に発生しやすく、紫外線によって肌細胞に異常が起きることで発生すると考えられています。単純に老化によるものだともいえます。
脂漏性角化症は皮膚の形態が変化することで発生すると考えられ、美白化粧品では基本的に効果は得られません。
このシミを消すには、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)やエルビウムヤグレーザーでイボを削る方法や、液体窒素による凍結療法などの治療が適していますが、それでも若干は治療の跡が残ってしまうことがほとんどです。
光線性花弁状色素斑
光線性花弁状色素斑(こうせんせいかべんじょうしきそはん)とは、強力な日焼けによって水ぶくれを起こした後に発生するしみです。
花びらが散ったような形状で現れることからこの名がづけられています。主に海水浴などの海のレジャーなどで発生しやすいです。
水ぶくれを起こすような日焼けは、皮膚の深い部分にまでダメージが及んでいて、同時に表皮でつくられたメラニンが真皮層に入り込んでいたりするため、自然には治りにくい傾向があります。
皮膚の深い層における色素沈着なので美白化粧品では改善は難しです。
なお、この色素沈着を消すには、Qスイッチレーザーが有効です。レーザー治療によってキレイに治すことができる可能性があります。
ただし、こういった炎症性色素沈着は、レーザーによってかえって悪化する可能性もあります。
よくわからない場合は皮膚科医に相談してみましょう。
後天性真皮メラノサイトーシス
後天性真皮メラノサイトーシスは、顔の両頬にできる点状のアザです。主に思春期から中年の女性に発生しやすいことで知られています。
発生原因は、遺伝性や加齢、ホルモンバランスの崩れなどといわれますが、詳しくはよくわかっていません。
この症状は、単なるシミではありません。表皮性の色素性病変ではなく真皮性のものであるため、やはり美白剤の効果はないです。
治療はQスイッチレーザー(ルビーレーザーやヤグレーザー)が適しています。
太田母斑
太田母斑は、目のまわりから頬、ひたいに生じる、やや青みがかかったあざです。
そのあざもメラニン色素によるものですが、そのメラニンは表皮の下にある真皮層に定着しているものなので、美白化粧品の効能が及びません。
また、肩から腕にかけてのあざは伊東母斑といわれたりしますが、それも真皮性の色素性病変なので、美白成分の効果はありません。
そして、治療はQスイッチ・ルビーレーザーや、Qスイッチヤグレーザーなどがあります。
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