ニキビは性ホルモンの分泌が活発になる思春期によく発生しますが、大人になっても条件がそろえばニキビはできます。
そのニキビは一般に皮脂量が増加するほど発生しやすくなりますが、皮脂は男性ホルモンなどの影響が大きく関与していると考えられています。大人ニキビにおいても男性ホルモンが原因となっている可能性があります。
男性ホルモンとは?
男性ホルモンには、特に男性に多く分泌される性ホルモンの一つです。男性ホルモンはバイタリティーをもたらしたり、筋肉の合成を高めたり、精子を作り出す働きなどの男性らしい身体に導く作用があります。
一方、肌においては皮脂腺に働いて皮脂分泌を促す働きがあり、それによってニキビができやすくなる原因にもなります。
また、男性ホルモンは角化異常(皮膚を厚くする現象)やキメを荒くする作用もあるといわれています。
男性のほうが女性よりも肌が脂っぽくてニキビができやすいのは、男性ホルモンの分泌量が多いことが主な要因です。
女性ホルモンにも男性ホルモンが分泌されている
男性ホルモンは男性にだけに分泌されている性ホルモンだと思いがちですが、女性にも男性の10~20%ほどの男性ホルモンが分泌されています。
また、女性スポーツ選手などにおいては一般男性と同程度の男性ホルモン(血中フリーテストステロン)が分泌されている人もいるようです。
女性には生理周期によってエストロゲンとプロゲステロンの2種類の女性ホルモンが大きく変化しますが、男性ホルモンの分泌量は大きく変化することなく一定量を保っています。
そして、女性における男性ホルモンの分泌量は10代後半から20代前半をピークにしだいに低下していきます。これは男性も同様です。
ニキビができやすい女性は男性ホルモンの分泌が多い?
肌が脂っぽくてニキビができやすい女性は男性ホルモンの分泌量が比較的に多い傾向があるといわれています。
大人のニキビがアゴやフェイスラインなどの男性のヒゲが生える部分にできやすいことから、男性ホルモンが大きく影響しているのではないかといわれています。
実際に、大人のニキビに悩む女性は、働く女性やストレス・イライラを抱えている女性が多く、男性ホルモンの血中濃度がやや上昇しているという報告もあります。
男性ホルモンには皮脂分泌を促したり角化異常を引き起こす作用があるため、それが増加すると男女関係なくニキビ肌荒れを引き起こす可能性があります。
ただし、男性ホルモンの分泌量が多くても必ず肌が脂っぽくなったり、ニキビができやすくなるというわけではありません。男性ホルモンの感受性や皮脂腺の発達レベルなども関係します。
ストレスによって男性ホルモンは増加する
ストレスやイライラを感じると、ストレスを処理するために副腎皮質ホルモンというホルモンが分泌されます。そして、その副腎皮質ホルモンと同時に男性ホルモンも分泌されます。
そのため、ストレスやイライラが続くと男性ホルモンの分泌が増加して皮脂分泌が増加し、ニキビが悪化してしまうことがあるようです。
大人のニキビの原因の一つがストレスやイライラだといわれています。また、落ち込み型のストレスでは生理機能が低下して女性ホルモンの減少をまねくようになり、にきびをまねいてしまいます。
女性は生理周期によって皮脂量が変化する
女性は生理周期によって、肌質が大きく変化することがあります。それはエストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンの変化によるものです。
生理が終わって排卵期までの期間はエストロゲンという女性ホルモンが多く分泌されます。この時期は皮脂分泌が減少してニキビ肌荒れが少なくなります。
肌のキメが整ってキレイに見えるようになります。また、人によってはこの時期にいつもよりも肌の乾燥を感じることもあります。
一方、排卵期が終わって生理までの時期はプロゲステロンという女性ホルモンの分泌が高くなります。このプロゲステロンには、皮脂を増加させる働きがあるとされ、この時期に肌が脂っぽくなってにきびができやすくなることがあります。
よく生理前にニキビができやすくなるといわれますが、プロゲステロンが影響していると考えられています。男性ホルモンそのものの影響に限らず、女性ホルモンの影響によっても大人ニキビが発生してしまうことがあるようです。
女性における男性ホルモンを抑える治療法
ピルが大人ニキビに効果的
女性の大人ニキビがなかなか治らない場合は、ピルを服用することで改善に向かうことがあります。
ピルは一般に経口避妊薬として認識されていますが、ホルモンバランスをコントロールする働きにより、女性の大人ニキビの治療にも使用されます。
ピルはエストロゲンとプロゲステロンの2種類の女性ホルモンがバランスよく配合されていて、そのピルを服用することで脳は体内に女性ホルモンがあると認識し、女性ホルモンの分泌を止めてしまいます。
その結果、身体の中はピルに含まれるわずかな女性ホルモンしか残らなくなります。これによって通常の生理前に増えるプロゲステロンの影響を抑制し、同時に男性ホルモンも抑制します。そして皮脂が抑えられて大人ニキビが減っていきます。ピルのニキビ改善率は70%程度という報告もあります。
ニキビ治療に利用されるピルは「マーベロン」、「オーソM21」、「ラベルフィーユ28」などがよく使用されます。それらのピルは男性ホルモン様作用がとても少なく、ニキビ体質の人でも使いやすいとされます。
スピロノラクトンが男性ホルモンの作用を軽減する
女性の大人ニキビ治療にスピロノラクトン(製品名:アルダクトンAなど)というお薬を使用した治療があります。
このお薬は、元々は利尿剤や降圧剤として使用されますが、男性ホルモンの受容体を阻害して男性ホルモンの働きを軽減する働きがあることから女性の大人ニキビの治療に使用されたりします。
スピロノラクトンは、劇的に皮脂を抑制することから女性の治りにくい大人ニキビに対して高い効果をもたらしますが、副作用が現れやすいのが欠点です。
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