にきびといった肌トラブルは、生理周期による女性ホルモンのバランスが変化することで引き起こされることがあります。
特に生理前になるとニキビができやすくなりますが、それはプロゲステロン(黄体ホルモン)という女性ホルモンの影響が関係しているといわれています。今回はプロゲステロンの働きとニキビ肌荒れの関係についてです。
生理周期による女性ホルモンの変化
女性は生理周期によって肌質が大きく変化することがあります。一般に生理が終わって1週間ほどは肌が乾燥するようになり、また、生理前には肌が脂っぽくなってニキビができやすくなります。
そういった女性の肌質の変化は、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2種類の女性ホルモンのバランスが変化することでもたらされます。
エストロゲンは女性を美しくする働きがある
生理が終わってから排卵期までの約7~10日間は卵胞期(らんほうき)といわる時期です。その卵胞期にはエストロゲンという女性ホルモンの分泌が増加しますが、そのエストロゲンには女性の身体を美しく導く働きがあります。
エストロゲンの肌への影響
- エストロゲンの作用が強い卵胞期には皮脂分泌が減少し、にきびができにくくなります。人によっては肌の乾燥を感じるようになります。
- エストロゲンの作用によってメラニンの生成が抑制され、肌のキメが整った白く透明感のある肌へと導きます。
- エストロゲンの働きによってコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などのハリや弾力を担う成分の合成を促します。
プロゲステロンは肌を不安定にする
排卵期が終わって生理前までの約2週間は黄体期(おうたいき)とよばれる時期です。その黄体期はプロゲステロンという女性ホルモンの分泌が増加し、その影響でやや肌が不安定になり、テカリやニキビ、毛穴のブツブツなどが多くなります。
プロゲステロンの肌への影響
- プロゲステロンの働きによって皮脂分泌が促されて肌がテカリやすくなり、にきびができやすくなります。
- プロゲステロンの影響でメラニン色素が作られやすくなり、シミ、色素沈着を起こしやすくなります。肝斑(かんぱん)といわれる30~50代の女性に多いシミもプロゲステロンが影響しているとされています。
- プロゲステロンは栄養や水分を蓄えようとするために腸の働きを鈍くして便秘を起こしやすくなります。
プロゲステロンが皮脂を促す働きがある理由は?
プロゲステロンは、男性ホルモンと似たような作用があり、男性ホルモンと同じように皮脂分泌を促す作用があるとされます。
それがプロゲステロンが増加する生理前にニキビが増える理由の一つだと考えられています。
プロゲステロンは男性ホルモンと同じようにコレステロールを原料とした性ホルモンであり、男性ホルモンと似たような構造をしています。そのため、プロゲステロンは部分的に男性ホルモンと同じような働きを有するようです。
また、プロゲステロンは妊娠を継続させる働きがある女性ホルモンです。妊娠を維持するために栄養や水分などエネルギーを蓄えようとする働きがあります。
そういった影響で身体に溜まった余分なエネルギーを排出しようとして皮脂腺が活発になり、結果的に皮脂が増加するのかもしれません。
生理前の理想的なスキンケア
生理前にはシンプルなスキンケアが基本
プロゲステロンが増加する生理前にニキビができやすくなるという人は、洗顔や保湿、お化粧などは通常よりもシンプルなものにしましょう。
肌が不安定になるとアレコレといろいろなスキンケアをしてしまいがちですが、肌が安定しない時に過剰なスキンケアをしてしまうと、かえってニキビやブツブツといった肌トラブルの原因になることがあります。
生理前はプロゲステロンの影響でメラニンが作られやすくなりますのでマッサージなども回数を減らすか控えるようにしましょう。
お化粧はノーメイクかパウダータイプが理想
生理前はプロゲステロンの影響で肌が脂っぽくなります。そのため、お化粧はいつもより油脂成分の少ないものに変えてみると少しでもニキビを予防できるはずです。
ニキビができやすい人はノーメイクが理想ですが、お化粧する場合はパウダータイプのファンデーションのみにしたほうが毛穴のつまりを予防できると思います。
パウダーは皮脂吸着作用がありますし、紫外線ブロック効果もあります。パウダーには酸化チタン、酸化亜鉛、タルクなどの紫外線散乱作用がある物質が含まれており、生活紫外線程度ならある程度は紫外線ブロックすることができるのです。
また、帰宅して不要になったお化粧はすぐ落とすようにするのもニキビ予防のポイントです。
ピルは生理前ニキビを予防する
生理前にニキビが多発してしまうという女性はピルを使ったニキビ治療で改善に向かうことがあります。
ピルはエストロゲンとプロゲステロンの2種類の女性ホルモンがバランスよく含まれたお薬です。一般に避妊薬として認識されていますが、その効能によりニキビ治療にも使用されます。
ピル服用によって2種類の女性ホルモンを補うと、身体の中に女性ホルモンがあると認識して性腺刺激ホルモンの分泌が減少します。それによって女性ホルモンの分泌も減少し、体内にはピルに含まれる女性ホルモンだけになります。
これによって生理周期による女性ホルモンの大きな変化をなくして一定レベルにコントロールされ、生理前のニキビを改善していくのです。ピルによるニキビ改善率は70%という報告もあります。
ピルは高い効果を得られる反面、様々な副作用が現れる可能性があります。また、喫煙や血栓症がある人は使用できません。お医者さんとよく相談して使用して下さい。
ニキビ治療に使用される低用量ピル
ニキビ治療に使用されるピルは、マーベロン、ファボワール(マーベロンのジェネリック)、トリキュラー、ラベルフィーユ28(トリキュラーのジェネリック)、オーソM21、ヤーズなどがあります。
それらは男性ホルモン様作用が少ない低用量ピルで、女性の大人ニキビ治療に対してよく使用されます。
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