サプリメントなどによって通常の食生活ではありえないレベルの栄養素を摂取することでにきびを引き起こす可能性があります。その一つがビタミンEの過剰摂取です。
ビタミンEには生理機能を高める働きがあるため、サプリメントなどを利用して必要以上に摂取しているとニキビや毛穴トラブルが発生しやすくなります。
今回はビタミンEの過剰摂取とニキビの関係についてです。
ビタミンEの性質
ビタミンEは不妊を防ぐ栄養素として発見された脂溶性ビタミンです。人体においては主に以下のような作用があります。
- ビタミンEには抗酸化作用があり、過酸化脂質を分解して発生を抑制し、老化を防ぎます。また、生体膜や細胞膜に多く存在して活性酸素を消去し、不飽和脂肪酸の酸化を抑制します。
- ビタミンAやビタミンCなどと共に体内で抗酸化ビタミンとして働きます。
- 毛細血管を拡張して血行を改善します。
- ビタミンEは男性ホルモンや黄体ホルモン(女性ホルモンの一つ)の生成に関与して分泌を促し、生殖機能を保ちます。
ビタミンEは身体の基本的な生理機能を高める働きがあります。そのため、若返りビタミンとも呼ばれますが、ビタミンEの生理機能を高める作用が、かえって皮脂を促してニキビの原因になることがあるのです。
ビタミンEの過剰摂取とにきび肌荒れの関係
ビタミンEは新陳代謝を促して若返り効果がありますが、それが身体の分泌物を高めてにきびの原因になってしまうことがあります。
男性ホルモンの分泌を活発にする
ビタミンEには、男性ホルモンの生成に関与して分泌を活発にする働きがあります。
男性ホルモンは、皮脂腺に作用して皮脂を促す作用があります。にきびの初期段階である角化異常を引き起こす原因になり、ニキビの発生原因の大きな要因と考えられています。
そのため、サプリメントなどでビタミンEを過剰摂取していると男性ホルモンの分泌量が高くなってニキビが一気に多発してしまうことがあります。
食事からビタミンEを摂取する分には過剰摂取はありえませんが、サプリメントの配合量では過剰摂取となって身体のバランスを乱してしまうことがあります。
黄体ホルモン(プロゲステロン)が皮脂分泌を促す
ビタミンEは、女性ホルモンの一つである黄体ホルモン(プロゲステロン)の生成に関与して分泌を増やす働きがあります。
黄体ホルモンは、生理周期において排卵期から生理前までの約2週間に分泌が活発になる女性ホルモンですが、男性ホルモンと同じように皮脂分泌を促す作用があると考えられています。
生理前にブツブツが増えるのもプロゲステロンの影響しているとされますが、ビタミンEを過剰摂取するとプロゲステロンがさらに増加して皮脂も増加し、ニキビができやすい不安定な肌になってしまうことがあります。
冷え症で生理不順の人はビタミンEを補うことで改善することも多いですが、正常に生理がきている人で、ニキビができやすい人はビタミンEをサプリなどで補う必要はないと思います。
ビタミンEの過剰摂取によって生理周期が早くなったりすることがあります。それだけビタミンEが女性ホルモンのバランスに影響を及ぼす作用があるということです。一方で過剰摂取がホルモン分泌を劇的に高めてニキビやブツブツをまねく可能性もあるということです。
生理機能を活発にする
ビタミンEは、過酸化物質を分解することで血液をサラサラにします。さらに毛細血管を拡張して血行を促し、生理機能を高めて新陳代謝を活発にする働きがあります。
そのビタミンEを生理機能が高い若い時期にサプリメントなどで過剰摂取していると、さらに生理機能が高くなって通常よりも皮脂が増加し、にきびなどの肌荒れを起こすことがあります。
例えば、東洋医学の考え方ではニキビは身体の「気」が多すぎることが原因と考え、身体の過剰な熱を抑制する漢方が用いられたりしますが、ビタミンEは反対に「気」を高めて熱を作り出します。それがニキビの原因になってしまうことがあります。
ニキビは身体の生理機能の低下が原因だとして、健康効果のある様々なサプリメントを摂取しようとする人も少なくないですが、ほとんどのケースではニキビは生理機能が活発なために発生します。
そのため、ニキビ体質の人はビタミンEのような生理機能を高めるサプリメントの過剰摂取は控えたほうが良いのです。ちなみに、ビタミンB群やビタミンCなどはビタミンEのように極端に皮脂を促してしまう作用はありません。
ビタミンEサプリは体力が低い人向けの栄養素
ビタミンEのサプリメントは、代謝低下、冷え性、生理不順、乾燥肌、肌のしみ、くすみなどの症状に対して有効です。ただし、基本的にサプリメントに頼らずに通常の食生活によってビタミンEを補うようにするのが理想です。
新陳代謝が活発な人、若年層で皮脂が多い人、ニキビ体質の人、冷え症や生理不順などとは無縁の人はバランスの良い食生活をおくっていればビタミンEをサプリメントなどで摂取する必要はないと思います。
ニキビ跡には効果的
ビタミンEは抗酸化作用や血行を良くする働きがあるため、ニキビ跡のシミ(色素沈着)や赤みの改善には効果的です。実際にビタミンEを多く摂取することでニキビ跡のモヤモヤしたシミが通常よりも早く薄くなっていくようです。
ビタミンE摂取のポイント
一日の必要量(所要量)は?
ビタミンEの1日の必要量は、成人男性は10mg、成人女性は8mgです。許容上限摂取量は600mgです。
1gの油を酸化から守るには、ビタミンEが0.6g必要だとされています。油分の摂取が多い食生活の人はそれだけビタミンEが必要となります。
ビタミンEを多く含む食品
ビタミンEは様々な食品に幅広く含まれていますが、その中でも植物油、種実類などに多く含まれます。
ビタミンEが多く含まれる食品は以下のようなものがあります。
ビタミンEが多い食べ物
植物油(10g):2~4mg、マヨネーズ(10g):1.8mg、アーモンド(30g):9.1mg、落花生(30g):3.5mg、うなぎ蒲焼き(100g):4.8mg、鮎(あゆ)(100g):3.8mg、西洋かぼちゃ(50g):2.6mg、モロヘイヤ(50g):3.2mg、ピーマン(30g):1.3mg、モロヘイヤ(50g):3.1mg、キウイフルーツ(100g):1.2mg、アボガド(50g):2.0mg
通常では過剰摂取は起こらない
ビタミンEは、通常の食生活であれば過剰摂取に陥ることはありません。
また、ビタミンEは脂溶性ビタミンであり、多く摂取すると身体に溜まっていきます。ビタミンEは主に肝臓、脂肪組織、心臓、筋肉、血液、副腎などに蓄積されます。
ビタミンCのような水溶性ビタミンは尿や汗と一緒に排出されますが、ビタミンEのような脂溶性ビタミンは体内に長く留まるため、バランスの良い食生活を心がけていれば欠乏症を起こす可能性は低いです。
サプリメントでビタミンEを摂取する場合は注意
市販されているビタミンEのサプリメントの中には、一日あたり100~300mgという通常の必要量の10~30倍の量をすすめているものがあります。
ビタミンEは過剰摂取による副作用の心配が少ないとされますが、長期的に通常のレベルの何十倍もの量を服用していると、反対に健康被害が起こるかもしれません。
ビタミンEの慢性的な過剰摂取は寿命を短くする?
アメリカで行われたある大規模な調査によると、サプリメントなどを利用して長年ビタミンEを摂取している人は、そうでない人と比べて寿命が短くなる傾向があるという報告が出ています。
過剰に摂取したビタミンEが体内で過剰に貯蔵され、ビタミンEそのものが酸化されて不安定な物質に変化することで、細胞に悪影響をもたらすのではないかというものです。
短期的には健康効果があるように思えても、蓄積性のある脂溶性ビタミンを長年にわたってたくさん摂り続けるのは良くありません。
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