ベトノバールGクリームは、抗生物質とステロイドを配合した皮膚科で処方される塗り薬です。このお薬は、リンデロンVGという外用薬のジェネリックで、クリームタイプの他に軟膏タイプのベトノバールG軟膏があります。
主に細菌が原因となる皮膚病の改善や予防に対して使用され、症状では毛嚢炎やおできなどの化膿性皮膚疾患や、傷やヤケドなどの感染症の予防に効果を発揮します。
そして、細菌に効くお薬であることからニキビに対しても効果的に働くケースがあります。ところが、ステロイドが含まれるため、ニキビに使用する場合はステロイドの問題を理解して短期間に留めて使わなければいけません。
今回の記事は、ベトノバールGクリームのニキビ改善効果や、有効なニキビの状態、使い方と副作用などを詳しく解説していきます。
ベトノバールGの効果
ベトノバールGクリームのニキビへの効果は、ベタメタゾンというステロイドと、ゲンタマイシンという抗生物質の2種類の主成分によってもたらされます。その2つを組み合わせることで相乗効果を得られるというわけです。
有効成分とその含有量
- ベタメタゾン(ステロイド)・・・1.2mg(1g中)
- ゲンタマイシン(抗生物質)・・・1mg(1g中)
有効成分1ベタメタゾン(1g中1.2mg)
ベトノバールGの主成分の一つ「ベタメタゾン」はステロイドです。ステロイドとは体内にも存在する副腎皮質ホルモンをもとにつくられた成分です。消炎作用や免疫抑制作用を有することで素早く炎症や腫れを抑える働きがあります。
このステロイドがニキビや毛嚢炎などの皮膚の炎症をより早く抑えてくれます。ただし、ニキビの場合は上手に使わないとかえって悪化してしまうケースもあります。
このベタメタゾンというステロイドはわりと作用が強く、5段階に分けられるステロイドの強度でいえば、3番目の強いレベル(ストロングクラス)に属します。
顔に使う場合は副作用が現われやすいレベルですので、目安として使用は2週間以内までにしたほうがいいとされます。
有効成分2ゲンタマイシン(1g中1mg)
ベトノバールGのもう一つの主成分のゲンタマイシンは、アミノグリコシド系の抗生物質です。殺菌性が強いのが特長で、ニキビの原因菌のアクネ菌に対して良く効きます。
また、ニキビや毛嚢炎、おできなどの化膿をもたらす黄色ブドウ球菌や化膿レンサ球菌などの細菌に対してもゲンタマイシンは優れた殺菌作用を示します。
ゲンタマイシンは、細菌が原因の皮膚炎に対して幅広く使うことができますが、一方で真菌(カビ)やウイルスなどには効きません。
カビが原因となるマラセチア毛包炎や水虫、脂漏性皮膚炎といった皮膚病には効きにくいです。また、帯状疱疹や口唇(性器)ヘルペスなどのウイルスが原因となる皮膚病にも効果はほとんどないです。
適応症状
ベトノバールGクリームの適応症状は、化膿した毛嚢炎、おでき、膿皮症などに効果があります。特に毛嚢炎はカミソリや毛抜きなどを使った後に発生しやすく、それが悪化した場合にこのお薬は良く効きます。
また、湿疹やヤケド、傷などが悪化して化膿してしまった場合にもこのお薬が効きます。(化膿した皮膚病は黄色ブドウ球菌などの細菌が関係しているためです)。
他にも、抗生物質が含まれるので、細菌性の感染症を予防する目的でも効果的です。アトピーと感染症を併発した場合にも使えます。
ニキビに使うときの理想的な状態
ベトノバールGクリームをニキビに使う理想的な状態は、まず炎症が強い赤にきびです。腫れが大きくなっていく初期段階に効果的です。
一方、軽いニキビには使わないのが原則です。小さな白ニキビなどにはオロナインやピンプリット、アクネス、ビフナイトなどの市販薬で十分です。
また、ベトノバールGは、ステロイドが必要なアトピーの症状とニキビが併発した場合にも有効です。
他には、塗り薬を使ってかぶれた場合にもベトノバールGクリームのような「ステロイド+抗生物質」といったお薬が効きます。かゆみがあるアレルギー性のニキビにはステロイドを上手に使うと改善が早くなります。
ただし、短期間で集中的に使って下さい。長く使うとステロイドは治りを悪くしてしまうことがありますので、3~5日くらいの使用期間が理想です。
顔以外のニキビにも使っていい?
ベトノバールGクリームは、基本的に背中のニキビや、首や胸、腕、お尻などのニキビにも使えますが、目の届かないようなところや、塗り忘れてしまうような部分にこのお薬を使うのはおすすめできません。
ステロイドには副作用の問題があることや、抗生物質には薬が効きにくくなる可能性があるので、どの部分にも頻繁に使っていいものではないです。
また、背中などのできものはニキビではない可能性もありますので、下手にステロイド薬を使うとかえって悪化してしまうことも考えられます。
ニキビ跡を治す効果はある?
ベトノバールG軟膏にはニキビ跡の赤みや色素沈着を改善する効果はないです。クレーター状の凹みにも効果がありません。
ステロイドが含まれるため、ケロイド(肥厚性瘢痕)の進行を予防する効果はあると思いますが、この薬をケロイド治療(予防)として使用することはほとんどないです。
添加物で悪化する可能性もある
ベトノバールGクリームや軟膏には、添加物に流動パラフィンとワセリンの2つの油性基剤を配合しています。その油分がニキビ悪化につながる可能性があります。
クリームタイプのほうがサラッとしていますが、それでも脂性肌タイプのニキビには使いづらいかもしれません。オイリー肌の人は、ゲルタイプやローションタイプのニキビ専門の治療薬が理想です。
重症の場合は皮膚科の治療薬が理想的
ベトノバールGクリームは、ニキビに対して第一選択肢となるお薬ではありません。ステロイドを含んでいるため、ニキビに対して頻繁に使っていると、逆に悪化してしまうことがあります。
そのため、赤ニキビがたくさんできた場合や、重症化した場合などの治療が長期に及ぶニキビには、ステロイドを含まないニキビ専門の治療薬を処方してもらうのが理想です。
皮膚科では、治りにくい重度ニキビに対してはベピオゲルやディフェリンゲル、デュアック配合ゲル、エピデュオゲル、ゼビアックスローション、ダラシンTゲル(クリンダマイシンゲル)、アクアチム(クリンダマイシン)などの塗り薬が処方されます。
そのうち、抗生物質を含んでいるのはデュアック配合ゲル、ゼビアックスローション、ダラシンTゲル、アクアチムなどです。
また、悪化したニキビには内服薬としての抗生物質が有効なケースもあります。他にも、繰り返し発生するニキビに対して漢方薬が処方されることがあります。
ベトノバールGの使い方と注意点
ベトノバールGクリーム(軟膏)のニキビへの使い方は、洗顔をして肌を清潔にし、化粧水で肌を整えた後に患部に塗って下さい。使用回数は、朝と夜の1日2回の使用が目安です。
そして、にきび予防のためとして広範囲に塗ったりしないで下さい。塗った後は紫外線対策が基本です。強い炎症がある時は紫外線そのものを浴びないのが理想です。(炎症性色素沈着が濃くなるためです)。
効果は早ければ翌日には赤ニキビの腫れが小さくなったと実感できるはずです。3~5日間くらい使えばニキビがかなり小さくなって改善に向かうと思います。
治療期間は1週間以内が理想です。ステロイドが含まれるので短期間で集中的に使って素早く炎症を抑えて下さい。
薬が効きにくくなることがある
ベトノバールGクリーム(軟膏)はゲンタマイシンという抗生物質を含んでいますが、抗生物質には薬剤耐性菌(抵抗性をもった細菌)を生じる問題があり、使い続けると効果が得られなくなることがあります。
耐性菌は長期使用や、中途半端に使うと発生しやすくなりますので、耐性菌を予防するには、塗り忘れることなく腫れが治るまで使い続けて短期間で治療を終了するのが理想です。
3~5日間ほど使い続けて改善がみられない場合や、悪化してしまった場合は必ず使用中止して他の治療薬に切り替えて下さい。医師に相談してみましょう。
保管方法
ベトノバールGの保管方法は、直射日光を避けて室温で保存します。温度や湿気が高いところは避けて下さい。特に冷蔵庫に保管する必要はないです。
使用上の注意点
- 薬の使用期限は3年間です。(使用期限は包装に記述されています)。それ以上を大きく超える薬は使ってはいけません。
- 目に入らないように注意しましょう。目に入った場合はしっかりと洗い流して下さい。
処方してもらうには?
ベトノバールGは医師の処方箋をもらって薬局で購入して下さい。ニキビ治療の場合は、アレルギー性のニキビや塗り薬でかぶれた場合に処方されると思いますが、一般にニキビケアに対しての処方頻度は低いです。
薬価は、1gあたり17.3円、製品5gでは86円くらいです。ベトノバールGの形状は、クリームタイプと軟膏タイプの2種類がありますが、薬価は同じです。
ベトノバールGはリンデロンVGという塗り薬のジェネリックなのですが、他のジェネリック(ルリクールVG軟膏、デルモゾールG軟膏など)が処方されることがあるかもしれません。(成分は同じです)。
ベトノバールGの副作用
ベトノバールGクリームの副作用で、赤みやかゆみが現われたり、ヒリヒリとした刺激感を感じることがあります。軟膏タイプよりもクリームタイプのほうが刺激性は強いです。(クリームは乳化剤が多いためです)。
どんなお薬にも若干の刺激性があるものなので、少しくらいの赤みなら問題ないですが、ピリピリ感やかゆみなどが強い場合は接触皮膚炎(アレルギー性を含む)を起こしている可能性があるので、その場合は必ず使用中止して医師に診てもらって下さい。
ステロイドの副作用でニキビが悪化?
ベトノバールGはステロイド配合剤ですが、ステロイドは自然治癒力を弱めてしまいますので、ニキビに対して長く使うほど治りが悪くなることがあります。
また、ステロイドは免疫を抑えるので、それまで免疫力によってコントロールされていた細菌の増加を促してしまい、反対にニキビが悪化してしまう可能性もあります。
一時的に治ったと思ったら、にきびの炎症がぶり返してしまうことも多いです。ニキビにステロイド剤を使うのは難しいことがあることを覚えておいて下さい。
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