クロマイN軟膏は抗生物質や抗真菌薬などの3種類の抗菌薬が含まれる市販の塗り薬です。
このお薬は、細菌が原因となる化膿性皮膚病に効果があります。カンジダ菌などのカビの増加を抑えながら皮膚の腫れや赤みを治していきます。
そして、細菌に効果がある薬なのでニキビにも効果が期待できます。皮膚科で処方されるにきび治療薬のような即効性を得られることも多いです。
ステロイドを含んでいないので、その副作用を心配することなく使い続けることができます。
今回は、クロマイN軟膏のニキビへの効果や使い方、副作用などを詳しく解説していきます。
効果
クロマイN軟膏の効果は、主成分のクロラムフェニコール、フラジオマイシン硫酸塩、ナイスタチンの3種類の有効成分によるものです。
有効成分1クロラムフェニコール(1g中20mg)
まず、クロラムフェニコールは、抗生物質の一種で、細菌のたんぱく質の合成を阻害することで細菌の増加を抑えます。
ニキビの原因となるアクネ菌や黄色ブドウ球菌などの細菌に良く効きます。一方で真菌(カビ)やウイルスなどには効きません。
有効成分2フラジオマイシン(1g中5mg)
フラジオマイシン硫酸塩は、アミノグリコシド系の抗生物質です。細菌のたんぱく質の合成を阻害して細菌を殺菌し、化膿性の皮膚疾患の原因となる黄色ブドウ球菌などを殺菌して死滅させます。
また、ニキビの原因となるアクネ菌にも非常に高い殺菌作用を示します。この成分は細菌には効きますが、真菌(カビ)やウイルスには効果がありません。
有効成分3ナイスタチン(1g中10万単位)
ナイスタチンは抗真菌薬(抗カビ薬)です。真菌(カビ)の細胞膜の機能を崩して死滅させる効果があります。カビには様々な種類がありますが、特にカンジダ菌に高い効果があります。
近年では、ナイスタチンよりもカンジダ菌に効果があるラミシール(テルビナフィン)などの抗真菌薬が登場しているため、カンジダが原因となる皮膚病にこの成分が使用されることは少なくなっています。
なお、このナイスタチンという成分だけでいえばニキビの原因となるアクネ菌や、病原性の強い黄色ブドウ球菌などには効きません。
適応する症状
クロマイN軟膏の製造メーカーである第一三共によると、このお薬は化膿した毛嚢炎、おでき(せつ)、めんちょう(顔に発生したおでき)などに適応するとされます。
カビを死滅させる抗真菌薬を含むお薬ですが、カンジダ症、マラセチア毛包炎、脂漏性皮膚炎などの真菌(カビ)が原因の皮膚病には効果が弱いです。むしろ抗生物質を含むため細菌バランスを乱してカビが原因の症状を悪化させてしまう可能性もあります。
そして、クロマイN軟膏はニキビに効くとは表記されていませんがニキビに使っても大丈夫です。
炎症ニキビに使用して下さい
クロマイN軟膏をニキビに使用する場合は、赤ニキビや化膿ニキビなどの症状が悪化している場合に使って下さい。黒ニキビや白ニキビなどの症状が軽いものには使用しないのが基本です。
抗生物質は使い続けると細菌が抵抗性を獲得した「耐性菌」を発現させてしまうことがあり、薬が効きにくくなってしまう可能性があるため、安易に使用しないのが原則です。
軽度のニキビには、オロナインやクレアラシル、ピンプリットなどの一般的な市販治療薬を使用して下さい。
また、クロマイN軟膏は顔の炎症性ニキビだけではなく、背中ニキビや胸のニキビ、腕や脚のニキビなどにも使用可能です。
効果が現れるまでの期間
クロマイN軟膏をニキビに塗れば、早ければ翌日から3日後くらいにはニキビの赤みや腫れが小さくなったと実感できると思います。
重症の場合は皮膚科へ
化膿したニキビがたくさんできた場合は、クロマイN軟膏だけで治そうとせずに、病院でニキビ専用の治療薬を処方してもらったほうがいいと思います。
病院では、ベピオゲル、デュアック配合ゲル、エピデュオゲル、ディフェリンゲル、ゼビアックス、アクアチム、ダラシンTゲルなどが処方されると思います。
また、ニキビが重度化している場合は素早く治すために抗生物質の内服治療がすすめられることがあります。抗生物質の飲み薬にはミノマイシン(ミノサイクリン)やビブラマイシン、ルリッド(ロキシスロマイシン)、ファロムなどがよく処方されます。
添加物がニキビ悪化の原因になることも
クロマイN軟膏の添加物として、ゲル化炭化水素という油性軟膏基剤が含まれます。ゲル化炭化水素は、主成分が炭化水素である流動パラフィン(ミネラルオイル)をポリエチレンでゲル化したものです。
油の一種であり使用感はベタベタしているため、脂性肌タイプのニキビに使うと悪化してしまう可能性があります。このお薬はオイリー肌ではない人の赤ニキビに適しています。軟膏タイプなので敏感肌のニキビにも適しています。
ニキビ跡を治す効果はある?
ニキビの一番の悩みは跡が残ってしまうことですが、クロマイN軟膏はすでにできてしまった赤みや色素沈着などのニキビ跡には効果がありません。クレーターやケロイドなどにも効きません。病原となる細菌がいなくなったら使っても意味がありません。
使い方と注意点
クロマイN軟膏の使い方は、1日1~3回、洗顔後に化粧水などで肌を整えた後に患部に適量塗って下さい。ニキビや毛嚢炎などの腫れがある部分にのみ使用します。
予防のために広範囲に塗ったりしてはいけません。そして、塗った後は紫外線対策をして下さい。黄色がかった軟膏で、塗れば目立つことはないと思います。
使用上の注意点
副作用を考慮して妊娠中の女性はクロマイN軟膏は使用しないほうがいいと思います。
治療期間の目安
クロマイN軟膏の使用期間は、一つのニキビあたり1~2週間以内が目安です。抗生物質を配合しているため、長々と使い続けてはいけません。
ニキビや毛嚢炎、おできなどに使用する場合は、集中的に使用して短期間で治すようにして下さい。
保管方法
クロマイN軟膏の保管方法は、キャップを閉めて日光や湿気が多いところを避けて保管して下さい。常温保管が基本です。冷蔵庫に保存する必要はありません。
購入するには?
クロマイN軟膏の購入についてですが、市販の医薬品(第二類医薬品)なので一般的なドラッグストアなどで買うことができます。通販などでも購入できます。
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副作用
クロマイN軟膏の副作用は、赤みやかゆみ、ピリピリなどの刺激感などが現われることがあります。副作用が軽くて一時的なものであれば使い続けていいですが、通常とは違うと感じたら迷わず使用中止して下さい。
特に強いかゆみと赤みが現われた場合はアレルギー性接触皮膚炎(かぶれ)を起こしている可能性がありますので、その時は必ず使用中止して下さい。
アレルギーを起こしたまま使い続けるとニキビ跡がひどく悪化してしまいます。クロマイNは軟膏タイプなので刺激感は低いですが、肌が弱い人は慎重に使って下さい。
また、クロラムフェニコールは古くから使用されている成分ですが、内服薬として服用した場合は、まれに造血障害(再生不良性貧血)などの副作用を起こす可能性があります。塗り薬の場合はその心配はほとんどありませんが、念のため注意して下さい。
薬が効かなくなることもある
クロマイN軟膏は抗生物質を含む塗り薬ですが、抗生物質は使い続けると病原細菌が抵抗性をもつようになって成分が効かなくなる問題があります。
抗生物質への耐性を獲得した菌を「耐性菌(たいせいきん)」といったりしますが、耐性菌は中途半端な使い方になったり、長い期間にわたって使い続けるほど発現しやすくなります。
そのため、ニキビなどにクロマイN軟膏を使う場合は、短期間で集中的に使用してしっかりと炎症を治してから治療終了するのがポイントです。使ったり使わなかったりすると耐性菌が発現しやすくなるので注意して下さい。
そして、ニキビや毛嚢炎などに対してクロマイN軟膏を使い続けて効果が現れない場合は、耐性菌が出現している可能性があるため、その場合は違うお薬に変更しましょう。ニキビが悪化した場合は自己判断よりも病院を受診して医師のもとで治療するのが理想です。
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