クロロマイセチン軟膏2%Aは、抗生物質を配合した市販の塗り薬です。第2類医薬品に分類されます。
この塗り薬は細菌が原因となる化膿性皮膚疾患に効果があります。主に化膿した毛嚢炎、おでき、とびひなどに適応します。
また、細菌に効くお薬であるためアクネ菌という細菌が原因となる吹き出物にも効果があります。
今回は、クロロマイセチン軟膏2%Aのニキビへの効果と使い方、副作用や薬が効きにくくなる耐性菌の問題などを詳しく解説していきます。
効果
クロロマイセチン軟膏の効果は、主成分のクロラムフェニコールという抗生物質によるものです。クロラムフェニコールは細菌のたんぱく質の合成を阻害して病原菌の増殖を抑えます。
皮膚の細菌性の化膿疾患の多くは、黄色ブドウ球菌、アクネ菌、レンサ球菌などが関係しますが、クロラムフェニコールはそういった細菌に対して効果があります。
クロロマイセチン軟膏2%Aは、そのクロラムフェニコールを100g中2g(1gあたり20mg)含みます。
製造メーカー(第一三共)によると主に、化膿した毛嚢炎(毛包炎)、おでき(せつ)、めんちょう(顔にできたおでき)、とびひなどに効果があるとされます。そして、上手に使えばニキビにも使うことができます。
ニキビへの効果は?
クロロマイセチン軟膏は抗生物質を含むためニキビにも効果があります。ニキビは皮脂増加によって皮膚が刺激を受け、毛穴がふさがって毛穴内部でアクネ菌という細菌が増加することで発生します。
この塗り薬の主成分であるクロラムフェニコールは、ニキビの原因となるアクネ菌を素早く減少させて腫れを鎮めます。
そして、ニキビが進行したものは病原性が強い黄色ブドウ球菌が影響していることもありますが、その菌に対しても良い効果を示し、より早く炎症を治す働きがあります。
炎症が強い化膿ニキビに使用する
クロロマイセチン軟膏は、炎症が強い赤ニキビや化膿したニキビなどに使って下さい。白ニキビなどの軽い症状には通常は使いません。
また、炎症がない黒ニキビには使ってはいけません。抗生物質を配合しているため、軽々しく使わないのが原則です。
また、この外用薬は顔のニキビだけではなく、背中のニキビや胸、首、腕、脚、お尻のニキビなどにも使用できます。
一方で、このお薬はカンジダ症、マラセチア毛包炎、脂漏性皮膚炎、水虫などの真菌(カビ)が原因となる皮膚病には基本的に効果がありません。また、ウイルスが原因となるヘルペス、帯状疱疹などにも効きません。
効果が現れるまでの期間
ニキビに対してクロロマイセチン軟膏を使えば翌日から3日以内にはニキビの腫れが小さくなっていると実感できるはずです。1週間以上使って変化がみられない場合は治療を変更すべきです。
ニキビ体質の場合は皮膚科の治療薬が理想的
脂性肌で頻繁にニキビができる体質の人は、クロロマイセチン軟膏よりも皮膚科で処方される塗り薬で治療したほうがいいと思います。
皮膚科ではベピオゲルやディフェリンゲル、エピデュオゲル、デュアック配合ゲル、アクアチムクリーム、ゼビアックスローションなどが処方されます。
その中でもベピオゲルやディフェリンゲル、エピデュオゲルは耐性菌の問題がなく、薬が効かなくなるという心配がなく長期的に使用できるメリットがあります。にきび体質の人にはそういった外用薬のほうが理想的です。
皮膚科では内服薬が処方されることも多い
皮膚科では炎症ニキビが多発している場合には、抗生物質の内服薬や漢方薬などの使用をすすめられることがあります。
抗生物質の飲み薬にはルリッド(ロキシスロマイシン)、ミノマイシン(ミノサイクリン)、ビブラマイシン、ファロムなどが良く使用されます。
また、漢方薬は清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)、十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)、荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)などが炎症ニキビ体質を改善に導きます。漢方薬でもニキビ治療であれば保険適応になります。
ニキビ跡を治す効果はある?
クロロマイセチン軟膏はニキビ跡の赤みや色素沈着(モヤモヤとしたしみ)には効きません。ニキビ跡のクレーターやケロイドなどにも効きません。
添加物でニキビが悪化する可能性
クロロマイセチン軟膏の添加物には、セタノール(基剤、乳化安定)、流動パラフィン(基剤)、ラウリル硫酸Na(乳化剤)、パラベン(防腐剤)が含まれます。
添加物に流動パラフィンなどの油分が含まれるため、オイリー肌タイプのニキビに使うと悪化してしまう可能性があります。皮脂が多くて肌がベタベタしている人には不向きといえます。
使い方と注意点
クロロマイセチン軟膏の使い方は、1日1~3回くらいを目安に、洗顔をして肌を清潔にし、化粧水などで保湿をした後に患部に塗って下さい。
広範囲に塗らずに、ニキビや毛嚢炎、おできなどの部分にだけ塗ります。そして、使った後は日焼けを避けて下さい。
皮膚の炎症がある場合は紫外線そのものを浴びないようにするのが理想です。これは炎症後色素沈着がひどくなるためです。
参考:https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/products/details/chlolomy/
治療期間の目安
クロロマイセチン軟膏の使用期間は1~2週間くらいまでが一つの目安です。耐性菌を生じる問題があるため、長期使用を避けるのが基本です。
耐性菌とは、抗生物質に対して抵抗性を獲得した菌をいいます。実際にクロロマイセチン軟膏のような抗生剤を使い続けると薬が効きにくくなってしまうことがあります。
薬が効かない場合は、違う系統の抗生物質を使う必要がありますが、それを繰り返していると感染症を治す手段が限られてしまうことがあります。
ニキビ治療は長期的に及ぶことが多く、塗り薬の使用も長くなる傾向がありますが、抗生物質を使用する時は症状が強い場合だけに短期的に使用するのが基本です。
そして、中途半端な治療をせずに、炎症が治るまでしっかりと使って集中的に治すのが耐性菌を生まないポイントです。
ベピオゲルと組み合わせる場合の塗る順番
皮膚科ではニキビ治療にベピオゲルという殺菌薬が処方されることがあります。ベピオゲルは抗生物質とは全く違う作用によってニキビ菌を殺菌する塗り薬です。
そのお薬がある場合はクロロマイセチン軟膏と組み合わせて使うことで、さらに高い即効性が期待できます。耐性菌の発現も抑えることができます。
塗る順番はベピオゲルを塗った後にクロロマイセチン軟膏を塗って下さい。
使用上の注意点
この薬を使い続けて効果が得られない場合や症状が悪化した場合は使用中止し、皮膚科を受診して下さい。医師に適切な治療薬を処方してもらいましょう。
保管方法
クロロマイセチン軟膏の保管方法は、直射日光や湿気をさけて保管して下さい。常温保存が基本です。特に冷蔵庫に保管する必要はないです。
購入するには?
クロロマイセチン軟膏2%Aは、第二類医薬品なので一般的なドラッグストアなどで購入できます。Amazonや楽天などの通販サイトでも購入できます。
副作用
クロロマイセチン軟膏2%Aの副作用で、かゆみ、赤み、ヒリヒリした刺激感などが現われる可能性があります。
どんな薬にも少なからず刺激性があるので、少しくらいの赤みや刺激感であれば問題なく使い続けて大丈夫ですが、強い違和感が現われたら使用中止して下さい。
特に、強いかゆみを起こした場合はアレルギー性接触皮膚炎(かぶれ)を起こしている可能性があり、ひどく悪化してしまうことがあるため、必ず使用中止しましょう。
激しいかゆみと共にかぶれた場合は顔を洗って患部をアイスパックなどで冷やし、できれば皮膚科を受診して下さい。
ちなみに、このお薬の主成分であるクロラムフェニコールを内服薬として飲み続けた場合は、極めてまれなケースで再生不良性貧血という血液の深刻な副作用を起こす可能性があるとされます。ただし、クロロマイセチン軟膏のような塗り薬の場合は作用も限られるためその心配はほとんどありません。
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