ダーマペン(英語:Dermapen)とは、簡単に言えば電動で動く針を使った若返り治療です。ダーマスタンプとも呼ばれます。
マイクロニードル(極細の針)を電動ピストン運動によって皮膚に刺して意図的に穴をあけ、その傷を治すために放出される成長因子(細胞増殖因子)によって肌の入れ替えやコラーゲン増生を促します。
単なるコラーゲン増生を促す高周波治療などのエイジングケア治療と違って、ダーマペンでは新しい皮膚との入れ替えも促すため、ニキビ痕の凹みをもたらす瘢痕組織を凹凸のないフラットな肌へと導き、それを維持します。
上手くいけば以下の画像のように、完全ではないですがニキビ跡の凹みを少し滑らかに導くことができます。
コラーゲン増生も活発に促進することから、しわや小じわといった単なる肌の老化現象についても有効です。
一方で、失敗すれば内出血を起こしてそのまま赤みが残ったり、もやもやしたシミ(色素沈着)を起こしてしまう危険性もあります。
ダーマペンの長所
肌の悩みに応じて針の長さを調整できる
ダーマペンは、改善したい肌の悩みに対して針を調整することが可能です。
例えば、浅いシミ・色素沈着、肌のくすみ、キメ改善といった目的には0.25~0.5mm。
また、深いにきび痕や傷跡などの場合は1.5~2.0mmといったように、簡単に使い分けることができます。
色素沈着のリスクや痛み、ダウンタイムを抑制できる
ダーマペンでは、施術中の痛みやその後のダウンタイムなどが極端に軽減されています。
例えば、ダーマローラーという針が付いたローラーを転がす方法がありますが、その方法では針が皮膚の中で動いてしまって痛みやダメージが必要以上に強くなる欠点があります。
実際に引っ掻かれているような感覚があります。
一方、ダーマペンでは針を垂直に刺すことができるため、針が横に動いたりするような余計な痛みがありません。
そして、誤って引っ掻いてしまって線上の傷が付いてしまうようなミスも少なくなります。
ダーマローラーと比較すると痛みやダウンタイム、色素沈着のリスクは低いです。
ダーマペンの効果まとめ
- ダーマペンは皮膚の入れ替えを促し、ニキビ痕の萎縮した瘢痕組織(凹んだ成熟瘢痕)を正常化する。一度の治療で10~20%の皮膚を入れ替えを促します。
- 成長因子の放出によって線維芽細胞を活性化させてコラーゲン増生を促し、ニキビ跡の凹んだ状態を平らに導きます。
- 瘢痕組織を入れ替えとコラーゲン増加によるダブルの効果によって陥没したニキビ痕が改善されます。
- ダーマペンは皮膚を入れ替える治療であるため、一度ニキビ痕のクレーターが改善されたら再発することがない。
ニキビ跡クレーターの改善効果は?
ダーマペンはニキビ跡クレーターに効果的な治療法です。
そのニキビ跡クレーターは萎縮した成熟瘢痕であり、ダーマペンを使ってその瘢痕を入れ替えて改善するには何度か治療を繰り返す必要があります。
ダーマペンは高い効果がありますが、ニキビ跡の深いクレーターを治す場合、ダーマペンでもかなりの治療回数を要します。
少なくとも5回以上の治療は必要で、治療を繰り返しても改善が実感できないケースもあります。
適応症状
- ニキビ痕の陥没クレーター、皮膚の凹み、老化による皮膚のデコボコ。
- しわ、こじわ、ちりめんじわ。
- 開いた毛穴、帯状毛穴、キメの乱れ、肌質改善。
- 肌老化防止、エイジングケア。
- 妊娠線、肉割れ。
- 傷跡、手術跡、外傷、ヤケド跡、リストカット跡など。
- 成熟瘢痕、肥厚性瘢痕。(進行性がある真性ケロイドには不適応)。
- 毛孔性苔癬。
やりすぎないようにして下さい
画像は、ダーマペンを一部分に集中的にやりすぎて内出血したもの。
このような状態になると、最終的にはシミにつながってしまうことがよくあります。
いくら針が細いといっても刺すという行為は皮膚が損傷するものなので、やりすぎには注意しないといけません。
特に30代以降の肌の場合は回復力が低下しますので、内出血を起こさないレベルでダーマペンを行って下さい。
効果ないと感じる人も多い
個人差がありますが、この治療を何度もやっても効果ないと感じる人もいます。
やはり、ニキビの凹みがひどい場合や、肌質によっては思ったように良くならないこともあります。
特に以下のようなケースは効果ないと感じることが多いようです。
- 肌質が厚い。真皮層が厚くて硬い印象がある。
- 凹みが深くて鋭く、皮下組織にまで及んでいるアイスピック型の凹み。
- 凹みの底が白っぽくなっている。(コラーゲンの塊で成熟瘢痕によるもの)。
やってみないとわからないものですが、一般に肌質が硬そうで、凹みが深い場合は、ダーマペンをやっても効果ないように感じます。
そして、どんなに上手くいっても完璧に治すのは難しいので、完治するというよりも凹みをなだらかにするという目的で行って下さい。
ダーマペンの施術内容について
Step1施術前は洗顔・クレンジングによって肌の汚れを落とします。
Step2皮膚に麻酔をかける。(麻酔クリームで30分ほど)。目的によっては麻酔が不要な場合もあります。
Step3ダーマペンを使用してニキビ跡クレーターを中心に針を刺していく。この時に、成長因子を含んだ美容液を塗布しながら行うことで針を通して成長因子が肌深くに届けられ、より高い美肌効果が得られます。
なお、このときの美容液に「ヒアルロン酸」「コラーゲン美容液」などを使うケースもあるみたいに聞いたことがありますが、ヒアルロン酸やコラーゲンは皮膚で定着するものではないため、ダーマペンと組み合わせても意味がないと思います。
Step4治療後は肌をクールダウンさせて終了です。
Step5お化粧は治療レベルにもよりますが、基本的に施術後当日~数日は控えるべきです。
施術の動画
以下はダーマペンを施術している時の動画。映像で見たほうがわかりやすいと思います。
まずは保護するためのジェルを塗ります。そしてダーマペーンを肌で滑らせて穴をあけていきます。
以下の肌が赤く染まっているのは出血によるもの。皮膚に開く穴はわずかですが、針が長ければ長いほど出血します。
写真を見れば痛々しいものですが、終わって出血が止まれば赤みが残るだけです。見た目だけで言えば思ったほどひどい状態にはなりません。
けれども、やはり施術後から特に3日間、そして全体的には1週間くらいは肌が不安定になります。
肌が赤くなる、ヒリヒリする、カサブタができるといった現象が起きます。化粧品でしみたりすることもあると思います。
アフターケア
- ダーマペンによる治療レベルが高くなるほど出血するようになりますが、数十分ほどで穴は完全に閉じて出血は治まります。
- 治療後は数日かけて点状にカサブタができます。このカサブタを無理に剥がしたりしないようにしましょう。
- カサブタが取れるまでお化粧などの肌に負担がかかる行為はできる限り控えるべきです。
- 術後は化粧水などで普段よりもより一層の保湿スキンケアをしましょう。肌水分量がアップすることでダウンタイムが抑えられ、回復力も高くなります。
- ダーマペン治療後は紫外線対策をしましょう。
- ダーマペンの術後は皮膚が強く赤みを帯びることがあります。顔を広範囲に覆うことができるマスクを持参しておくと良いと思います。
- ダウンタイムを考慮して生活や仕事に余裕があるときに行ったほうが良いでしょう。ダウンタイムの目安は治療レベルにもよりますが2~3日から1週間ほどが目安です。
治療時間の目安
ダーマペンの施術時間は、顔全体の施術で10分ほど。麻酔を含めると顔全体で1時間ほどはかかります。
治療料金の目安
ダーマペンの施術費用は、病院によって違いがありますが部分的な治療で2~3万円ほどが目安です。
治療回数の目安
ダーマペンの施術回数は、深いにきび痕のクレーター治療では3~6ヶ月おきに5回以上が目安です。
1回の治療では効果が実感できないこともありますが、治療を重ねることで高い効果が期待できます。
また、浅いニキビ痕のクレーターの場合は1~2回のダーマペン治療で十分な効果を得られることがあります。
ダーマペンの副作用や危険性
- ケロイド体質の場合は治療は受けられません。
- 妊娠中の場合は基本的に治療は受けられません。妊娠期はデリケートな時期で、女性ホルモンバランスの崩れにより肌トラブルが起きやすい傾向があります。
- 体調不良や病気など、医師の判断によっては治療が受けられないケースもあります。体調が悪いと回復が遅れて色素沈着を起こす可能性があります。
- 色素沈着を起こしやすい人もダーマペンは不向きです。
- 仕事などで日焼けの心配がある人もダーマペンは適していません。
針治療による失敗例
ダーマペンによる失敗の事例としては、内出血後の色素沈着、赤み、瘢痕の悪化の3つが上げられます。
色素沈着
よくある失敗ですが、一箇所にダーマペンを刺し過ぎると内出血を起こすことがよくあります。
その内出血という状態は肌内部が高いレベルで損傷している状態です。そのため内出血が取れたとしても色素沈着が残ってしまう可能性があります。
また、肌老化が進行した肌の人は、境界線がはっきりした老化性のシミが出てくることも。
なので、ぜったいにやりすぎに注意して下さい。そして、内出血した時はずっと日焼けを避けて下さい。
赤みが残る
ダーマペンの失敗の一つが点状に赤みが残ること。針を刺してカサブタがとれても写真のようにプツプツした赤みがそのまま残ったりします。
この現象は肌が弱い人、加齢肌ほど起こりやすいです。また、カサブタを無理やり剥がしてしまうことでも赤みが残りやすくなります。
この赤みは皮膚の損傷による内出血、または毛細血管の増殖と拡張によるものなので治るまでかなり時間がかかることがあります。
こういった症状が残る人はダーマペンはやらないほうがいいです。
ケロイドや成熟瘢痕が発生
最悪の失敗ケースは、ダーマペンによる損傷によりケロイドが発生したりすることです。
種類によって、真性ケロイド、肥厚性瘢痕や成熟瘢痕といわれます。
これは体質的な要因が大きいので、傷跡が残りやすい人は注意して下さい。例えば、転んだ後のすり傷が白く盛り上がった傷跡になりやすいような人はダーマペンはしないほうがいいように思います。
筆者は固定スタンプタイプを使ってます
余談かもしれませんが、筆者は電動タイプではないダーマスタンプを使っています。以下がその写真。
私は、こめかみと頬にそれぞれ1箇所ずつ大きめのニキビ跡の凹みがあり、なんとか自分で治せたらいいなと悩んでいました。
肌の悩みとしては、電動のダーマペンのような器具を使うようなレベルではなく、またダーマローラーを使うような広範囲の肌の悩みではありません。ホントにピンポイントで使えればいいレベルです。
そこで、いろいろネットで調べてある日発見したのが固定タイプのダーマスタンプです。
これは30本ほどの極細針が付いたもので、鏡を見ながら自分の力で針を刺していくもの。
針がある部分の面積は1.2cm×1.0cmくらいでしょうか。自分のさじ加減で針が及ぶ範囲、深さなどを調整できるところがメリットです。
ローラータイプのように針が皮膚の中で動くことなく、垂直で刺せるので痛みも軽減できると思います。
けれども、いくら極細といっても長さ1ミリ~2ミリほどの針が30本もついたものを一気に刺すと痛いです。そして、私の場合はそこまで広い面積を必要としません。(私の皮膚の凹みは直径3ミリほど)
そこで、以下の写真のようにペンチでほとんどの針を抜いて4本だけ残した状態にして使ってます。
針を4本のみすることで、余計な部分にまで針が及ぶことなく、ニキビ跡のクレーターに対してかなりピンポイントで治療ができます。
4本だけでは足りないと思ったら、鏡を見ながら違う部分を刺せばいいだけ。
そして、痛みの範囲が狭くなるので我慢すれば麻酔なしでもできます。
ダーマローラーやダーマペンなどは、いろいろと準備する必要があったりしますが、針4本だけならばわりと手軽にできるメリットがあります。
効果のほどは?
1.5ミリのダーマスタンプで、使用期間は1か月おきくらいで約10か月ほど使い続けたのですが、凹みに対する効果は、「やや凹みがやわらいだかな」という感じです。
効果を数字で言うならば「改善率30%」といったところでしょうか。
もっと長い針を使って続ければさらに効果が期待できるとは思います。
ただ、現在ではダーマスタンプは使ってません。理由は一度やりすぎてしまったのか5日間ほど内出血が残り、2~3週間ほどシミっぽくなってちょっと焦ったためです。
凹みの部分が色素沈着を起こしてしまうと、さらにヘコみに深みがあるように見えてしまい、肌荒れがよりひどく目立つようになりますが、そういう経験してしまって今では休業してます。
やはり一度にやり過ぎないこと、そして期間を充分にあけることが重要ですね。
ダーマスタンプの針は細めのペンチで抜くべし!
なお、ダーマスタンプの針は以下の写真のようにペンチで1本1本抜くことができます。
針は接着剤などでしっかりと固定されているかと思いきや、わりとスッと簡単に抜くことができるのです。これは私がもってる器具だけかもしれませんが・・・。
なお、このダーマスタンプをネットでいろいろ探しているのですが、現在では見かけなくなりました。
少し前まではAmazonなどでも「ダーマスタンプ」と検索すればこういった固定タイプのものが普通に買えたのですが、今では楽天や個人輸入サイトなどいろいろ探しても見つからなくなりました。
すごくいい商品だと思うのですが流通量がかなり低いのが残念です。
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