ドルマイコーチ軟膏は、2種類の抗生物質とステロイドが含まれた市販の塗り薬です。指定第2類医薬品となります。
このお薬は細菌が原因となる化膿性の皮膚病に良く効きます。主に、悪化した毛嚢炎やおでき、とびひなどに効果を発揮しますが、上手に使えば炎症が強いニキビにも使うことができます。
ステロイドが配合されるため副作用を考えると長く使い続けてはいけないのですが、ニキビの状態によっては短期間で集中的に使えば、副作用を起こすことはなく、他のニキビ治療薬にはないような即効性を得られることも多いです。
今回はドルマイコーチ軟膏にニキビや毛嚢炎への効果や、ステロイドの副作用を起こさない使い方などを詳しく解説していきます。
ドルマイコーチ軟膏の効果
ドルマイコーチ軟膏の効果は、バシトラシン、フラジオマイシン、ヒドロコルチゾンの3種類の有効成分によるものです。
全成分と用量
- バシトラシン(抗生物質)・・・1g中250単位
- フラジオマイシン(抗生物質)・・・1g中3.5mg
- ヒドロコルチゾン(ステロイド)・・・1g中2.5mg
添加物として、白色ワセリン、流動パラフィン、精製ラノリンを含みます。
有効成分1バシトラシン(1g中250単位)
バシトラシンは、枯草菌(こそうきん)という細菌から分離されたポリペプチド系抗生物質です。(納豆菌なども枯草菌の仲間です)。
バシトラシンは細菌の細胞壁の合成を阻害することで抗菌作用を示し、ニキビの原因となるアクネ菌や、強い腫れをもたらす黄色ブドウ球菌や化膿レンサ球菌などの細菌のタンパク質の合成を阻害して病原菌を減少させます。それによって、より早くニキビや毛嚢炎の炎症を治します。
細菌には効きますが、一方で真菌(カビ)やウイルスなどには効きません。
有効成分2フラジオマイシン(1g中3.5mg)
フラジオマイシンは、アミノグリコシド系の抗生物質です。古くから使用されてきた歴史があります。
この抗生物質は、ニキビの原因となるアクネ菌や、化膿性皮膚疾患をもたらす黄色ブドウ球菌やレンサ球菌などの細菌のたんぱく質の合成を阻害して優れた殺菌作用を示します。
バシトラシンとフラジオマイシンの2種類の抗生物質がニキビや毛嚢炎などの細菌が原因となる炎症に効いていきます。
有効成分3ヒドロコルチゾン(1g中2.5mg)
ヒドロコルチゾンはステロイドです。ステロイドとは消炎作用や免疫抑制作用がある成分で、体内にも存在する副腎皮質ホルモンをもとに作られます。
ステロイドは、素早く炎症を抑えてニキビの炎症や皮膚のかゆみ、痛みなどを軽減します。ステロイドは強さによって5段階に分けられますが、ヒドロコルチゾンは5段階中5番目のウィーク(弱い)レベルに入る非常に弱い作用のステロイドですので副作用の心配は少ないです。
適応症状
ドルマイコーチ軟膏は、一般に細菌が原因となる化膿した皮膚病に使用します。主に、毛嚢炎が悪化した場合や、おでき(せつ)、めんちょう(顔にできたおでき)、とびひなどに効果的です。
そして、短期間で上手に使えばニキビにも使うことができます。
また、湿疹やあせも、かぶれ、虫さされなどが悪化して化膿した場合にも使用できます。化膿した皮膚病はこの薬が良く効く細菌が関与していることが多いためです。他にも、二次感染の予防目的でも有効です。
一方、ドルマイコーチ軟膏は、カンジダ、マラセチア毛包炎、水虫、脂漏性皮膚炎などの真菌(カビ)が原因となる皮膚病には効きません。ヘルペス、帯状疱疹といったウイルスが原因の皮膚病にも効きません。
炎症が強い化膿ニキビに使用する
まず、ドルマイコーチ軟膏はステロイドを含んでいるため、脂性肌でたくさんニキビができるような肌質には適していません。ニキビがあまりできない人に向いています。
そして、この軟膏をニキビに使う場合は、症状が強い赤ニキビ(化膿したニキビ)などに使います。抗生物質やステロイドといった使い方が難しいお薬が含まれるため、炎症が強い時にだけ使って下さい。
症状が軽いニキビの場合は、オロナインやピンプリット、クレアラシル、アクネスなどの市販薬で十分です。
また、アレルギーなどでかゆみがあるニキビや、アトピー性皮膚炎と併発したニキビにもドルマイコーチは効果的です。ステロイドがニキビのかゆみを抑えてくれます。
そして、背中ニキビや胸のニキビなどにも使うことができると思いますが、あまり目が行き届かないようなところには使わないほうがいいと思います。
たくさんニキビが発生している場合は皮膚科へ
顔や背中などに炎症性の強いニキビがたくさんある場合は、ドルマイコーチ軟膏は適していません。ニキビがたくさんある場合は皮膚科を受診して専用のニキビ治療薬を処方してもらうのが理想です。
皮膚科では、抗生物質のような薬が効きにくくなる問題がないディフェリンゲルやベピオゲル、エピデュオゲルなどの良い外用薬がありますので、慢性的にニキビができてしまう人はそういった塗り薬が理想です。
また、皮膚科ではニキビ治療に対して抗生物質が処方されることも多いです。外用だけではなく重症の場合は内服治療も効果的です。(内服治療の改善率は90%以上)
ニキビ跡を治す効果はある?
ドルマイコーチ軟膏は、ニキビが治った後の色素沈着や赤み、またはクレーター状の痕を治す効果はありません。ニキビによってケロイド(肥厚性瘢痕)が発生した場合は、ステロイドの作用によってその進行を抑えることができる可能性はありますが、通常はニキビが治ったら使用を終了します。
ドルマイコーチ軟膏の使い方と注意点
ドルマイコーチ軟膏をニキビに塗る場合の使い方は、洗顔後に化粧水で肌を整えてから患部にだけ塗って下さい。使用回数は、朝と夜の1日2回が目安です。
「にきび予防」として広範囲に塗ってはいけません。そして、紫外線を避けるようにして下さい。どんな塗り薬においても使用中は強い紫外線を浴びないのが基本です。
使用上の注意点
- 使用期限を過ぎた製品は使用しないでください。
- 目に入らないよう注意してください。目元の皮膚炎には使用しないほうがいいです。もし目に入った場合はすぐに水で洗ってください。
治療期間の目安
ドルマイコーチ軟膏の使用期間は、1~2週間以内が目安です。抗生物質とステロイドが含まれるため、短期間でしっかりと炎症を抑えるのが基本です。また、1週間くらい使って改善がみられない場合は皮膚科を受診して下さい。使い続けると悪化する可能性があります。
保管方法
ドルマイコーチ軟膏の保管については、きちんとキャップを閉めて直射日光の当たらない涼しい所に保管してください。(冷暗所保管)。冷蔵庫に保存する必要はないです。また、子供の手の届かない所が理想です。
購入するには?
ドルマイコーチ軟膏は市販品ですので、一般的なドラッグストアなどで購入できます。この商品を取り扱っていない薬局も多いので、その場合は通販などでも購入できます。
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ドルマイコーチ軟膏の副作用
ドルマイコーチ軟膏を使用して、皮膚の赤みやかゆみ、接触皮膚炎(かぶれ)などの副作用が現われることがあります。油性基剤なので刺激性は低いですが、アレルギー体質の人や肌が薄い人にはかゆみなどの副作用がでやすいようです。
少しくらいの副作用なら問題ないですが、かゆみが続く場合はアレルギー性接触皮膚炎を起こしていると思いますので、使用中止して皮膚科を受診して下さい。
抗生物質が効きにくくなることがある
ドルマイコーチ軟膏には、バシトラシンとフラジオマイシンという2種類の抗生物質が含まれていますが、抗生物質には耐性菌を生じる問題があります。耐性菌が生まれると薬が効かなくなることがあるのです。
抗生物質による耐性菌は、長く使い続けたり、中途半端に使ったりすることで発生しやすいので、この薬をニキビに使う場合は短期間で集中的に使うようにして下さい。
ステロイドの副作用が気になるところ
ドルマイコーチ軟膏はステロイドを含んでいますが、ステロイドを使い続けると、皮膚が薄くなる(弱くなる)、毛細血管拡張、免疫を低下させて感染症を起こしやすくなる、などの副作用が現われることがあります。
ステロイドには免疫力を下げる働きがあるのでニキビの原因菌の増加を促してしまい、長引かせてしまうことがあります。そして、ターンオーバーを抑えますのでニキビの治りを悪くしてしまうこともありえます。
ドルマイコーチ軟膏に含まれるステロイドは作用がとても弱いので、副作用の心配は低いですが、それでも同じ部分に2週間以上使い続けるようなことはしないで下さい。1週間以内であれば副作用の心配はほとんどないです。
添加物でニキビが悪化する可能性もある
ドルマイコーチ軟膏は、添加物に白色ワセリン、流動パラフィン、精製ラノリンなどの油性基剤を配合します。
それらの油脂成分によって毛穴詰まりやニキビ悪化の原因になってしまう可能性があります。脂性肌の人は注意して下さい。
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