デュアック配合ゲルのニキビ減少率と副作用。痛みやアレルギーのかゆみ対処について

デュアック配合ゲルの画像 デュアック配合ゲルは皮膚科で処方されるニキビ専用の塗り薬。

このお薬は、「過酸化ベンゾイル(BPO)」と、「クリンダマイシン」の2つを有効成分とした合剤で、ともにニキビの原因菌を減少させる効果がある成分を2つ組み合わせることで、より早期にニキビの炎症、腫れを抑えることができます。

殺菌効果としてはとても優れていますが、欠点としては副作用が現れやすい問題があります。

今回は、デュアック配合ゲルのニキビ改善効果や、副作用の問題などについて詳しくまとめました。

デュアック配合ゲルの2つの有効成分

有効成分1過酸化ベンゾイル3%(殺菌成分)

過酸化ベンゾイルは、酸化剤の一つでニキビに対しては殺菌的に作用します。

なぜ酸化剤が殺菌作用があるのかというと、ニキビの炎症をもたらす細菌は嫌気性菌という空気(酸素)を嫌う性質があるため。

酸化剤である過酸化ベンゾイルをニキビに塗ると、それが分解される過程で酸素が発生し、嫌気性であるアクネ菌を死滅させることができます。

さらに過酸化ベンゾイルは角質細胞どうしのバリア機能を緩め、成分の浸透を高める利点があります。それによって病巣にしっかりと殺菌作用をもたらすことができます。

また、角質の結合を緩めることでピーリング作用(角質が剥がる作用)をもち、分厚くなった角質を剥がれやすくしてニキビの原因となる毛穴つまりを解消します。

有効成分2クリンダマイシン1%(抗生物質)

デュアック配合ゲルのもう一つの有効成分がクリンダマイシン。

クリンダマイシンはリンコマイシン系の抗生物質で、細菌のたんぱく質の合成を阻害し、ニキビの原因菌(アクネ菌)を抑制します。

その結果、免疫反応をしずめてニキビの炎症を治します。

デュアック配合ゲルのニキビ減少率

デュアック配合ゲルが炎症性ニキビにどれくらい効くのか?

デュアック配合ゲルの効果グラフ

国内の臨床実験において、赤ニキビがある患者296人にデュアック配合ゲルを試したところ、赤ニキビの減少率は2週間で平均62.5%、12週間で平均88.6%の減少だったと報告されています。

以上は日本の試験結果ですが、海外の試験においても過酸化ベンゾイルとクリンダマイシンを組み合わせた治療はとても良い効果が得られることが実証されています。

他のニキビ薬との比較

比較として他のニキビ薬の12週間後の赤ニキビ減少率の結果もグラフにまとめて作ってみました。

試験における対象人数などは違いますが、効果の目安として考えて下さい。

皮膚科のニキビ治療薬における炎症ニキビ減少率の画像グラフ

  • ディフェリンゲルの赤ニキビ減少率が64.1%
  • べピオゲルが72.7%
  • クリンダマイシンが53.0%
  • ナジフロキサシンが53.3%
  • オゼノキサシンが54.7%

以上の結果をふまえると、デュアックの88.6%の赤ニキビ減少率はダントツだとわかります。

なお、上記のべピオゲル(過酸化ベンゾイル)とクリンダマイシンを組み合わせたお薬がデュアック配合ゲルだと考えて下さい。わかりやすく画像作ってみました。

デュアック配合ゲルはベピオゲルとダラシンTゲルの合剤を表すイメージ

2つの殺菌成分を組み合わせているので特に効果が高いのです。ただし、デュアックの場合は過酸化ベンゾイルの濃度が3.0%となっていて、べピオゲルの2.5%濃度よりも少し高いです。

デュアック配合ゲルが有効なニキビ

赤ニキビの画像 デュアック配合ゲルは一般に炎症が強いニキビ、化膿ニキビなどに使用されます。白ニキビや炎症のない黒にきびなどの軽い症状には使用しないのが一般的です。

このお薬には抗生物質が含まれますが、それに対して耐性菌が生じて薬が効きにくくなる可能性があるため、すぐ治ってしまうような軽度のニキビにはこの外用薬は使用しないのが基本です。

抗生物質の耐性菌の問題を軽減する

デュアックにはクリンダマイシンという抗生物質が含まれますが、一般に抗生剤を使い続けると細菌が抵抗性をもつようになり、成分が効きにくくなることがあります。

ところが、抗生物質に過酸化ベンゾイルを組み合わせることで、耐性菌の出現を軽減できることが確認されています。

にきび跡には効かない

ニキビ跡の赤みやもやもやとした色素沈着にはデュアック配合ゲルは効きません。クレーター状にへこんだ症状やケロイドにも効かないです。

カビやウイルスの症状にも効かない

カビがもたらす症状には、水虫、マラセチア毛包炎、脂漏性皮膚炎などがありますが、デュアック配合ゲルはそれらには効かないです。

ヘルペスや帯状疱疹といったウイルス性の皮膚病にも効果なしです。

デュアック配合ゲルの塗り方と使用方法

薬を塗る画像 デュアック配合ゲルの使い方は、1日1回、洗顔後に患部に適量塗るだけです。紫外線を避けるため夜に塗るのが理想です。

できるだけニキビの部分からはみ出さないように塗ります。予防として広範囲に塗ってはいけません。

また、使用期間中は紫外線対策をしましょう。肌がデリケートになるためです。

使い続けると慣れてくる

デュアック配合ゲルは作用が強いので、初めはいろいろな副作用が現れやすいですが、だんだんと慣れてきて症状も落ち着いてきます。だいたい2~3週間以降から副作用が軽減されていきます。

使用上の注意点

  • デュアック配合ゲルは、口や目の周りは避けて塗ります。口の周りでは口角炎、目の周りでは眼瞼炎(がんけんえん)を起こす可能性があります。これは過酸化ベンゾイルの作用によるものです。
  • 敏感肌で肌が弱い人、アトピー体質、薬でかぶれた経験がある人は使用してはいけません。このお薬は肌のバリア機能を崩す作用が強いためです。
  • 妊娠中、授乳中は使用を控えたほうがいいです。特に妊娠初期はホルモンバランスが大きく変化する影響で肌が不安定になるので、もっと刺激性が低い薬を処方してもらいましょう。

保管方法

デュアック配合ゲルは、しっかりとキャップを占めて直射日光が当たらない冷暗所に保管します。基本的に温度が高くなるところに置いてはいけません。

有効成分の一つである過酸化ベンゾイルは温度が高いところや紫外線によって成分の分解が進行しやすくなります。気温が高くなる夏場は、冷蔵庫保管が理想です。

購入するには?

薬剤師が薬を処方する画像 デュアック配合ゲルは皮膚科を受診して処方してもらいましょう。保険適用です。

なお、このお薬は市販されていません。ドラッグストアやAmazonなどで販売されているものではないです。医師の処方箋が必要です。

薬価

デュアックの価格は、製品1本10gあたり1440円です。それから保険適用3割負担で432円です。薬価は変更されることがありますが一つの目安にしてください。

使用期間

デュアックの使用期間は特に決まっていません。副作用がないならば、腫れが治るまでしっかりと使い続けて下さい。

ただし、3か月たって効果がみられない場合は他のお薬に変えたほうがいいとされます。

耐性菌を出現させないポイント

デュアックにはクリンダマイシンという抗生剤が含まれますが、それには耐性菌が生じる問題があります。

耐性菌とは薬剤に対して抵抗性(耐性)をもった細菌のこと。

その耐性菌は、使用が長期になったり、中途半端な使い方をすると生じやすくなります。

例えば、ある程度炎症が落ち着いたからといって中途半端に中断すると、再び病原菌が増加して耐性菌が発現しやすくなります。

耐性菌を予防するには、炎症や腫れが治るまで一定のペースで使用継続し、できるだけ短期間でしっかりと症状を抑えてから治療を終了するのがポイントです。

デュアック配合ゲルの副作用と注意点

最も気になるのがデュアック配合ゲルの副作用。ニキビ薬の中でも発生率はトップクラスです。

皮膚の赤みの画像 国内の臨床試験では、副作用の発生率は30.6%(500件中153件)と報告されています。

詳しい副作用は以下の通り。

  • 乾燥(9.8%)
  • 接触皮膚炎(6.8%)
  • 皮膚の赤み(5.8%)
  • 角質の剥がれ、皮むけ(5.8%)
  • 皮膚のかゆみ(5.2%)

乾燥や皮むけはどうしたら?

デュアック配合ゲルによって皮がむけた画像 最もよくおこる「乾燥(9.8%)」や、「角質の剥がれ、皮むけ(5.8%)」といった副作用は過酸化ベンゾイルのピーリング作用によるものですが、これは化粧水などで保湿して対処してください。

なお、乾燥しやすいので皮膚科ではヒルドイドローション(ヘパリン類似物質)という保湿剤が同時に処方されたりします。

ヒリヒリしたり赤みがでた場合どうしたら?

デュアック配合ゲルを使っていると、かなり高い確率でヒリヒリしたり、赤みがでたりします。このお薬は作用が強いためです。

それは副作用ともいえますが、一方でお薬が効いている証拠だともいえます。難しいところですが、反応が許容範囲ならば使い続けてみて下さい。

強いかゆみと赤みが出たら要注意

デュアックを使うにあたって最も注意してほしいのが接触皮膚炎(6.8%)です。

接触皮膚炎というのは特定の物質によって激しい免疫反応が起こることで、単なる刺激によるものと、アレルギーによるものの2パターンありますが、デュアックではどちらも起こる可能性があります。

アレルギー性接触皮膚炎の画像 特に、使用後に強いかゆみと強い赤みがある場合はアレルギー性接触皮膚炎という最悪の副作用を起こしている可能性があります。

ニキビと同時にアレルギーが起こると、ニキビの腫れが長引くことが多いです。当然、ニキビ跡がしこりになったり、凹んだり、ケロイドを起こしたりする可能性も高くなります。(ケロイドは体質にもよります)

なお、まれなケースではアレルギー性接触皮膚炎によって塗ったところではない部分までが真っ赤に炎症を起こすことがあります。

なので、「かゆみが強い」、「赤みが強すぎる」、「ヒリヒリが強い」、「痛すぎる」、「塗ってすぐに異常が出た」といった場合はすぐに洗い流して使用中止した方が良いでしょう。

「この薬は危ない」と、直感でわかると思います。

なお、かゆみが強くなく軽度の場合でも、「かゆい」というのは免疫反応が過剰になっているということなので、たいていはニキビの回復が悪くなることが多いです。

デュアックは殺菌効果の点だけでいえば優れているのですが、いろいろ副作用のリスクも高いので、このお薬の処方を避ける皮膚科医も少なくないのが現状です。

副作用のほとんどは過酸化ベンゾイルによるもの

デュアック配合ゲルは合剤ですが、副作用といえばほとんどが過酸化ベンゾイルによる影響です。(一概にはいえませんが)

過酸化ベンゾイルには角質同士の結合を緩める作用(ピーリング作用)があり、それによってニキビに対して高い効果も得られるのですが、一方で角質層のバリア機能を乱すことから、刺激を強く感じることが多くなります。

肌が強い人であればたいていは問題ありませんが、肌が弱い人、敏感肌の人は使わないほうがいいです。

クリンダマイシンの副作用もわりと高い

デュアックの副作用の多くは過酸化ベンゾイルによるものですが、実はクリンダマイシンもわりと副作用の発現率が高い特徴があります。

国内の臨床試験では、クリンダマイシン使用後に308例中25例(8.11%)に副作用が出たという報告があります。抗生剤にしては高いです。

主な症状は、かゆみが18件(5.84%)、赤みが5件(1.62%)など。

なお、筆者もクリンダマイシンでアレルギーが出た一人です。私も肌に合いません。色素沈着が長く残ったので個人的にはマイナス印象が強いです。

デュアックよりもそれぞれ単体で処方したほうがいい?

デュアックは2つの有効成分を配合した合剤ですが、もし異常がでた場合、2つの主成分のうちどちらの成分で異常が現れたのか、はっきりと断定できなくなります。

なので、それぞれ成分を単体で処方し、副作用を確認しながら使ったほうがいいという意見もあります。

例えば、ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)とクリンダマイシンゲルを処方し、通常はベピオゲルのみ使い、そして1~2日経過して副作用がでないことを確認したらクリンダマイシンゲルを重ね塗りするというやり方です。

2つの薬を購入しないといけないので費用はかかりますが、その使い方のほうが安全だといえます。

かぶれた場合の治療法

「デュアック配合ゲルでかぶれてしまった・・・。」

そんな時は皮膚科を受診したほうがいいと思います。特に激しい反応が起こったらすぐに病院に行くべきです。

デュアックのかぶれにおける皮膚科の治療は?

デュアックでかぶれた場合、皮膚科医の対処はいろいろ違いがあるものですが、一つの例としては、刺激性が低い「消炎薬」と「抗菌薬」の2つを処方したりします。

例えば、消炎薬はベシカム軟膏、スタデルム軟膏などのステロイドではない安全性が高いお薬。それで免疫反応を抑制します。

そして、ニキビ原因菌を殺菌するために、低刺激性の抗菌薬、例えばアクアチム軟膏やゼビアックスローションなどが処方されたりします。(それらの抗菌薬の副作用は1%レベル)

ステロイド治療をすすめる医者もいる

なお、お医者さんによっては「ニキビ+かぶれ」に対してステロイド外用薬を処方することも。ロコイド軟膏や、ステロイド剤をワセリンで薄めたものが処方さたりします。

ステロイド外用薬は優れた消炎作用と免疫抑制作用により、アレルギーによる炎症をすばやく抑えるのですが、ニキビの回復力を弱めてしまう難点があるので、使うのならば2~3日以内の使用にしてください。

ステロイドはアレルギー性接触皮膚炎だけならばよいお薬なのですが、ニキビの回復についてはマイナスに働くことがあることを覚えておきましょう。

かぶれを自分で治す

デュアックでかぶれて市販のお薬で治すのなら以下のようなお薬があります。

スキンセーフAPクリームの画像
  • スキンセーフAPクリーム(非ステロイド性の消炎薬、抗ヒスタミン薬)
  • ニキビ菌の殺菌薬としては、テラマイシン軟膏、ドルマイシン軟膏、クロマイN軟膏などがあります。それらは抗生物質を2種類配合した塗り薬です。

消炎薬と抗生物質を組み合わせて使うのが最もよく効くと思います。塗る順番は「クリーム→軟膏」の順です。

テラコートリル軟膏はステロイドが弱いから大丈夫

テラコートリル軟膏の画像 なお、テラコートリル軟膏という「ステロイド+抗生物質」の合剤も市販されていていますが、そのステロイドは作用がとても弱く、副作用の心配は低いので2~3日くらいなら使用しても大丈夫かもしれません。

飲み薬としてはイブ錠が効く

イブ錠(イブプロフェン) 飲み薬としてはイブ錠がよく効きます。風邪薬によく配合されるイブプロフェンが炎症反応を素早く抑えます。

炎症反応を抑制することで最終的にアレルギー反応をもたらすヒスタミンも抑制できます。即効性が高いのがメリットです。

最後に

デュアックは炎症ニキビの減少率だけで言えばトップクラスの効果を発揮しますが、肌に対する作用が強いので、やはり使い続けると何かと問題が起きたりするものです。

デュアックを使う場合、このお薬の性質と自分の肌のコンディションを理解することが最も安全に使う方法だと思います。

「何か月も使っていて大丈夫だったけど、ある日から刺激感が強くなった」ということもありえますが、このお薬の性質を理解していれば、そういった問題にも早く対処できるはずです。