エスカメルは佐藤製薬から販売される市販のニキビ治療薬。
イオウとレゾルシンの2つを主成分とし、相乗効果によりニキビを早く治す働きがあります。
配合されるイオウの濃度が高いので効果も高いのですが、一方で副作用が出やすい問題がります。
今回はエスカメルのニキビへの効果や使い方、副作用の問題などを解説していきます。
効能
エスカメルの効能は、イオウとレゾルシン2のつの有効成分によってもたらされます。以下はそれぞれの性質
成分1イオウ(8%)
イオウ(硫黄)は、殺菌作用がありニキビの原因菌(アクネ菌)を死滅させて炎症を治します。化膿の予防にもつながります。
また、角質を剥がすピーリング作用があり、炎症で厚くなった角質を剥がしてニキビの芯や膿がでてくる状態へと促します。それによってにきびが治りやすくなります。
そして、角質が薄くなることで毛穴がふさがる現象、つまりニキビ予防につながります。
他にも、イオウには皮脂を吸着する作用があり、ニキビを乾燥させることで早く治していきます。
エスカメルはそのイオウを8%も配合しています。私の知る限りでは市販薬の中でイオウの量は最も多いです。
成分2レゾルシン
レゾルシンは殺菌作用と角質を柔らかくする作用があります。
イオウと似たような作用があり、相乗効果をもたらすので、よく同時に配合されることが多いです。なお、この成分だけが単独で使用されることはないです。
エスカメルにはそのレゾルシンを2%配合しています。なお、レゾルシンは配合規制があります。
他の成分(添加物)
- ベントナイト・・・皮脂を吸着する作用があります。オイリー肌向けの化粧品によく配合される物質です。
- 酸化チタン・・・紫外線散乱剤としてよく配合される成分。日中に塗ったままにしてもUVブロック効果を発揮します。また顔料としての役割もあります。
- プロピレングリコール・・・保湿効果がある成分。また物質を溶かす作用をもちます。薬剤の使用感を安定させるために配合されます。
- アルコール・・・清涼感をもたらす。また成分どうしのなじみをよくする働きがあります。
- 水酸化K・・・乳化安定剤として配合。
- 酸化鉄・・・有色顔料としての役割があります。エスカメルは肌色のクリームですが、その肌色をもたらすのが酸化鉄です。
- 三二酸化鉄・・・酸化鉄と同じように有色顔料として配合されています。
- 香料・・・イオウやレゾルシンには独特の臭いがあるので、その臭いをまぎらわせるために香料が配合されていると思います。
どんなニキビに適している?
ニキビの種類にはいろいろありますが、エスカメルは炎症性のニキビや、白ニキビのような軽い状態に効きます。
毛穴にニキビの芯がつまって見えるだけの黒にきびにも使えますが、刺激性の問題を考えると、特に炎症を起こしてないのに使う必要はないと思います。
また、胸や背中のニキビにも使えます。そういった部分は皮膚が強いので、エスカメルのようなイオウを高濃度配合した薬がよく効くかもしれません。
なお、化膿が進行したニキビには効きにくいです。皮膚の深い部分にまで炎症がおよんでいるようなニキビには成分が届きにくいためです。それはどのニキビ薬でもいえることです。
肌が強い人向けの薬
エスカメルのイオウの濃度8%というのはかなり高いです。皮膚科で処方されるイオウ・カンフルローションよりも高い濃度です。
かなり刺激性が強いので、「肌が強い」と自信がある場合に使って下さい。
使い続けると赤みが残りやすい
イオウの作用が強いお薬なので、画像のようにニキビが治っても赤みが残ってしまうことがあります。赤みは毛細血管の拡張と増殖によるもの。
なので肌が弱い敏感肌の人には適していません。
また、一か所にずっと使い続けることでも赤みが残ったりします。
イオウを含む他の市販のニキビ薬
イオウは古くからニキビケアに使用される成分で、他の市販にきび薬にもイオウを主成分としたものが多いです。
有名なところでは主に以下のような商品があります。
- ピンプリット(イオウ4%)
- クレアラシル・ニキビ治療薬クリーム(イオウ3%)
- ビフナイト・にきび治療薬(イオウ3%)
- メンソレータムアクネス・ニキビ治療薬(イオウ3%)
他の市販にきび薬のイオウ濃度は3~4%レベルです。一方のエスカメルでは倍の8%を配合しています。
なので「エスカメルは効果も高いけど、副作用も強い」ということを認識しておいたほうがいいです。
使い方
エスカメルの使い方は、洗顔後に化粧水などで保湿した後にニキビにだけ塗ります。予防として広範囲に塗らないようにしましょう。
使用回数は1日1~2回、朝と夜に塗布します。脂性肌の場合は2~3回塗っても大丈夫です。
ピーリング作用が強いので、皮膚が薄い目の周囲には使わないほうがいいです。また、目に入ったらすぐに洗い流してください。
効果が見られないなら使用中止する
メーカーによると5~6日くらい使用して効果がなかったら中止したほうがいいとされますが、まずは2週間くらいは使い続けてみて下さい。
パッチテストしたほうがいい?
エスカメルは市販のニキビ薬の中でも刺激性がトップレベルなので、使う前にパッチテストをしたほうがいいかもしれません。
就寝前に製品をヒジの内側に塗って、翌朝、強い赤みやかゆみ、湿疹といった症状がみられた場合は使用禁止です。
肌色タイプだから目立たないけれど・・・
エスカメルの薬剤は肌色なので、ニキビに塗っても目立たないとされます。けれど、実際に使ってみると逆に不自然になったりします。
また、肌色タイプなので枕カバーなどに付いてしまうこともあると思います。
背中ニキビに効くかもしれないけど使いにくい?
背中ニキビに使う場合、背中の皮膚は顔の皮膚よりも厚くて刺激に強いので、エスカメルの高濃度イオウでも副作用の心配が少ないといえます。
ただし、薬剤が肌色をしているので、胸や背中ニキビに使うと服についてしまいます。
メーカーは顔のニキビに使うことだけを考えているようですが、この点は使いづらい点だと思います。
ニキビ跡には効かない
エスカメルはニキビ跡の色素沈着や赤みには効果なしです。刺激性があるので、むしろそれらを悪化させる可能性もあります。
また、ニキビ痕の凹みやケロイドなどにも効果ないです。
ニキビ以外には使用しない
エスカメルはニキビ専用のお薬です。水虫やマラセチア毛包炎などには効きません。また、ヘルペスなどにも効かないです。
保管について
製品は、きちんとキャップを占めて、直射日光が当たらない涼しい場所に保存してください。
冷蔵庫で保管する必要はありませんが、そこに入れていても大丈夫です。
紫外線ケアが必要!
イオウには角質を剥がすピーリング作用があります。つまり皮膚を薄くして刺激に弱い状態にしてしまうのです。
そのため、使用中、そして使用後1か月くらいは紫外線対策をしてください。肌の色が変わるような日焼けは厳禁です。
副作用
エスカメルの副作用で、患部の乾燥、皮むけ、ヒリヒリ感、湿疹、赤み、かゆみが現れる可能性があります。
また、強烈な接触皮膚炎を起こすこともあります。(特に肌が敏感な人)
イオウの配合量がとても多いので、他の市販のニキビ薬よりも副作用が現れやすいといえます。
それらの副作用の対処は以下の通り。
乾燥や皮むけの対処
エスカメルの使用によって、皮膚が極端に乾燥し、皮がむけたりすることがよくあります。
これはイオウやレゾルシンのピーリング作用によるものですが、そういった副作用が現れたら、まずは化粧水を使って保湿で対処してください。
オイルフリーの美容液を使い、肌を保護して使ってもいいと思います。
そして、少しくらいの乾燥や皮むけは問題ないです。使い続けて大丈夫です。
赤みはわずかなら使い続けてOK
刺激が強いエスカメル。その判断の目安が赤みです。赤みがわずかならば使い続けていいです。
ただし、塗ったすぐや翌日に赤みが強く出ていたら要注意。使い続けるとさらに赤みや色素沈着がひどくなることもあります。
ヒリヒリ感は少しならOK
塗った後に少しヒリヒリすることがあるかもしれません。肌が薄い人ほど起こりやすいですが、その刺激感がわずかなら使い続けていいと思います。
ただ、そのヒリヒリした痛みが強いのなら使用中止したほうが良さそうです。
塗ってすぐにかゆみがでる場合は使用中止する
エスカメルの主成分であるイオウやレゾルシンのピーリング作用で皮膚が薄くなり、肌が敏感になることでかゆみが現れやすくなります。これは仕方ないことです。
ところが、塗ってすぐにかゆくなった場合はアレルギー性接触皮膚炎を起こしている可能性があります。一般にかぶれといわれるものです。
そうなった場合は、使い続けると最悪の結果になるので、すぐに洗い流して、二度と使わないようにしてください。
イオウでかぶれてしまったら
写真はイオウでかぶれたもの。エスカメルは刺激が強いので、接触皮膚炎を起こしてしまうことも少なくないです。
ニキビ薬でかぶれた場合の対処としては、まず塗り薬を刺激性の低いもの変えたほうがいいです。そして刺激が低い市販の塗り薬というと抗生物質しかありません。
市販薬では以下のような製品があります。
- テラマイシン軟膏
- ドルマイシン軟膏
- クロマイN軟膏
それらはすべて2種類の抗生物質を配合していて、ニキビの原因菌を素早く死滅させます。副作用の発生率も低いです。
また、市販薬ではスキンセーフAPクリームというお薬もかぶれに効きます。
そのお薬は、抗生物質の塗り薬と組み合わせて使うこともできます。使う順番はスキンセーフAPを塗った後に抗生物質の軟膏を塗ります。
「ニキビ+かぶれ」に対して皮膚科ではどんな治療を行うのか?
エスカメルでかぶれがひどくなったら皮膚科を受診したほうがいいかもしれません。
皮膚科医は、「ニキビ+かぶれ」に対してゲンタシン軟膏やアクアチム軟膏やゼビアックスローションなどの低刺激の抗菌薬が処方することが多いです。
そして、同時にスタデルム軟膏、ベシカム軟膏などの消炎薬が処方されたりします。それらはステロイドではないので、副作用の心配はほとんどないです。
また、医師によってはステロイド軟膏を処方することもあるようです。ただし、ステロイドはかぶれには効きますが、ニキビにはマイナスに作用することもあります。
ニキビにステロイドを使い続けると回復が遅れて、色素沈着が悪化してしまうことがあるいのです。この判断は難しいところです。
なお、ステロイドを使う場合は副作用を考慮して1~2日間以内にしたほうがいいです。
そもそもイオウの濃度が高い薬は有効なの?
一般的な市販ニキビ薬のイオウ濃度(3~4%)と比較すると、エスカメルのイオウ濃度は約2倍の8%と高いです。
ところが、有効成分が倍だからといって効果もそれだけ高くなるかというと、実際にはそこまで効果に差はありません。
皮膚科のニキビ薬の試験結果においても、濃度を高くしても有効率は少し高くなるくらいだったりします。
そして、どんな成分においても濃度を高くすると副作用が大きくなる問題があります。
そのため、効果と副作用のバランスが良いお薬が理想的なのですが、エスカメルの場合はイオウ濃度がかなり高いので効果よりも副作用を強く感じることが多いかもしれません。
そのため肌のコンディションを見ながら、量を加減して使って下さい。
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