肌の露出が増える季節になると気になるムダ毛。
ワックス脱毛は、そんなムダ毛を一気に抜く脱毛法です。
温めたワックスを皮膚に塗り、冷えて固まったら剥がすという方法で、一度に広範囲の毛を抜けることが長所の一つです。
ところが、やはり肌に貼って剥がし取るという脱毛方法は皮膚に対する負担が大きくなる欠点もあります。
この方法は欧米から伝わった脱毛法で一時流行ったこともありますが、日本人の肌ではトラブルを起こすことが多い問題があるのです。
ワックス脱毛で引き起こされる肌トラブルとは?
一番多いのが毛嚢炎(毛包炎)
毛嚢炎(もうのうえん)とは、毛包(毛穴の内部)が損傷することでそこからばい菌が入り込んで起こる皮膚感染症です。
本来、皮膚と体毛はつながっており、それを無理やり抜いてしまうと毛穴は大きなダメージを受けることになりますが、ダメージを受けた毛穴内部から黄色ブドウ球菌が侵入して炎症を起こすのが毛嚢炎です。
他にも、毛包炎(もうほうえん)などともよばれたりします。
皮膚の浅い部分で発生したものは、小さなニキビのように赤くブツブツしています。そして、ニキビの芯がないので炎症は数日経てば治まることがほとんどです。
軽い場合は色素沈着なども起こさずに治ることが多いですが、炎症する場所やターンオーバーが低下した加齢肌の場合は色素沈着が残ることも。
毛嚢炎に効く市販薬
市販薬で毛嚢炎に効くお薬は以下のような商品があります。どれも2種類の抗生物質を含み、素早く細菌を抑制します。
- テラマイシン軟膏
- ドルマイシン軟膏
- クロマイN軟膏
病院で処方される毛嚢炎に効く塗り薬
皮膚科を受診すれば、毛嚢炎に対して以下のような塗り薬が処方されます。
- アクアチム軟膏
- ダラシンTゲル
- ゼビアックスローション
- ゲンタシン軟膏
おできといわれる強い腫れを起こすことも多い
毛を抜くと、毛穴の底、つまり皮膚の深いところが損傷します。
そして、そこから黄色ブドウ球菌のような病原性が強い細菌が感染すると、非常に強い毛嚢炎を起こす可能性が高くなります。
強い毛嚢炎を「おでき」、顔に発生したものを「めんちょう」といったりしますが、腫れがひくまで1~2週間かかり、比例して赤みや色素沈着もひどくなります。
おできには抗生物質の塗り薬を使ったりしますが、病巣が深いのであまり効きません。でも何もしないよりは使ったほうがいいです。
一番効くのは抗生物質の飲み薬ですが、抗生物質の内服は耐性菌を生じたり、腸内細菌バランスを崩すことになる問題もあります。(判断が難しい)
メラニン性の毛穴の黒ずみ(色素沈着)
皮膚はダメージを受けるとメラニン色素を作り出します。これは一種の防御反応によるもの。
なのでワックス脱毛のように毛を無理に抜く行為は皮膚を傷つけることになり、同時にメラニン色素の生成を促しているということになります。
それを続けているとしだいに毛穴が黒ずんできてポツポツとシミのように残ってしまうことがよくあります。
メラニン色素が作られても通常はターンオーバーによって角質とともにメラニンは排出されますが、何度も炎症が続いたり、老化によって角化異常を起こすと、皮膚に沈着してしまうようになるので注意して下さい。
埋没毛もおこりやすい
埋没毛(まいぼつもう)とは、通常は毛穴から出てくる毛が、皮膚の中に埋もれてしまう現象をいいます。
ワックス脱毛のような「抜く」方法では皮膚に対する負担が強いので、防御反応として肌が厚くなっていきますが、その厚くなった皮膚の中で毛が埋まってしまうことが多くなります。
また、完全に毛が抜ききれず、毛穴の中で渦巻き状に伸びて起こることもあります。
なお、埋もれた毛は見た目を気にしなければ、そのままにしておいても問題ありません。
埋没毛はありふれたものなので心配ないです。しだいに毛は表面にでてきます。
鳥肌状のブツブツ
ワックス脱毛のような抜く脱毛を繰り返していると、皮膚が鳥肌のようにブツブツになってしまうことがあります。
これは、本来は皮膚とつながっている体毛を無理に抜くことで、皮膚も一緒に引っ張られたまま残ってしまうことが原因だと考えられています。
また、皮膚が繰り返しダメージを受けることで毛穴の底の皮膚が瘢痕化し、ブツブツになってしまうことも考えられます。
欧米では一般的でも日本人の肌には合わない
ワックス脱毛という方法は、欧米ではわりとポピュラーな脱毛法です。
特にフランスやイタリア、北欧などでは盛んで、エステだけではなく自分でムダ毛処理する場合でも一般的に行われています。
なお、海外では腕毛や脚の毛、またはアンダーヘアだけではなく、例えば眉毛においてもワックス脱毛を行うことも珍しくないです。
肌質が日本人と違うので、色素沈着を起こす恐怖感が少ないようです。
白人と日本人の肌質の違い
白人は日本人よりも皮膚の角質層が厚いので、一般に物理的な刺激に強いとされます。
表皮層の厚さでいえば日本人より20~30%ほど厚いという報告もあります。
そして、白人はメラニンを作り出す能力が低いので、もし毛嚢炎のような炎症が起こっても色素沈着が起こりにくいです。
なので、ワックス脱毛における肌トラブルに対してあまり抵抗感をもってないといいます。
日本人の肌質はわりとメラニンを作り出す能力が高いので、もし炎症が起こってしまったらシミに・・・という不安をもっているものですが、白人にはそういう意識が低いようです。
毛穴トラブルを起こさないワックス脱毛のポイント
できれば、ワックス脱毛は行わないほうがいいですが、それでも行う場合は以下の事柄に気を付けて下さい。
- 肌が乾燥してガサガサしているときにはワックス脱毛を行うと毛嚢炎を起こしやすくなります。保湿してから行いましょう。
- 使用前には温水などで皮膚を温めてから行うと毛が抜けやすくなり、痛みや炎症を防ぐことができます。
- ムダ毛処理後はアイスパックや冷水シャワーなで皮膚を冷やしてクールダウンさせると毛嚢炎などのトラブルを大幅に軽減できます。これはヤケドした後に肌を冷やすのと同じ理論です。
- ワックス脱毛後には保湿スキンケアすることで炎症を予防できます。
- 月経後(生理後)から1週間は卵胞期といわれるエストロゲンという女性ホルモンの分泌が高まる時期です。この時期は、エストロゲンの影響で肌トラブルが起こりにくくなるため、ワックス脱毛を行う場合はその時期に行ったほうがいいです。
- 妊娠中はワックス脱毛はやらないほうがいいです。特に妊娠初期はプロゲステロンという女性ホルモンが増えることで色素沈着が起こりやすくなります。
ワックス脱毛の良いトコ悪いトコまとめ
メリット
- ピンセットを使用した毛抜きと違い、ワックス脱毛は一度に広範囲の体毛を処理できる。
- 1本1本抜く方法よりも短時間で体毛処理できる。
- ワックスの成分(パラフィンやミツロウなど)が保湿効果となり、例えば脱毛テープなどと比較すると肌への負担が少ない。
- 皮膚が温められるため毛が抜けやすくなり、痛みも軽減できる。
デメリット
- ワックス脱毛は皮膚に貼って剥がし取るといった脱毛法であるため、肌全体への負担が大きい。余計なところまでダメージが及ぶ。
- 「抜く」脱毛法は、皮膚の深いところで発生した強い毛嚢炎を引き起こす可能性がある。
- ワックス脱毛をやりすぎると皮膚が鳥肌状になってしまうことがある。
- 繰り返してワックス脱毛を使うと、しだいに毛穴の黒ずみ(しみ)、色素沈着をまねくことがある。
- 脱毛が中途半端になったり、防御反応で肌が厚くなったりすることで、埋没毛(毛が皮膚の中に埋もれてしまう状態)を引き起こすことがある。
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