目の下やまぶたの白いブツブツは稗粒腫。治療と自然に治る期間について

稗粒腫(はいりゅうしゅ)の画像 画像は稗粒腫という症状です。

まぶたや目の下などの目の周りにニキビのような白いブツブツが現われた場合、稗粒腫(はいりゅうしゅ)という症状かもしれません。「ひりゅうしゅ」とも呼ばれます。

今回の記事は、稗粒腫の原因と、ニキビとの違い、皮膚科での治療法、自分での治し方などを詳しく解説していきます。

稗粒腫とは?

目の下の稗粒腫の画像 稗粒腫(はいりゅうしゅ)とは、皮膚の表面、浅い部分にできる角質や皮脂がたまった袋状のしこりです。

写真のように直径は1ミリくらいから2ミリほどで大きくてもゴマくらいの大きさです。米粒よりも小さいです。

見た目ではニキビの芯が溜まったように見えます。触ってみると硬くとがったような感触があります。痛みやかゆみなどはないです。

軽い炎症により赤くなったりすることもありますが、ひどい腫れをもたらすようなことはほとんどありません。

この症状は特に子供や若い女性の顔に多く発生する傾向があります。

発生しやすい顔の部位

頬の稗粒腫(はいりゅうしゅ)の写真 顔の部位としては、特にまぶたや目の下、眉間などの目の周囲に発生しやすいのが稗粒腫の特徴です。また、頬なども発生しやすい部位の一つです。

白いポツポツが1つ2つできる場合が多いですが、一部分に10個以上多発することもあります。

少しブツブツとできるくらいならば決して珍しいものではありません。なお、筆者も20代前半の頃までに何度か目尻に稗粒腫ができたことがあります。

自然に治る期間は?

この症状は放置していればしだいに大きくなっていきます。そして、いつの日かポロっと取れて自然に治るものです。

稗粒腫が自然に治る期間は、数か月から約1~2年単位の期間です。皮膚から押し出される形で、ある日ポロっと取れたり、洗顔をしていたらいつの間にか無くなってたりします。

気にしなければ積極的な治療の必要はない

この症状は良性のしこりであり、自然に治るので見た目を気にしなければ積極的な治療を受ける必要はないです。

ところが、自然に治っていくペース以上に発生するスピードが早くてブツブツが多発してしまうこともあるので、その場合は積極的に治療を受けてもいいかもしれません。

なお、稗粒腫は治療しても再発しやすいのが難点です。

稗粒腫の原因とは?

毛の構造のイラスト 主に若い時期に発生しやすい稗粒腫ですが、その原因は皮膚の毛包(毛穴の内部)や皮脂腺が未発達なことが要因で発生します。

通常は、ターンオーバーといわれる肌の新陳代謝と一緒に角質は垢(あか)となって剥がれていくのですが、稗粒腫の場合は毛包や皮脂腺の形成が不十分なので皮膚内部の浅い部分で角質が溜まってポツポツとニキビにように発生してしまいます。

また、稗粒腫はまれに強いすり傷や切り傷、皮膚を削る手術などをした後に、汗を出す管の先端がふさがって生じることもあります。

よく見られる症状ですが、体質的にできやすい人とそうでない人がいます。特別な原因がなくても発生するケースがほとんどです。

なお、女性の場合は目元へのファンデーションやアイメイクなどが肌に残り、毛穴がつまってニキビが発生したと思う人が多いです。

ニキビだと思って下手に潰そうとしたり、押し出そうとしたりするとかえって炎症を起こし、赤みが残ったり、色素沈着を起こしたりすることがあるので注意しなければいけません。

ステロイド治療をしていると発生しやすくなる

アトピーや慢性湿疹などでステロイド治療を続けていると稗粒腫が発生しやすくなります。ステロイドは皮膚のターンオーバーを抑えてしまい、正常な角化現象が乱してしまいますので、稗粒腫の原因となるようです。

ストレスも影響する?

ストレスや疲れが続くと稗粒腫ができやすくなる可能性があります。ストレスはターンオーバーを乱したり、肌の潤い成分(例えばセラミド)の合成を低下させてしまう原因となるので、肌に異変が起こりやすくなると考えられます。

筆者が昔勤めていた皮膚科で「疲れると稗粒腫ができやすくなる」といっていた患者さんもいました。参考までに。

検査方法

検査方法についていえば、皮膚科を受診すれば特に専門的な検査をすることなく見た目で判別されます。

特にまぶたや目の下のような皮脂が少なくてニキビができにくいところに白くてはっきりとした盛り上がりができた場合は、稗粒腫だと判断しやすいです。

ただし、眉間や頬などにできたものは一般的な白ニキビとの区別が難しいことがあります。カウンセリング時に、どのくらいの期間にわたってブツブツがあるかどうかを説明して下さい。

他の症状との違い

ニキビや汗管腫(かんせんしゅ)という症状と稗粒腫は似ています。それらとの違いを解説します。

稗粒腫とニキビの違い

Tゾーンのニキビの画像 単に白ニキビのように見えまるのが稗粒腫の特徴ですが、違いは稗粒腫の場合はまぶたや目の下などの皮脂が少なくてニキビができないような部分によく発生します。

そして、ニキビの場合はふさがった毛穴の中でニキビの芯(角質のかたまり)が発生しますが、稗粒腫の場合は毛穴ではなく皮膚の内部に角質がたまってポツポツと発生します。

そして白ニキビよりもとても長く肌に残ります。自然に解消されるまで月単位から1年くらいかかります。長く残るので、「大きなイボとなって永久的に残ってしまうのでは?」と心配する人もいるくらいです。

稗粒腫と汗管腫の違い

汗腺腫の画像 稗粒腫と似ている症状の一つに、汗管腫(かんせんしゅ)という症状があります。

汗管腫は、汗管(汗を出すところ)という器官が増殖してできた白色~肌色の盛り上がりです。男性よりも女性に多く、目の下に発生しやすいことから稗粒腫と間違えやすいといえます。

その2つの違いは、稗粒腫の場合は1ミリ前後の白くはっきりとした盛り上がりがポツポツとできます。しこりには先端がとがったような感触があり硬さがあります。

一方、汗管腫の場合は、直径1~5ミリくらいで、やや平らで軟らかさがあります。とがったような感触や硬さはないです。

なお、汗管腫も悪性ではないので見た目を気にしなければ治療の必要はないですが、治したい場合はCO2レーザーやエルビウムヤグレーザーなどの皮膚を削ることができるレーザー治療が効果的です。ただ、うっすらと跡が残ってしまうこともあります。

病院における稗粒腫の治療法

光の加減で目立つ稗粒腫。女性の場合はお化粧のりが悪くなったりするので、すぐにでも解消したいという人は多いです。

治療についていえば、皮膚科で行う場合は針で穴をあけてピンセットなどで押し出す方法が一般的です。保険適応になる可能性もあります。

説明するよりも動画をみてもらったほうがわかりやすいと思います。

映像では専用の器具やアドソン鑷子(ピンセット)を使って稗粒腫をもたらす老廃物を解消しています。

また、少ないですが針ではなくレーザーで穴をあけるクリニックもあります。

Step1専用の極細針で穴をあける

稗粒腫に穴をあける画像 治療は、まず画像のようにまず稗粒腫の先端を極細の針を使って穴をあけていきます。一つの小さな穴では出にくいことがあるので、3~5か所くらいに分けて針を刺していきます。

まぶたなどの目に近いところに穴をあける場合は、目を傷つけないように気をつけないといけません。針を使った方法は色素沈着などの跡を残さずにキレイに治る無難な方法です。

レーザー治療で穴をあけることもある

皮膚科では、針を使うほかにレーザーで穴をあけることもあります。使用するレーザーはCO2レーザー(炭酸ガスレーザー)やエルビウムヤグレーザーなどがあります。

ただし、レーザーは損傷レベルが強いので色素沈着を起こしたり、瘢痕化して凹んでしまうこともあります。特にCO2レーザーは損傷レベルが強く、色素沈着を起こしてしまうことがよくあります。

Step2ピンセットで稗粒腫を押し出す

稗粒腫を押し出す画像 ピンセットを上手に操って稗粒腫の原因となる老廃物を取り出します。ニキビの芯を取り出すときに使用するコメドプッシャーを使うこともできます。

目元の稗粒腫を治す場合は、眼球を傷つけないように注意しなければいけません。なお、まぶたに発生した場合は、取り除くのが難しいことがあり、その場合は自然に取れるのを待ったほうがいいケースがあります。

Step3取り出された稗粒腫の老廃物

押し出された稗粒腫の老廃物の画像 画像は取り出された老廃物です。白い色をしています。角質や皮脂などが混ざったもので、基本的にニキビの芯(角栓)と同じようなものです。

老廃物が大きい場合は、ゴマのような大きさをもつ場合があります。酪酸やイソ吉草酸(きっそうさん)という成分により、チーズのような臭いがします。

Step4消炎効果のある軟膏を塗る

治療後は、炎症を予防して回復を良くする軟膏を塗ります。医師に処方してもらえると思います。

穴をあけた部分は若干の跡が残ると思いますが、若い時期なら1週間ほど、それ以外でも2週間ほどで跡は治ると思います。

また、レーザーを使用した場合は、針で治療したよりも跡が残りやすいですが、2週間くらいから1か月くらいでレーザー跡は消えると思います。若い時期は跡が消えやすいです。

そして、傷がある場合は絶対に日焼けはしないで下さい。紫外線によって色素沈着が残ってしまう可能性があります。

自分で治すときの注意点

皮膚科などを受診しなくても稗粒腫は自分で治すこともできます。その場合は以下の道具を準備して下さい。

稗粒腫を出す道具の写真
  • できるだけ細い針(まち針でもOK、安全ピンは少し太い)
  • ピンセット
  • コメドプッシャー
  • オロナイン軟膏などの殺菌剤

鏡を見ながら針やピンセットなどを上手に操って丁寧に取り除いて下さい。大きいものだけに対して行うのがポイントです。大きくなる前の小さいものは老廃物を取り出しにくいと思います。

そして、針が太い場合や深く刺さった場合は血が出ることもあると思いますが、垂直的な出血なら色素沈着を起こす心配はほとんどないです。

皮膚の表面的な傷でなければ色素沈着のリスクは低いです。そして、うまく出てこない時は、あきらめることも大切です。

なお、この治療は再発することも多いので、あまり神経質にならないで下さい。

ニキビのように押し出すのはダメ?

ニキビの芯を押し出す画像 ニキビの芯を出す治療にコメドプッシャーという治療器が使用されることが多いですが、そのコメドプッシャーは稗粒腫にも使うことができます。

その場合は皮膚の内部に角質が溜まっているので、皮膚を薄く切って排出口を確保してから取り出すようにしましょう。

コメドプッシャーを使う場合は、きちんと皮膚に穴をあけて無理のない強さで押し出して下さい。目元は皮膚が薄く、強い刺激によってアザになりやすいので注意しないといけません。

予防にはヨクイニンが効く

毛穴が目立つ人、皮脂が多い人、ニキビができやすい人、シミができやすい人など、いろいろは肌質があるように、稗粒腫においても体質的にできやすい人がいます。

その体質を改善するためにヨクイニンという成分が予防効果があるとされます。ヨクイニンエキスはハトムギの皮を除いた種から作られる生薬です。

イボ取りの生薬として有名な成分で、ニキビや肌荒れを解消する目的で化粧品や医薬品に含まれることもあります。

ただし、これを試している人の口コミでいえばあまり効果がなかったという人が多いです。ヨクイニンは抗腫瘍作用によってイボの拡大を防ぎますが、稗粒腫はそもそも表皮細胞の増加などではないので、はっきりとした効果がないのかもしれません。

スキンケアも大切

体質的な要因が大きく関係する稗粒腫ですが、それを予防するには、顔をこすらない、保湿をこころがける、睡眠不足にならない、お化粧をしっかり落とすなどを心がけて下さい。

ピーリングでは治らない

ピーリング治療の画像 ピーリングによって角質を削ることで稗粒腫が排出されやすいように向かうように思えますが、ピーリングを行っても稗粒腫は解消されません。

この症状は、表皮層よりもやや奥に角質を中心とした老廃物が溜まっていますので、ピーリングのような表皮層のさらに表面だけを除去する方法では稗粒腫は治りません。

そもそも目元は特に皮膚が薄いので、その部分に対してピーリングのような角質をハイレベルで取り除くようなスキンケアは間違っています。稗粒腫は表面的に削って取るのではなく、ピンポイントに取り除くのが理想です。

色素沈着を起こしやすい人は止めたほうがいい

稗粒腫を治すときに、針で皮膚に穴をあけたり、ピンセットで押し出したりすることになりますが、その時に肌がデリケートな人は最終的にシミができてしまうことがあります。

肌の回復力に自信がない人はそのまま自然に治るのを待ったほうがいいかもしれません。