イオウカンフルローションのニキビ治療効果。使い方と副作用

イオウカンフルローションの画像 にきびに対して有効な外用薬の一つに「イオウカンフルローション」というお薬があります。

現在では、皮膚科で処方されることが少なくなりましたが、古くからニキビ治療に対して効果をあげてきた歴史があります。

今回は、イオウカンフルローションのニキビ治療効果と副作用、使い方などをまとめました。

効果

イオウカンフルローションは、「硫黄(イオウ)」と「カンフル」を組み合わせたニキビ治療薬です。それぞれの成分の効能は以下の通りです。

イオウの効果

イオウカンフルローションのニキビ治療効果と使用1週間後の画像 画像は炎症ニキビ治療において、イオウ・カンフルローションを使った1週間後の効果のもの。

炎症を抑える効果はしっかりしているのですが、刺激があるのでやや赤みが残りやすいのが欠点です。

殺菌効果

主成分であるイオウ(硫黄)には殺菌効果があります。ニキビは塞がった毛穴の中でアクネ菌などの細菌が増加することで発生するのですが、イオウはそのアクネ菌を殺菌する効果があり、ニキビの炎症を早く治す効果があります。

厚くなった角質を柔らかくする

また、イオウには角質柔軟作用があります。ニキビはターンオーバーが過剰に進んで角質層が厚くなり、毛穴が塞がってしまうことで発生しますが、イオウの角質を軟化させて剥がす作用によってニキビの頭部を柔らかくし、ニキビの芯(角栓)が取れやすい状態に導きます。

余分な皮脂を抑える

そして、イオウには脱脂効果があります。ニキビの原因は過剰な皮脂が主な要因ですが、イオウの脱脂作用によってニキビ予防につながります。イオウカンフルローションのニキビ治療効果は、ほとんどがイオウに働きによるものです。

カンフルの効果

もう一つの主成分であるカンフルには、抗炎症作用(消炎作用)があり、白ニキビや炎症が進行した赤ニキビや化膿ニキビの腫れを予防改善します。

この作用により、ニキビ跡の赤みや色素沈着の悪化も抑えることができます。また、血行促進作用や痛み、かゆみを抑える作用などもあります。ただし、このローションに含まれるカンフルの消炎作用は緩やかです。劇的な効果は期待できません。

適応症状

ニキビの種類の写真 イオウカンフルローションは、主に白ニキビから炎症が進行した赤ニキビに効果的です。軽度から中程度のニキビに使用されます。白ニキビの場合は脱脂作用により白ニキビを乾燥させて治します。

黒ニキビに使用してもかまいませんが、特に炎症を起こしていない場合は通常使用しません。乾燥させる作用があるため、どちらかというと思春期ニキビなどの肌が脂っぽい状態に適しています。

また、イオウカンフルローションには刺激性があるため、乾燥肌のニキビや敏感肌のにきび、アトピーと併発したニキビ、かゆいニキビなどには適していません。

古い薬と言われるけど今でも良いにきび薬

皮膚科におけるニキビ治療において、イオウカンフルローションが使用されてきた歴史は長いです。

現在ではディフェリンゲル(ターンオーバー抑制剤)やベピオゲル(殺菌薬)、エピデュオゲルといった改善率が高い良い塗り薬が登場したことで今となってはイオウを使ったニキビ治療は「古い」と認識されるようになりました。

ところが、イオウカンフルローションが現在でもニキビケアに対してとても良いお薬であることには間違いありません。

抗生物質のように耐性菌を生じて薬が効きにくくなるといった問題がないため長く使い続けることができます。

そして、人によってはディフェリンゲルやベピオゲルといった塗り薬が肌に合わないこともよくあり、昔ながらのイオウ薬が最も適しているケースもあります。

敏感肌には適してない

イオウカンフルローションは刺激性があるので、肌が弱い人や敏感肌の人は適していません。

敏感肌の人は、アクアチム軟膏やゲンタシン軟膏などが理想です。クリームよりも軟膏タイプのほうが刺激性が低いです。

真菌には向かない

真菌(しんきん:カビのこと)が原因の皮膚病、例えばカンジダ皮膚炎やマラセチア毛包炎、脂漏性皮膚炎などはイオウでは効きません。

特にカンジダ皮膚炎や脂漏性皮膚炎などの場合は皮膚の表面的な炎症が起こるので、イオウの刺激によってむしろ悪化する可能性が高いです。

ウイルス性の皮膚病にも効かない

口唇ヘルペスや性器ヘルペス、また帯状疱疹といったウイルスが要因となる皮膚病にもイオウカンフルローションは効果ないです。

使用方法

綿棒で塗る画像 イオウカンフルローションの使い方は、1日1~3回、洗顔で肌を清潔にした後、化粧水などで肌を保湿してからニキビに適量塗ります。綿棒やコットンなどを使うのが理想です。

イオウには乾燥させる働きがあるため、洗顔後すぐに塗ると、角質が剥がれてガサガサになってしまうことがあります。そのため、化粧水で潤いのベールを作ってから使用して下さい。

そして、イオウカンフルローションは通常は容器をよく振ってから使用しますが、イオウが乾くとイオウの粉末が肌に残って目立つため、朝は薄く塗ったり、うわずみだけを塗ると良いとされます。

日中はできるだけ紫外線を浴びないようにしましょう。ニキビがあるときに紫外線を浴びていると色素沈着が悪化する原因になります。

銀製品・シルバーアクセサリーに付着させない

イオウは銀製品を変色させてしまう性質があります。そのため、シルバーアクセサリーなどを身につけるときにはイオウが付着しないように注意して下さい。

保管方法

冷蔵庫の写真 イオウ・カンフルローションは冷蔵庫の保管が基本ですが、1週間ほどで使い切る場合は、紫外線が当たらないところで、気温が高くならないような冷暗所に保管します。

皮膚科で処方される場合でも防腐剤が配合されていると思いますが、処方されたら早めに使い切るようにするのが理想です。

配合成分

皮膚科で処方されるイオウカンフルローションには、精製水、イオウ、カンフルを中心に、エタノール、防腐剤(パラベン系)などが含まれます。薬剤師さんが調合して作ってくれるはずです。

なお、市販されているものでも同じような成分で作られています。

皮膚科で処方してもらうには?

皮膚科で処方されるニキビ治療薬の画像 イオウカンフルローションは、ニキビの症状があれば皮膚科で処方してもらうことができます。保険適応です。

ただし、皮膚科医によってはこの塗り薬よりも違うにきび治療薬をすすめる医師もいるかもしれません。(古いお薬なので)

イオウには脱脂作用や角質を剥ぐ作用があるため、肌が乾燥しているような肌質にはこの薬ではなく、他のニキビ治療薬が処方されることが多いです。

なお、皮膚科で処方されるニキビ外用薬は、ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)、デュアック配合ゲル、ダラシンTゲル(抗生物質)、アクアチムクリーム(抗菌薬)、ディフェリンゲル(アダパレン)、ゼビアックスローションなどがよく使用されます。

イオウカンフルローションは、近年では皮膚科で処方されることは少なくなりましたが、ニキビの症状によってはこのお薬でも十分な効果が得られることも多いです。

皮膚科以外で購入できる?

ビフナイト イオウは市販薬に使用することが許されています。そのため、ニキビケア化粧品によく配合されています。

市販のにきび治療薬ではビフナイトやピンプリット、クレアラシル、アクネスなどが殺菌薬としてイオウを含んでいます。

副作用と使用上の注意点

イオウカンフルローションでかぶれた写真 副作用についていえば、イオウカンフルローションを使い続けると、乾燥、赤み、かゆみ、ヒリヒリした刺激感などが現れることがよくあります。

これは主成分のイオウとカンフルのうち、イオウによる副作用によるものです。

塗った後すぐに強い赤みやかゆみ、ピリピリした痛みがでた場合は、かぶれを起こしている可能性があります。かぶれとは接触皮膚炎のことです。写真参考。

その場合は、使い続けるとニキビがかえってひどくなってしまうので、洗い流して使用中止して下さい。そしてかぶれがひどい場合は医師に診てもらいましょう。

副作用の乾燥は効能的によく起こる現象

イオウには濃度が高くなるほど皮膚に対して刺激性が強くなる副作用があります。これは、イオウには角質を剥がす作用があることや、脱脂作用があるためです。

皮脂を取る作用や角質を薄くする作用があるので、肌が乾燥してガサガサになったり、皮がめくれたり、皮膚が赤くなったりすることがあります。

それらは薬が効いている証拠でもありますが、その赤みや乾燥が強い場合はお薬が肌に合っていない可能性もあります。

副作用が気になるときはイオウを薄い濃度で使ったり、使用する前にしっかりと保湿して塗ったりすると副作用を抑えられます。

なお、皮膚科でイオウカンフルローションが処方される時、イオウの刺激を抑えるために同時にヒルドイドローションやビーソフテンローションといった保湿剤が同時に処方されることがあります。

使い方はヒルドイドで保湿した保護膜を作った後にイオウを塗ります。

皮膚がかゆくなることがある

ニキビのかゆみ イオウカンフルローションを使用して皮膚のかゆみなどの副作用が現れることがあります。

イオウには肌を乾燥させる作用や角質を剥がす作用、言い換えると肌を薄くする効能があるため、肌が敏感になってニキビにかゆみを感じてしまうことがあるのです。

また、そのかゆみはアレルギーの可能性もあります。強いかゆみがでたり、また直感で異常を感じたら迷わずに使用を中止しましょう。

かぶれてしまったらどんな治療が行われる?

「イオウカンフルローションでかぶれてしまった」

ベシカムクリームと軟膏の画像 その場合、皮膚科を受診すると非ステロイド系の消炎薬(例えばベシカムクリーム)などが処方されたりします。

そして、同時に副作用が少ない抗菌薬(ゼビアックスやアクアチム)なども処方されたりします。(消炎成分+殺菌成分の同時治療)

また、医師によってはステロイドを処方することがあります。このあたりはお医者さんによって判断は違います。

ステロイドは消炎効果と免疫抑制作用によりアレルギー反応を早く治す働きがありますが、使い続けるとニキビの回復を遅くしてしまう可能性もあります。かぶれたニキビに使うのならば2~3日以内にして下さい。