日本人と欧米人(白人種)の皮脂量や皮膚の厚さ、メラニン量の違い

毛の構造のイラスト 米国のある化粧品メーカーが日本人の皮脂量を調査した結果、日本人は外国人(白人系の欧米人)に比べて皮脂量が約20%ほど多いことが明らかになったそうです。

日本人は欧米人に比べて肌水分量が高いといわれますが、皮脂量が高いことが影響していると考えられます。皮脂が多いのは、日本の夏場は高温多湿でその時期に皮脂腺が発達しやすいことが影響しているのではないかという説があります。

皮膚「表皮層」における日本人と欧米人の違い

日本人の肌はキメが細かい

キメが整った肌 日本人の肌は欧米人よりもキメが細かく整った状態だといわれています。キメが整った状態とは、皮丘と皮溝が小さくてくっきりとしており、それが規則正しく並んでいる状態です。キメ細かい肌は、より多くの光を反射してキレイで透明感のある若々しい肌に見えるようになります。

日本人は角質層が薄い?

皮膚の構造 日本人は欧米人(白人種)よりも表皮層が薄く、刺激に弱い傾向があるとされます。厚生労働省所管の研究所機関の調べでは、日本人の角質層は白人よりも厚みが1/3ほど薄かったという報告があります。

表皮層は、肌の表面にある厚さ約0.1~0.3ミリ程度の1ミリにも満たない薄い層で、表面から「角質層(かくしつそう)」、「顆粒層(かりゅうそう)」、「有棘層(ゆうきょくそう)」、「基底層(きていそう)」の4層で構成されます。この表皮層が薄いとバリア機能が弱くなるとされます。

例えば、欧米人に効果的な化粧品(成分)や成分濃度、また、様々な美容治療でも日本人の肌質には一般に合わないといったことはよくあります。

日本人はケミカルピーリングでトラブルが起きやすい

ピーリングの画像 ケミカルピーリングとは、角質を剥がす作用がある成分を利用して厚くなった角質を剥がし、毛穴つまりを予防する治療法です。日本では一般にニキビ治療に使用されますが、欧米ではしわ治療にも使用されることがあります。

シワ治療におけるケミカルピーリングは、通常よりも高い濃度の酸を使用して皮膚を強く剥がし、そのダメージから回復する時に発生する成長因子(細胞増殖因子)によって若返りを促すのですが、角質が薄い日本人が欧米人が行うような高い酸を使用したピーリングを行うとヤケドを起こしてケロイド・瘢痕を形成してしまう可能性があります。

欧米人は難治性ニキビになりやすい?

難治性にきび・化膿ニキビ 白人種は強く腫れたニキビが繰り返し発生して重症化してしまう傾向があるといわれています。

特に欧米人は思春期にニキビがひどく重度化してしまうことが多く、その時期にクレーター状に凹んでにきび痕となってしまうことが多いとされます。

白人種は日本人よりも皮脂量は少ないとされますが、角質層が厚いことや性ホルモンの分泌が高いことなどが影響してニキビが重度化しやすいのかもしれません。

欧米人と日本人のメラニン量の違い

人種によるメラニン量の違い 人間の肌の色はメラノサイトが作り出す「肌色メラニン(黄色)」と「黒色メラニン(黒色)」という2種類のメラニンのバランスによって決定されます。

そのメラニン色素を作り出す細胞をメラノサイト(色素細胞)といいますが、メラノサイトはどんな人種においても数に大きな違いはありません。

ところが、メラノサイトの活性度によって肌の色が大きく異なります。肌の色を決定する肌色メラニンと黒色メラニンのバランスは遺伝の影響を受けます。

人種によるメラノサイト活性の違い

メラノサイトは紫外線や物理的なダメージを受けたときに活性化しますが、人種によってメラノサイト(色素細胞)の活動に違いがあります。

黒人種

黒人種はメラノサイトが活性化しやすく、紫外線や物理的なダメージによってもさらにメラニン色素が活発に合成されます。メラニンが多いため、紫外線によるダメージを受けにくいとされます。

白人種

白人種はメラノサイトが活性化しにくい傾向があります。特に黒色メラニンを作り出す能力が低いため、とても白い肌になります。白人種はメラノサイトにメラニン合成を促す「メラニン細胞刺激ホルモン(MSH)」という伝達物質の働きも低いことがわかっており、メラノサイトに作用する伝達物質の働きが低い特徴があるようです。

日本人(黄色人種)

日本人を含む黄色人種は、基本的にメラニンを作り出す能力は高いとされます。紫外線を浴びなければある程度は白い肌を維持できますが、紫外線を浴び続けると一気にメラニン色素が作られて褐色の肌になります。紫外線を浴びるほどメラノサイトは発達するため、元の白い肌に戻りにくくなります。

日本人や黒人種は色素沈着を起こしやすい

ニキビ跡の赤みや色素沈着の画像 にきびなどの皮膚の炎症や外傷によって色素沈着を起こしますが、メラニンを作る能力が高い黒人種、日本人は色素沈着ができやすい傾向があります。

一方、白人種は元々メラニンを作り出す能力が低いので色素沈着が発生しにくく、大きく怪我しても色素沈着を起こさずにキレイに治ることも多いです。

白人種は怪我を負うことにあまり抵抗感がない人が多いといいますが、傷跡が残りにくいことが影響しているのかもしれません。

白人系のYouTuberによる「大怪我してしまうような動画」を見かけることが多いですが、日本人と比べて怪我が怖いという意識が低いみたいです。

皮膚「真皮層」における日本人と欧米人の違い

皮膚の構造 表皮においては日本人よりも欧米人(白人種)のほうが厚いとされますが、真皮層においては日本人のほうが欧米人よりも厚いといわれています。真皮層とは、表皮層よりさらに奥の層で、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などが存在する層です。

真皮層の厚さは、皮膚の部位によって異なりますが通常1~3ミリほどの厚さで、目元などの薄い部分では1ミリ程度、頬などでは2~3ミリ程度の厚さがあります。この真皮層に存在するコラーゲンなどの線維組織が肌の若々しさを大きく左右します。

日本人はシワ・小じわができにくい?

白人種は、年齢を重ねるほどシワ・小じわ、たるみが目立つ人が多く、実際に肌の弾力性も若干低い傾向がありますが、真皮層が薄いことが要因の一つかもしれません。また、メラニンが少ないことから紫外線の影響を受けやすい要因もあると思います。(光老化)

一方、日本人は欧米人と比較してシワができにくい傾向がありますが、その要因の一つが真皮層が厚いことが関係していると考えられます。

黒人種や日本人はケロイド・瘢痕形成を起こしやすい

傷跡・ケロイド・肥厚性瘢痕 怪我をすると傷を修復するためにコラーゲンが増生されていったんは瘢痕が形成されますが、この瘢痕が過剰に形成されるとケロイド・肥厚性瘢痕という盛り上がった傷跡を形成するようになります。このケロイド・瘢痕は黒人種が最も発生しやすく、日本人(黄色人種)もどちらかというと発生しやすい傾向があります。

一方、白人種はケロイドを起こしにくいとされます。瘢痕が形成されやすいのは、真皮が厚いこと、傷を修復するコラーゲン合成が活発に働きやすいことなどが主な要因です。

例えば、白人女性は帝王切開(お腹を切開して赤ちゃんを取り出す方法)にあまり抵抗がないといいますが、皮膚を切っても比較的キレイに治りやすいことから、その方法に抵抗感がないのかもしれません。

日本人は皮下組織が厚い

日本人は欧米人(白人種)に比べて皮下組織が厚いといわれています。皮下組織とは主に皮下脂肪が多く存在する層です。

日本人は欧米人に比べて皮膚にシワができにくく、丸みがあって若々しく見えるのは皮下脂肪が多いことが要因の一つかもしれません。欧米人には日本人の顔が童顔に見えることが多いといいます。