化膿ニキビを治す方法。効果的な市販薬と皮膚科の塗り薬や内服薬一覧

化膿ニキビの画像 ニキビの炎症が悪化してしまうと腫れが大きくなって化膿したニキビとなってしまうことがあります。

化膿ニキビは皮膚の損傷レベルが高く、強い赤みやモヤモヤしたシミといったニキビ跡も悪化してしまうようになり、炎症レベルや肌質、発生部位などによってはニキビ痕が陥没してクレーターといわれる凹みとなってしまうこともあります。

そのようなニキビ跡をできる限り残さないために、化膿ニキビは早めに塗り薬や飲み薬などを使って積極的に治療するのが理想です。

今回は、化膿ニキビの原因と、効果的な市販薬、また皮膚科医が処方する塗り薬や内服薬などをご紹介します。

ニキビの原因と化膿する仕組み

ニキビのメカニズム ニキビは毛穴がふさがってしまうことで発生しますが、毛穴がつまってしまう主な原因が皮脂の増加です。

皮脂の増加によって皮膚常在菌のアクネ菌なども増加し、常在菌が皮脂を分解して生じる遊離脂肪酸という物質も増えるようになります。

その遊離脂肪酸は皮膚に対して刺激性が増大する性質があり、その刺激性が毛穴をつまりやすくする原因となってしまいます。

そして、ふさがってしまった毛穴でアクネ菌が増加するとニキビが発生して赤く腫れるようになります。

ニキビの一番の原因は皮脂の増加によるものですが、他にもストレスなどによって皮膚のターンオーバーが乱れることで毛穴がつまりやすくなり、最終的にニキビが多発してしまうこともあります。

化膿ニキビの「化膿」とは何?

炎症性の赤ニキビ 化膿ニキビは、皮膚の深い部分で炎症を起こした赤ニキビがさらに悪化した状態です。

赤ニキビは強い炎症が起こる初期段階ですが、化膿ニキビは炎症が続いた結果、患部がうっ血によって腫れて硬くなり、毛包に膿(うみ)が多く発生します。膿は炎症が起これば少なからず発生するものですが、化膿ニキビは膿が大量に発生します。

膿(うみ)は、ややネバネバしていて黄色がかった色をしていますが、これはニキビの原因菌(アクネ菌など)と白血球が戦った死骸や体液によって発生するもので、正常な免疫反応によってもたらされます。

膿の色が黄色っぽい色をしていることから化膿ニキビは「黄ニキビ」といわれることがあります。

腫れが強いものは黄色ブドウ球菌が影響する?

膿が溜まったおでき 一般に、ニキビはアクネ菌という皮膚常在菌が増加することで発生しますが、化膿ニキビのような悪化した腫れ物は、黄色ブドウ球菌という細菌が原因となることがあります。

黄色ブドウ球菌は皮膚に生息する菌の中でも病原性が強く、皮膚の深い部分で炎症を起こせば、とても強い腫れを起こすことがあります。おできやとびひという化膿性が強い皮膚感染症も黄色ブドウ球菌によるものです。

化膿にきび対策

刺激を与えないのが基本

ニキビに触れる画像 化膿したニキビは皮膚の損傷レベルが非常に高い状態ですが、その化膿ニキビにさらに刺激を与えると、様々な生理活性物質や伝達物質が発生して、さらに炎症反応を大きくしてしまい、皮膚の損傷もより強くしてしまいます。

そのため、化膿ニキビはできるだけ触れないようにしましょう。額やこめかみなどにできた化膿ニキビの場合は、髪の毛の刺激などにも注意して下さい。整髪料もできれば控えましょう。

潰さないのが基本

コメドプッシャーでニキビ芯出しの画像 基本的に化膿ニキビは潰さずに治すのが原則です。ニキビの表面に白っぽく膿が現れている状態では、コメドプッシャーという器具を使ってニキビの芯や膿を出してあげることで、より早く治る可能性があるのは事実です。

ところが、中途半端な芯出しになると、さらにニキビの腫れが悪化して跡がひどく残ってしまうことがあります。ニキビの芯そのものが異物となって炎症反応を起こすため、芯が残ってしまうと炎症が続いてしまうのです。

そのため、ニキビの芯が取れそうにないタイミングでは絶対に潰さないで下さい。芯出しの判断は難しいところですが、化膿ニキビは下手に扱わないことが基本です。

洗顔やクレンジングも優しく洗う

腫れが強いニキビがある時は、洗顔にも注意して下さい。化膿ニキビは刺激によってさらに悪化してしまうので、たくさんの泡を作って肌をこすらないように優しく洗いましょう。

また、化粧水をつかったパッティングや、顔のマッサージなどもニキビの刺激となるため控えて下さい。マッサージのような肌を温める行為は炎症を悪化させる原因です。

皮膚を冷やすと炎症が軽減する

ローションパック ニキビが化膿した場合、皮膚を冷やすことで腫れを抑制することができます。皮膚を冷やすことで毛細血管を収縮させ、様々な炎症性物質の発生を抑えることができます。

おすすめはローションパックです。冷蔵庫で化粧水を冷やし、それをコットンに含んで冷却パックすることで化膿したニキビの赤みや腫れが改善傾向に向かいます。

化膿ニキビの治りをよくする栄養素

ビタミンB群を摂取する

ビタミンB群 ビタミンB2やビタミンB6などのビタミンB群が不足すると、ニキビができやすくなることがあります。

ビタミンB2やB6は肌のターンオーバーを正常化したり、皮脂の分泌を抑制する働きがあるため、不足するとニキビが悪化しやすい体質になってしまうのです。

また、ビタミンB2やB6、ナイアシンやビオチンなどのビタミンB群は、ニキビ跡の炎症性色素沈着の悪化を予防し、さらに高い改善効果も期待できます。

それらのビタミンが十分に存在する肌は、ニキビが化膿してもシミができにくい肌へと導きます。

ビタミンB群はビタミンC以上のメラニン抑制効果があるという研究結果も報告されています。

ビタミンB群は様々な食品に幅広く含まれていますが、バランスの良い食事をおくっていても不足ぎみになることがあります。その場合はサプリメントを利用するのも一つの方法です。

ニキビ跡の治りを早くするビタミンC

ビタミンC ビタミンCはニキビ跡のモヤモヤしたシミの治りを早くしてくれる効果があります。ビタミンCはチロシナーゼ酵素を阻害してメラニン生成を抑えることでニキビの炎症によって発生する色素沈着の予防や改善効果をもたらします。

また、ビタミンCはコラーゲンの合成を促したり、化膿ニキビによる皮膚損傷の治りを良くしてくれます。

他にも、ビタミンCは優れた抗酸化作用をもつことで老化防止にも役立ちます。抗酸化作用によって酸化したビタミンAやビタミンEを還元する働きもあります。

ビタミンCの摂取のポイント

ビタミンCサプリを飲む ビタミンCは、果物類ではグレープフルーツ、キウイフルーツ、イチゴ、みかんなど、野菜類にはモロヘイヤ、キャベツ、キャベツ、ほうれんそうなどに多く含有されます。

ビタミンCの1日の必要量は100mgが目安ですが、ビタミンCは水溶性ビタミンで体内に留めておくことができないため、サプリメントを利用しても良いと思います。

ニキビ跡のシミや色素沈着に効果があるビタミンCの量は、一日300~1000mg程度だといわれています。

ビタミンCは酸度が強いため、過剰摂取すると腸管を刺激して腹痛や下痢を起こすこともあります。胃腸が弱い人は気をつけて下さい。

皮膚科における塗り薬

化膿ニキビに対して皮膚科などで処方される塗り薬は主に以下のようなものがあります。すべて保険適応です。

ベピオゲル

ベピオゲルの画像 ベピオゲルは過酸化ベンゾイルという酸化剤を主成分とした塗り薬です。過酸化ベンゾイルをニキビに塗ると酸素が発生し、酸素を嫌うアクネ菌を死滅させる効果があります。

アクネ菌を減少させることで免疫反応が抑制され、化膿ニキビの腫れをとっていきます。

ベピオゲルは殺菌作用のほかにピーリング作用もあり、厚くなった皮膚を正常化する働きがあります。ヒリヒリ感や赤み、かゆみなどの副作用が現れやすいのが欠点ですが、炎症の強いニキビに良く効くお薬です。

デュアック配合ゲル

デュアック配合ゲルの画像 デュアック配合ゲルは、過酸化ベンゾイルとクリンダマイシン(リンコマイシン系抗生物質)を組み合わせたニキビ治療薬です。

過酸化ベンゾイルの殺菌作用と、クリンダマイシンのアクネ菌を抑制する相乗効果によって強力にニキビの炎症を治します。

デュアック配合ゲルは化膿したニキビに適したお薬ですが、効果が高い反面、赤みやかゆみ、ヒリヒリ感といった副作用も現れやすい傾向があります。

ダラシンTゲル

ダラシンTゲルとダラシンTローション ダラシンTゲルは、クリンダマイシンというリンコマイシン系抗生物質を主成分としたお薬です。ニキビの原因となるアクネ菌の増加を抑えてニキビの腫れを治します。

クリンダマイシンはニキビの原因菌に良い抗菌効果があり、赤ニキビや化膿ニキビに対して使用されます。白にきびや黒にきびなどの軽い症状には使用されません。ゲルタイプとローションタイプの2種類があります。

ゼビアックスローション

ゼビアックスローションの画像 ゼビアックスローションは、オゼノキサシンというキノロン系抗菌薬を主成分とした塗り薬です。抗菌作用に優れていて、にきびの原因となるアクネ菌や黄色ブドウ球菌に良い効果を示します。

また、ゼビアックスは刺激性やかゆみなどの副作用も現れにくい利点があります。ローションタイプで、皮脂が多い脂性肌にも使いやすいと思います。

アクアチム

アクアチムクリーム、軟膏、ローションの画像 アクアチムは、ナジフロキサシンというキノロン系抗菌薬を主成分とした外用薬です。

アクネ菌や黄色ブドウ球菌などの細菌のDNAの複製をブロックして殺菌的に作用し、主に赤ニキビや化膿ニキビに対して使用されます。

ゼビアックスローションと同じ系統のお薬で、ニキビ治療薬の中でも副作用が少ない長所があります。

アクアチムには、クリーム、ローション、軟膏の3種類がありますが、ニキビ治療にはクリームやローションがよく使用されます。クリームタイプでもベトベトせずにサラっと使えます。

皮膚科で処方される抗生物質の内服薬

女性医師によるカウンセリング写真 皮膚科では、化膿したニキビが多発したり、さらに悪化しそうな場合には、抗生物質の内服薬がすすめられることがあります。

抗生物質を服用することでニキビの原因菌を素早く減少させて腫れを治していきます。ニキビ跡の悪化も予防できます。

抗生物質には薬剤耐性菌が生じる問題があるため、炎症性が高いニキビ治療にのみ使用されます。病院でニキビ治療に処方される抗生物質は主に以下のようなものがあります。系統ごとにご紹介します。

マクロライド系抗生物質

抗生物質ルリッド(ロキシスロマイシン)の画像 マクロライド系抗生物質は、細菌のたんぱく質合成を阻害し、ニキビの原因となる細菌を減少させることで炎症を治します。

製品名では主に、ルリッド錠、ロキシスロマイシン錠(ルリッドのジェネリック)、クラリス、クラリスロマイシン錠(クラリスのジェネリック)など有名です。

それらは、細菌を抑える働きと共に炎症そのものを抑える働きがあるため、化膿したニキビ治療によく使用されるようになっています。

テトラサイクリン系抗生物質

抗生物質ミノマイシン(ミノサイクリン)の画像 テトラサイクリン系抗生物質は、細菌のたんぱく質の合成を阻害し、ニキビの原因菌を抑えることで化膿ニキビの腫れを治していきます。ニキビの原因菌であるアクネ菌に対して良く効くことで知られています。

製品名では、ミノマイシン、ミノサイクリン錠(ミノマイシンのジェネリック)、ビブラマイシンなどがあります。ただし、食べ合わせが悪い食品がいくつかあることが欠点です。

セフェム系抗生物質

抗生物質セフゾンの画像 セフェム系抗生物質は、細菌の細胞壁の合成を抑え、殺菌的に作用することでニキビの原因菌を死滅させます。 製品名では主に、セフゾン、バナン、フロモックスなどがあります。

それらは第三世代のセフェム系抗生物質で副作用が少ない利点があります。副作用の少なさからこの系統を処方するお医者さんは多いです。

ペネム系抗生物質

抗生物質ファロム(ファロペネム)の画像 ペネム系抗生物質は、細菌の壁の合成を阻害し、殺菌的に作用することでにきび菌を死滅させます。

化膿ニキビに対する抗生物質として第一選択肢となることは少なく、他の系統の抗生物質が効きにくい場合などに使用されたりします。製品名では主にファロムなどがあります。

ニューキノロン系抗菌薬

抗菌薬クラビットの画像 ニューキノロン系抗菌剤は、細菌のDNAの複製を妨げ、殺菌的に作用することで化膿ニキビの原因となる細菌を死滅させ炎症をとります。即効性が高い利点があります。

製品名では主に、クラビット、オゼックス、スパラ、シプロキサンなどがあります。副作用に日光過敏症があるのが欠点です。肌が弱い人は避けたほうが良いでしょう。

抗生物質の内服薬によって薬剤耐性菌を生まないためには、長期使用は避け、できるだけ短期間で炎症をしっかりと抑えてから治療を終了するのがポイントです。

医師や薬剤師の指示通りに服用し、決して中途半端な治療にならないようにしましょう。

漢方薬が化膿ニキビに効果的なケースも多い

漢方薬 繰り返し化膿したニキビが発生する場合は、一度漢方薬を試してみてはいかがでしょうか。漢方薬には、ニキビ体質を改善し、にきびが化膿しにくい体質へと導くものがあります。

漢方薬は効果が現れるまで時間がかかることがありますが、人によっては即効性も期待できます。中には抗生物質と同程度のニキビ改善効果が得られることもあります。

特に、にきびが治りにくい人で、抗生物質の使用が難しい人などは漢方薬が適しています。

化膿ニキビに対して効果的な漢方薬は、主に以下のようなものがあります。それらの漢方薬は保険適応で病院で処方してもらうことができますが、市販の医薬品としてドラッグストアや通販などでも購入できます。

十味敗毒湯

十味敗毒湯 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)は、10種類の生薬から作られる漢方薬で、皮膚の腫れや赤み、かゆみなどを抑制する働きがあります。また、そのような体質を改善します。

十味敗毒湯は、消炎効果がある生薬や患部の熱を取る生薬が含まれることから、化膿ニキビが多発しやすい人に対して良く使用されます。体力が中程度の人に適している漢方薬です。
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清上防風湯

清上防風湯 清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)は、12種類の生薬から作られる漢方薬で、ニキビ体質の改善が期待できる漢方薬です。顔や頭皮の熱を冷ますことで脂性肌を改善し、繰り返し発生するニキビを予防します。

また、消炎作用をもつ生薬を含むことでニキビの化膿も予防します。清上防風湯は、若い時期でエネルギーを作り出す能力が高い人に適した漢方薬です。

排膿散及湯

排膿散及湯 排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)は、6種類の生薬から構成される漢方薬で、炎症を治したり膿を排出を早めたりする働きがあります。

炎症を抑える生薬が配合され、ニキビが化膿しやすい人に使用されます。排膿散及湯は、体力に関係なく使用できる漢方薬です。

漢方薬は、体質改善を目的としたものなので、1か月以上は続けてみましょう。

効果的な市販薬

化膿したニキビにおいても市販されているニキビ治療薬によって改善効果が期待できます。主に以下のような治療薬があります。

オロナインH軟膏

オロナインH軟膏の画像 オロナインは、クロルヘキシジングルコン酸塩という殺菌成分によってニキビの原因菌を殺菌し、化膿ニキビの腫れを治します。

また、皮膚を柔軟にすることで膿やニキビの芯が排出されやすい状態へと導きます。

オロナインは、市販ニキビ治療薬として長年親しまれている製品ですが、人によってはオロナインに配合されるワセリンやオリブ油などの油脂成分がニキビ肌に合わないケースもあるようです。

クレアラシルにきび治療薬クリーム

クレアラシル・ニキビ治療薬クリームの画像 クレアラシル・にきび治療薬クリームは、殺菌効果と角質柔軟効果があるイオウとレゾルシンと、抗炎症作用があるグリチルリチン酸ニカリウムを配合した市販の塗り薬です。

似たような作用があるイオウとレゾルシンという成分を組み合わせることで相乗効果を得られます。

ピンプリット

ピンプリットの画像 ピンプリットは、殺菌作用や角質軟化作用があるイオウとレゾルシンを中心に、消炎効果があるグリチルレチン酸を配合した塗り薬です。

相性の良いイオウとレゾルシンによって、化膿ニキビの予防や改善を促します。オイルフリーで脂性肌でも使いやすい利点があります。

アクネス・にきび治療薬クリーム

アクネスニキビ治療薬クリーム アクネス・にきび治療薬クリームは、イオウ、レゾルシン、グリチルレチン酸、ビタミンEが配合された市販のにきび薬です。

ニキビの頭部を開きやすくして殺菌成分や消炎成分が患部に届きやすい状態にし、化膿ニキビの腫れを治します。

日本の市販ニキビ治療薬は、イオウとレゾルシンを組み合わせたものが多いのが特徴です。

海外の市販にきび薬は、過酸化ベンゾイルが配合されていることが多く、即効性が高いのですが、日本では過酸化ベンゾイルを市販品に配合することは認められていません。