自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2つがあり、ヒトの身体はその2種類の自律神経によって各器官の働きがコントロールされています。
その自律神経は、ストレスや日常生活の乱れなどによってバランスが乱れることがあります。
一般に現代のようなストレス社会では交感神経が働きすぎることが多いとされますが、反対にダラダラとした刺激のない生活や、リラックスした生活が続くことで自律神経のバランスが乱れ、身体の不調が起こることがあります。その一つが下痢体質になってしまうことです。
ここでは自律神経の乱れと下痢が続く関係について解説していきます。
自律神経の働きを詳しく
自律神経とは、身体の様々な機能を知らないうちにコントロールしている神経です。ホルモン分泌、汗をかく、心臓を動かす、食べたものを消化する、といったカラダの機能は自律神経がコントロールしています。
その自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2つがあり、それぞれ働きに違いがあります。
交感神経
交感神経は、一般に日中に活動的になる自律神経です。人間が活動的になるときに活発になり、働いているとき、運動をしているとき、何かに集中しているとき、イライラしているときなどに活発になります。
起床して太陽の光を浴びると、一般に交感神経が活発になり、休息にむかう夜になると交感神経は落ち着いてきます。
副交感神経
副交感神経は、主に休息に向かう夜に働く自律神経です。人間がリラックスしているときに活動的になり、くつろいでいるとき、寝ているときなどは副交感神経が優位になります。
また、食事をして消化が行われるのは副交感神経の働きによるものです。一般に、人間が活動的になる昼には副交感神経の活動が低下します。
交感神経と副交感神経はバランスが重要です。1日のうちに、どちらかが一方的に働きすぎた状態が続けば、様々な症状が現れます。
副交感神経が働きすぎるとどうなる?
現代ではストレス社会だとされ、交感神経が働きすぎている状態といわれます。ところが、一日中ダラダラした生活をしていたり、常にリラックスしているような生活を続けていると、反対に副交感神経が働きすぎた状態が続き、カラダのバランスを崩してしまうことがあります。
副交感神経が働きすぎると以下のような諸症状が起こる可能性があります。
消化不良、胃もたれ
副交感神経は消化器系をコントロールしますが、その副交感神経が働きすぎると、胃腸が過剰に働きすぎるようになり、消化→吸収が理想的なスピードで行われなくなります。
また、一日中ダラダラしていてリラックスしすぎていると脳の活動も低下して生理機能も低下し、消化能力も低下してくるようになります。
下痢、腹痛
副交感神経が働きすぎると、胃腸が過剰に働くようになります。それによって腹痛や下痢を引き起こすことがあります。
消化器系は副交感神経がコントロールしているため、頻繁に下痢や腹痛を引き起こす人は、リラックスしすぎている状態で、生活強度レベルが低いかもしれません。
筋力低下
副交感神経が常に優位になるようなリラックスした状態が続く生活では、全身の筋力の働きも弱くなります。例えば、姿勢を保つ筋肉も低下して猫背になったり、腰痛、肩こりなどをまねくことがあります。
そして、内臓を支える筋力も低下し、胃もたれを起こしやすくなり、下痢などの消化器系の不調をきたすことがあります。
また、横隔膜の筋力が低下すると逆流性食道炎になってしまうこともあります。逆流性食道炎は特に痩せ型のヒトや、筋力が低下しやすい女性に多い症状です。
無気力や集中力低下
一般に集中力が高まっているときは交感神経が活発になっているときで、反対に脳の活動が低下しているときは副交感神経が優位に働いています。
ダラダラ生活やリラックスした状態を毎日のように送っていると、脳の活動力が低下して頭がボーっとし、無気力な状態になってしまうことがあります。脳の機能が低下すると老化スピードも早くなってしまいます。
アレルギー症状
白血球の一つであるリンパ球は副交感神経が優位になっている状態で増加します。リンパ球は免疫を維持するために重要な白血球ですが、増えすぎると免疫が過剰に働きすぎる状態、「免疫異常」を起こすこともあります。その一つがアレルギー症状です。
リンパ球が増えると免疫機能のほとんどが集中する腸管が食べ物などに対して過敏に反応するようになり、食物アレルギーになったりすることもあります。
リラックス生活やダラダラ生活のような刺激が少ない状態が続くと、しだいにリンパ球が増加するようになり、アレルギー症状が悪化してくることがあります。
交感神経を活発にするには?
副交感神経を抑制して、交感神経を優位にするには、以下のような改善法があります。下痢体質などの人は参考にして下さい。
日中は太陽の光を浴びる
交感神経と副交感神経のバランスが悪い人や、生活リズムを乱して体調不良が続く場合は、朝起きたら太陽の光を浴びましょう。光を浴びることは、副交感神経を抑えて交感神経を高めてくれます。
また、日中もできるだけ明るいところにいるようにしましょう。仕事などで日中に暗い部屋にいる人や、昼夜逆転の生活をしている人は、電気を付けて、できるだけ明かりを増やしてみましょう。
運動をする
リラックス状態が多くて身体に対する刺激が少なく、副交感神経が優位になりがちな人は運動をするようにして下さい。運動は交感神経を活発にします。また、運動は交感神経と副交感神経のスイッチを切り替わりやすくしてくれます。
運動は、散歩や軽いウォーキングなどよりもジョギングのような軽く汗をかくような運動が交感神経を活発にします。(汗をかくのは交感神経の働きによるものです)。
たくさんの太陽光を浴びながら運動することは自律神経の活性化にとても効果があります。下痢体質の人は、運動をこころがけるだけで改善することがあります。下痢予防のためにも続けて下さい。
筋力トレーニング
筋力トレーニングを行うことで交感神経が活発に働くようになります。筋トレはダンベルなどは必要なく、一般的な腕立て伏せや腹筋運動、背筋運動などで十分です。
特に、消化不良による腹痛や下痢が続く場合は、消化器系の筋力が弱っている可能性があるため、腹筋や背筋などの体幹を鍛えるトレーニングが効果があります。
そして、筋トレは疲労感を与えますので、夜の寝つきや睡眠の質が高まります。筋トレは成長ホルモンの分泌を活発にし、ダイエット効果や美肌効果があります。ニキビ跡やシミなども薄くなると思いますよ。
何かに集中する
仕事や趣味などに集中しているときは交感神経が活発になります。1日のうち、リラックスした状態が多い人は、何か趣味を見つけて集中できる時間を増やして下さい。
例えば、リラックスした状態でダラダラとテレビを見たりしていると副交感神経が活発になりますが、スマホやパソコンで何か作業をしていると交感神経が活発になります。集中することが交感神経を活性化するポイントです。
部屋では薄着になる
一般に気温が温かくなると副交感神経が優位になり、気温が低く肌寒くなると交感神経が活発になります。気温が低い場所から温かい部屋に入ったりすると急に眠たくなったりしますが、それは副交感神経が活発に働くためです。
そこで、皮膚に外気を感じてもらうために、部屋では薄着で生活してみましょう。それだけで交感神経が活発になります。また、薄着になることでエネルギー消費が多くなり、ダイエット効果も期待できます。
アロマの力を利用する
アロマオイルの香りの力には、精神や神経に働きかけて自律神経のバランスを整える効果があります。
気分をシャキッと引き締めて交感神経を活発にしてくれるアロマは、レモン、オレンジ、グレープフルーツなどの柑橘系(かんきつけい)の精油が効果的です。
また、ローズマリーというアロマオイルも交感神経を活発にします。それらのアロマオイルはリラックスしすぎた状態を改善し、気分を高めてくれます。
日中はそのような交感神経を活性化してくれるアロマを活用すると、やる気や集中力がわいてくるはずです。
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