マキロンsはニキビに効く?刺激でニキビや跡が悪化することもある理由

マキロンSの画像 マキロンSは、殺菌消毒薬として販売されている市販のお薬です。主にすり傷や切り傷などに対して感染症を予防するために使用され、転んだ後の傷に使ったことがある人も多いと思います。

そして、この薬は殺菌薬なのでニキビや毛嚢炎などにも効果があるように思えます。

実際に配合される有効成分にはニキビの原因菌を殺菌する作用があるのですが、一方でマキロンはニキビの治りを悪くしてしまい、ニキビ跡を悪化させてしまう可能性あります。

今回の記事は、マキロンsのニキビへの効果と悪化する可能性がある理由、副作用などを詳しく解説していきます。

マキロンの有効成分とニキビへの効果について

まず、マキロンはどのような成分によって殺菌効果を示すのでしょうか。まずは、有効成分とその配合量をみていきます。

マキロンsの3つの有効成分

  • ベンゼトニウム塩化物・・・100ml中0.1g
  • アラントイン・・・100ml中0.2g
  • クロルフェニラミンマレイン酸塩・・・100ml中0.2g

そして、添加物として、エタノール、塩化Na、pH調節剤、香料、チモール、l-メントールを配合しています。

有効成分1ベンゼトニウム塩化物(100ml中0.1g)

マキロンsの主成分であるベンゼトニウム塩化物は、陽イオン界面活性剤の一種です。皮膚炎の原因となる細菌に吸着して細菌の細胞壁を破壊することで殺菌作用を示します。

細菌だけではなくカビにも効きますが、一方でウイルスには効きません。(ウイルスは細胞壁をもっていないためです)。

マキロンの殺菌消毒効果とは、このベンゼトニウム塩化物によるもので、単純な殺菌成分としてはとても良い効果をもたらします。

有効成分2アラントイン(100ml中0.2g)

アラントインは、消炎効果や細胞を活性化する働きがある成分です。

抗炎症作用により、すり傷や切り傷が炎症して化膿する現象を予防する働きがあります。また、ニキビや毛嚢炎などの炎症を抑える効果も期待できます。

また、細胞を活性化する働きがあり、新しい肌細胞の再生を促して傷や皮膚炎などの皮膚損傷によるダメージをより早く回復する働きがあります。

他にも、肌の刺激を和らげる働きもあるので、消毒成分による刺激を緩和させる働きもあります。

アラントインはニキビや肌荒れを予防する目的で化粧品に配合されることが多い成分です。

有効成分3クロルフェニラミンマレイン酸塩(100ml中0.2g)

クロルフェニラミンマレイン酸塩は抗ヒスタミン剤の一つです。

ヒスタミンは、花粉症やアトピー性皮膚炎などアレルギー症状を悪化させる原因として知られており、かゆみや炎症を悪化させる働きがあります。

クロルフェニラミンマレイン酸塩は、そのヒスタミンという物質が放出される現象をブロックして、かゆみや炎症の進行、痛みの悪化などを抑えます。ニキビの炎症を抑え、さらにかゆみや痛みも抑制します。

古くから使用されている成分で、外用薬として使用する場合はほとんど副作用の心配はないです。

問題はベンゼトニウム塩化物の刺激性

マキロンsの問題は、ベンゼトニウム塩化物の刺激性です。この成分は細菌の細胞膜を破壊することで殺菌作用を示しますが、同時に肌細胞を破壊してしまう性質があります。それによって新しい表皮細胞の誕生が阻害されて、傷や炎症が治りにくくなることがあります。

そのため、マキロンを傷口やニキビなどに使い続けると治りが悪くなって炎症後色素沈着が長く残ったりすることがあります。

また、ベンゼトニウム塩化物による刺激によって接触皮膚炎を起こすことがよくあり、ニキビに使えば赤みやかゆみが増して悪化してしまうことがあります。

エタノールが多いのも問題

マキロンsには、添加物としてエタノール(アルコール)が多く配合されています。

エタノールは、清涼感を出す効果や品質を安定させる作用などがあり、様々な基礎化粧品などにもよく配合されている成分なのですが、濃度が高くなるほど殺菌作用が高くなる性質があります。

そして、エタノールの濃度が高くなると肌細胞に対するダメージが強くなる欠点があります。マキロンのような殺菌消毒薬には、エタノールが多く配合されていますので、傷口やニキビなどの炎症部分に使用し続けると治るスピードが悪化してしまうことがあります。

傷口に使用することも少なくなっている?

マキロンsは一般に、すり傷や切り傷などの消毒目的で使用しますが、近年ではその目的で使用しないほうが良いといわれるようになってきています。それはやはり肌細胞に対するダメージが強くて傷の回復を悪くしてしまうためです。

現在では、すり傷や切り傷をおった場合は、水でしっかりと洗い流して汚れを取り除き、そのままキズパワーパッドなどで湿潤療法を行ったほうがいいとされます。

肌が強い人は使っていい

マキロンsは、刺激性が強い問題がありますが、肌が強い人であればニキビや毛嚢炎などにも使っていいと思います。背中ニキビや胸のニキビなどにも使えます。

ただし、一般にマキロンはニキビ治療薬ではなく、ニキビには専用のにきび治療薬を使ったほうがいいことは忘れないで下さい。

ニキビケアの市販薬にはオロナインやクレアレシル、ビフナイト、ピンプリットなどがありますが、そういったお薬のほうがニキビには理想です。

ニキビを潰した後の消毒として使っていい?

ニキビを潰した後の出血 ニキビを潰して芯を出した後、消毒薬としてマキロンを使ったほうが良いというサイトをよくみかけますが、しっかりとニキビの芯を出してあげれば消毒する必要はないです。

マキロンを使うことでニキビの回復力が悪くなることがあるためです。

そもそも皮膚には白血球による殺菌力が備わっていますので、ニキビの原因となる芯がきちんと取り除かれていれば、それ以上扱う必要はないです。

ニキビ跡を治す効果はある?

マキロンsにはニキビ跡の赤みや色素沈着などを治す効果はないです。クレーターやケロイドなどにも効果はないです。むしろ、刺激が強いのでニキビ痕の赤みなどが悪化してしまうことも考えられます。

効かない皮膚病

脂漏性皮膚炎の画像 マキロンsは、真菌(カビ)が原因となるカンジダ皮膚炎やマラセチア毛包炎、水虫、脂漏性皮膚炎などにも理論的には効果は期待できます。

ただし、一般にそれらの皮膚病には抗カビ薬の塗り薬を使用するのが基本です。

カビは病原性が低いので炎症レベルが低いのですが、治るのに時間がかかることが多いことや、炎症が慢性的になっていることが多いので、マキロンのような表皮細胞の新生を阻害するようなお薬は適していません。

また、ヘルペスや帯状疱疹などのウイルスが原因となる病気にはマキロンの殺菌作用は効きません。

他にも、顔ダニ(にきびダニといわれることもあります)にも効きません。

マキロンsの使い方と注意点

薬を塗る画像 マキロンsをニキビに使う場合は、洗顔をして化粧水などで肌を保湿した後、ニキビにだけに塗ります。ニキビ予防のためとして顔全体に塗ったりしないで下さい。また、目に入らないように注意して下さい。

全く油分を含んでいないので、オイリー肌には使いやすいと思います。使用回数は1日2回が目安です。

頻繁に使うことはしないこと

例えば、ニキビや毛嚢炎などを早く治したいとしてマキロンをコットンに含んで肌に貼り付けたままにする人もいるかもしれません。

メントールが配合されているので肌がひんやりしてスーっとする感じがあり、ニキビに効いているような感覚を味わえます。

ところが、主成分のベンゼトニウム塩化物という成分や、添加物のエタノールは比較的に肌の深い部分に浸透しやすい欠点があり、肌細胞(表皮細胞)にじわじわとダメージが及んでしまう可能性があります。

かえってニキビの回復が悪くなってしまうことがあるため、過度に使いすぎるのには注意して下さい。

保管方法

マキロンsの保管方法は、直射日光や温度や湿気が高いところを避けて常温で保管します。

購入について

マキロンsは一般的なドラッグストアで購入できます。

マキロンsの副作用

副作用の皮膚の赤み画像 マキロンsの副作用で、接触皮膚炎があられることがあります。接触皮膚炎とは、何かに触れたことで炎症が起こる症状です。大きく分けてアレルギー性のものと単純に刺激によって発生するものがあります。

マキロンsは刺激性が強いので、肌が弱い敏感肌の人は単純に刺激によって炎症を起こす可能性があります。使用後に、強い赤みやヒリヒリ感などの強い違和感が現われたら使用中止して下さい。

また、かゆみが現われた場合はアレルギーを起こしている可能性があるので必ず使用中止して下さい。炎症が強い場合は皮膚科を受診して塗り薬を処方してもらいましょう。ステロイドが使用されることがあります。