ニキビ治療にも使われたメサルモンF。代わりの漢方薬や女性ホルモン剤は?

メサルモンF かつて、女性の大人にきびに対してメサルモンFという内服薬が処方されることがありました。

メサルモンFとは、女性ホルモンを中心に、微量の甲状腺ホルモンや男性ホルモンが含まれた総合的なホルモン薬です。

様々なホルモンを補うことでホルモンバランスの崩れから起こる女性特有の症状を改善することができました。

主に更年期障害や卵巣機能低下、卵巣欠落症状などに対して使用されるお薬でしたが、医師の判断によってはニキビ治療にも使用されることがありました。

メサルモンFによるニキビ治療効果

女性のキレイな肌の写真 女性ホルモンには、エストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンがありますが、メサルモンFはそのうちエストロゲンという女性ホルモンを中心としたお薬です。

エストロゲンには卵巣の働きを助ける作用があり、女性らしい体をつくる働きがあります。

肌においてはコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などの合成を促したり、男性ホルモンを抑えることで皮脂を抑え、肌のキメを整えたりするような女性を美しく導く働きがあります。

そして、メサルモンFは、甲状腺ホルモンなども配合し、新陳代謝を高めることでニキビ跡の治りを良くする働きがありました。

メサルモンは総合ホルモン剤として女性の身体に働きかけて綺麗に若々しく導くお薬だったので、ニキビ治療に処方する医師もちらほらいたようです。

ところがそのメサルモンFは現在は販売停止となっています。ホルモン剤には副作用の問題があるためです。

現在は使用できないお薬ですが、にきび治療においては漢方薬やピルを利用することでメサルモンと同じような効果が期待できる可能性があります。

漢方薬でも効果がある

漢方薬の画像 漢方薬の中には、血行を促してエネルギー生成を高め、女性ホルモンの分泌を促すものがあります。それによってメサルモンと同じような効能を得られるかもしれません。

冷え症や代謝低下によってホルモンバランスが悪化する人に効果的な漢方薬が、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、加味逍遥散(かみしょうようさん)の3つです。

それらの漢方薬は、血流循環を良くして女性ホルモンのバランスを整えることで、ニキビ肌荒れ、シミが悪化しにくい体質へと導きます。

当帰芍薬散

当帰芍薬散 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)という漢方薬は、血流を促して生理機能を高め、ホルモンバランスを整える働きがあります。

主に、女性の冷え症、肩こり、貧血、ホルモンバランスの乱れからくる生理不順などに良い効果を示します。

当帰芍薬散は、やや体力が低い女性で、女性ホルモンのバランスが悪い人、生理不順の人、ニキビやニキビ跡が治りにくいような人に適しています。
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この漢方薬は代謝機能を高めるため、もともと皮脂が多くてバイタリティが高いような人には合いません。そして、当帰芍薬散はニキビができにくい体質へと導くもので、ニキビの炎症そのものを治す効果はあまり期待できません。

体質改善を目的としているため、1か月以上は飲み続けてみてください。

桂枝茯苓丸

桂枝茯苓丸 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は、血行を促す生薬が多く含まれる漢方薬です。冷え症や卵巣機能を改善し、女性ホルモンのバランスを整えます。

更年期障害に対して桂枝茯苓丸が使用されることも多く、更年期に起こりがちな、めまい、肩こり、足の冷えなどにも効果的です。また、にきび治療にも使用されることがあります。

体力が中くらいで血流が悪い女性、生理不順でニキビができやすい人、にきび後のシミが治りにくい人に適しています。

加味逍遙散

加味逍遥散 加味逍遥散(かみしょうようさん)は、血行不良を改善して身体をポカポカと温め、冷え症や女性ホルモンの分泌悪化による生理不順を治します。

ニキビ治療にも使用される漢方薬で、体力が低くて疲れやすく、ニキビが治りにくいような人に適しています。加味逍遥散には、甘草(カンゾウ)という消炎作用がある生薬が含まれ、ニキビの炎症や腫れを治す効果も期待できます。

エネルギーを高める働きがあるため、体力が高い人で皮脂が多いような肌質の場合は、かえってニキビが悪化することがあります。

漢方薬は体質改善によりニキビができにくい状態へと導きます。そのため、ある程度の期間は続けてみて下さい。2~3か月以上続けなければ効果は実感できないことも多いです。

ニキビ治療のホルモン剤は低用量ピルが一般的!

薬を飲む画像 皮脂が多くてホルモンバランスが安定しない女性のニキビ治療には、低用量ピルという混合女性ホルモン剤によって劇的な効果が期待できます。改善率は7割と高く、病院でもピルを使ったニキビ治療をすすめる医師は多いです。

ピルには、エストロゲンとプロゲステロンの2つの女性ホルモンがバランスよく配合されていて、体内の女性ホルモンを一定レベルにコントロールすることで、女性ホルモンの変化によるニキビを軽減します。

女性の場合は生理前になるとプロゲステロンの影響で肌が脂っぽくなり、ニキビができやすくなりますが、ピルはそういった生理前ににきびができやすい体質を改善します。

さらにピルは男性ホルモンを抑制することで皮脂分泌を抑制します。ピルによって性腺刺激ホルモンが抑えられることで、卵巣由来の男性ホルモンの分泌が減少するのです。

そして、ピルに含まれるエストロゲン(エチニルエストラジオール)そのものも男性ホルモンの抑制に導きます。男性ホルモンが抑えられることで脂浮きも少なくなるため、特に若い時期の皮脂が多いニキビ肌に効果的です。

ニキビ治療の場合は保険は効かず自由診療となります。ピル治療に詳しい病院で処方してもらって下さい。

にきび治療に使用されるピルは、マーベロンやファボワール(マーベロンのジェネリック)、ヤーズ、トリキュラー、ラベルフィーユ(トリキュラーのジェネリック)などの低用量ピルがよく使用されます。それぞれ詳しく解説していきます。

マーベロン

マーベロン(ピル)の画像 マーベロンはエチニルエストラジオールというエストロゲン剤30μgと、デソゲストレルというプロゲステロン剤を配合した第3世代低用量ピルです。

すべての錠剤に同じ量のホルモン量が含まれる一相性ピルです。デソゲストレルというプロゲステロン剤は男性ホルモン様作用が少ないためニキビ治療に良く使用されます。

マーベロンの料金は1シート28日分で2500円前後が目安です。なお、マーベロンのジェネリックにファボワールという製品があります。効果は同じです。

ヤーズ

ヤーズ(超低用量ピル)の画像 ヤーズは、エチニルエストラジオール(エストロゲン剤)20μgと、ドロスピレノン(プロゲステロン剤)を配合した低用量ピルです。

第3世代低用量ピルのマーベロンなどと比較するとエチニルエストラジオール(エストロゲン剤)が3分の2(20μg)に抑えられていることから、超低用量ピルともよばれます。エストロゲン量を抑えると副作用のリスクが低いメリットがあります。

ヤーズはニキビ治療だけの場合は保険は効きませんが、同時に月経困難症などの症状があれば保険適応になることがあります。

トリキュラー

トリキュラー(ピル)の写真 トリキュラーは、エチニルエストラジオールというエストロゲン剤と、レボノルゲストレルというプロゲステロン剤を配合した第2世代低用量ピルです。

このレボノルゲストレルというプロゲステロンは少ないエストロゲン量でも効果が出るメリットがありますが、一方でやや男性ホルモン様作用が強い欠点があります。

そのため、ニキビ治療においてはトリキュラーよりもマーベロンやファボワールが使用されることが多いです。(トリキュラーでニキビが悪化するケースはわりと多いです)。

トリキュラーはホルモン量が3段階に変わる3相性ピルです。卵胞期→排卵期→黄体期というように3つの期間によって錠剤が色分けされてます。病院で処方される場合、費用は1シート2000円前後が目安です。

なお、このトリキュラーのジェネリック医薬品にラベルフィーユという製品があります。