顔や背中などにできやすいニキビ。そのニキビは、まれに耳にできることがあります。
耳にも毛穴や皮脂腺があり、垢も溜まりやすい部分であるためにきびやブツブツができても珍しいことではありません。
今回は耳ニキビの原因と治し方をご紹介します。にきびだと思っても違う皮膚病である可能性もあるため、ぜひご覧下さい。
耳にきびの原因とは?
耳ニキビは若い時期にできやすい
若い時期は性ホルモンの分泌が活発で皮脂が多くなります。特に男性ホルモンは皮脂増加を促したり、角化異常を起こす要因と考えられています。
また、若い時期は肌のターンオーバーも活発であるため、古い角質(垢)も溜まりやすいです。
肌の代謝が活発なことや皮脂が多いことが耳ニキビができてしまう主な原因です。年齢を重ねることでしだいに耳ニキビはできなくなっていきます。
耳の炎症は痛い?
耳にきびは痛みを強く感じることがあります。その原因は、痛みを感じる神経が発達しているためです。
耳ニキビが炎症を起こす過程で発生するブラジキニンやプロスタグランジンなどの生理活性物質・情報伝達物質が耳にきびの痛みを強くします。
耳ニキビは色素沈着やニキビ跡クレーターを起こしにくい
耳の皮膚は他の部位と比較して炎症後色素沈着を起こしにくく、さらにニキビ痕クレーターにもなりにくいです。
そのため、耳ニキビができたとしてもあまり神経質に悩む必要はありません。
耳の裏側は特に汚れが溜まりやすい
耳の裏側は皮脂汚れが特に溜まりやすいといわれます。また、臭いも強くあらわれます。
年齢を重ねることで強くなる体臭を「加齢臭」といったりしますが、加齢臭は耳の裏側に現れやすい傾向があります。
なお、加齢臭の原因は皮脂が酸化・分解されることによって発生するノネナールという物質が主な要因だとされます。
洗いすぎが耳ニキビの原因?
もともと耳はニキビがたくさん発生するようなところではありません。
そのような部分にニキビができる場合は、水分と油分のバランスが崩れてターンオーバーが乱れている可能性があります。
そういった肌のコンディションを乱す要因の一つが洗いすぎによるものです。
積極的に洗うことで皮脂だけではなく水分や角質も奪われますが、失った潤いや角質を補うために、皮脂が増加したり、ターンオーバーが乱れたりすることがあります。
それによって耳ニキビができてしまうことがあります。これは耳ニキビだけではなく顔などにもいえることです。
イヤホン、ヘッドフォンが耳にきびの原因になることも
イヤホンやヘッドフォンが原因で耳ニキビができてしまう可能性があります。
イヤホンやヘッドフォンの使用中は耳が蒸れやすくなり、それらが耳ニキビの発生原因になってしまうことがあるかもしれません。
また、耳が蒸れると真菌(カビ)が増加し、カビが原因のニキビ・皮膚炎をまねくこともあります。
イヤホンやヘッドフォンは、皮脂や汗などで汚れていたりしますので、清潔を心がけましょう。
また、就寝時に耳栓(みみせん)を使っている場合、その耳栓にも皮脂汚れが溜まっていたりしますので清潔を保つようにしましょう。
シャンプー・リンスの洗い残しが耳ニキビの原因?
シャンプーやリンス、トリートメントなどが原因で耳ニキビができてしまう可能性があります。
特にリンスやトリートメントは髪の毛に潤いや艶(つや)をもたらすために油脂が豊富に含まれていたりしますが、それが耳の毛穴に詰まって耳ニキビを引き起こしてしまうことも考えられます。
ヘアケア製品が肌に残らないようにしっかりとすすぐようにしましょう。また、耳吹き出物がある場合は、シャンプーだけにしてリンス・トリートメントは控えたほうが無難です。
ニキビではなく「粉瘤」の可能性も
耳たぶや耳の裏側にしこりをもったようなニキビができた場合、それは粉瘤(ふんりゅう)という症状である可能性があります。
粉瘤とは、肌のターンオーバーによって剥がれ落ちる古い角質(垢)などの老廃物が、皮膚内部に溜まってしまうことで発生する良性腫瘍の一つです。
何らかの原因によって部分的に皮膚や毛包の構造が変わってしまうことで発生します。
粉瘤の場合、自然治癒することなく、しだいに拡大していきます。粉瘤をニキビと同じように潰して治そうとすると炎症を起こして化膿しやすくなります。
炎症を起こすと治療が長期になったり跡がひどく残ってしまうことがありますので、早めに皮膚科や耳鼻科を受診して取り除いてもらうのが理想です。
しこりが大きくて通常のにきびと違うと感じたら病院を受診しましょう。
耳の裏側も粉瘤が発生しやすい
耳の裏側も粉瘤が発生しやすい部分です。耳裏は皮脂が多くて汚れが溜まりやすい部分です。
そのため、ニキビができることもありますが、まれにニキビではなく粉瘤である可能性もあります。
自分では見えない部分なので初期段階はニキビなのか粉瘤なのかわからないことが多いです。無理に扱うのは避け、しだいに拡大してしこりのようになってきたら皮膚科を受診しましょう。
耳せつ(急性限局性外耳道炎)の可能性
耳の穴にニキビのようなできものが発生した場合、耳せつ(じせつ)というニキビとは違う症状である可能性があります。急性限局性外耳道炎ともいいます。
耳せつは、主に耳かきや爪などで耳の穴をひっかいたりすることで傷ができ、そこから黄色ブドウ球菌による感染で起こります。
症状は耳の穴の化膿性の腫れや強い痛みがあり、痛みが頭部にまで到達して頭痛を引き起こすこともあります。
治療は抗生物質やステロイドを中心に、痛みが強い場合は鎮痛薬を使用します。潰して膿を出すこともあります。
耳のニキビの治し方
耳は簡単に洗う
耳ニキビを予防するには清潔をこころがけることが基本です。石けんを泡立てて優しく洗いましょう。基本的にそれ以上のスキンケアは必要ありません。
洗いすぎたりすると、かえってニキビや感染症を起こすこともあります。耳の汚れや臭いを気にして時間をかけて念入りに洗う人も多いようですが、耳は皮膚が薄くデリケートな部分なので簡単に洗うのが理想です。
耳かきはほどほどにする
肌を傷つけるような耳かきや、爪で耳を掻いたりしていると耳せつ(急性限局性外耳道炎)という化膿性のできものが発生しやすくなります。
また、炎症が広がっていく外耳炎(がいじえん)という症状が起こることもあります。耳の皮膚は薄くてデリケートな部分なので傷つけないようにしましょう。耳かきだけではなく、石鹸で洗う時も同じです。
潰したりしない
耳ニキビは放っておいてもキレイに治っていくものです。耳は色素沈着も起きにくく、クレーターにもなりにくいため、多くのケースでは特に積極的な治療は必要ありません。
必要以上に触れたり潰したりすることでかえって耳ニキビが悪化してしまう可能性があります。
市販ニキビ治療薬で十分な効果が期待できる
耳ニキビといっても発生原因は顔ニキビと同じです。そのため、耳ニキビに対しても市販のニキビ治療薬を塗ることで改善が期待できます。
ベタベタしていたり、固まったりするものよりもサラッと塗れるような塗り薬が理想です。市販ニキビ治療薬にはオロナインなどがあります。
腫れが大きくなったら皮膚科を受診する
耳ニキビの炎症が進行すると化膿してしまうことがあります。それがさらに進行すると膿腫(のうしゅ)・硬結(こうけつ)という硬くて膿をもった状態になることがあります。
また、一般的なニキビではなく、耳せつ(急性限局性外耳道炎)や粉瘤という症状である可能性もあります。
いずれの耳の炎症においても下手に扱ったりすると、まれに腫れが極端に悪化してしまうことがあります。
デリケートな部分なので、腫れが大きくなったり、しこりを感じるような場合は、早めに病院で治療を行うのが理想的です。
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