大人になるとニキビが減少する理由。年齢と吹き出物の関係

ニキビの写真 ニキビは主に思春期から20代前半に発生しやすく、その時期を過ぎるとしだいにニキビはできなくなっていきます。

では、なぜ大人になるとニキビができなくなっていくのでしょうか。

それは、性ホルモンの分泌や皮脂分泌、肌の新陳代謝などが変化することが関係しています。

年齢によってニキビが減少していく理由

性ホルモン分泌の減少

男性ホルモン 思春期になると男性ホルモンなどの性ホルモンの分泌が活発になります。

男性ホルモンは、皮脂腺に作用して皮脂分泌を促す作用や、角化異常(角質を硬く肥厚させる現象)を起こす作用などがあり、その男性ホルモンが増加することでニキビや毛穴開きといった毛穴トラブルも増える傾向にあります。

男性ホルモンは女性の身体にも存在しており、女性にも男性の約10%ほどの男性ホルモンが分泌されているといいます。女性も男性と同じように思春期になると男性ホルモンの分泌が増加し、ニキビや毛穴汚れが目立つようになってきます。

男女ともに思春期以降に活発に分泌される男性ホルモンですが、年齢を重ねて大人になっていくほど分泌が落ち着いていきます。それと同時に皮脂分泌が少なくなってニキビができにくくなります。

女性の場合はプロゲステロンも皮脂増加の原因となる

女性の場合、思春期から女性ホルモンが活発に分泌されるようになります。

その女性ホルモンにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類がありますが、そのうち生理前に増加するプロゲステロンには男性ホルモンと似た働きがあり、皮脂分泌を促す作用があります。

生理前に肌が脂っぽくなってニキビができやすくなるのはそのためです。そのプロゲステロンも大人になるにつれて減少しますので、比例してニキビもできにくくなります。

なお、妊娠中(初期)にプロゲステロンが一時的に増加する時期がありますが、その時期にニキビができやすくなったりすることがあります。

ちなみに、生理前ニキビを予防するためにピルを使った治療も行われています。ピルは男性ホルモンを軽減し、プロゲステロンを一定レベルに抑える働きにより、ニキビ肌を治していきます。改善率は70%以上という報告もありますが、逆に悪化する人も少なくないです。

大人になると皮脂を作り出す能力が低下する

年齢別と皮脂量の変化のグラフ 若い時期は新陳代謝も活発で皮脂も活発に合成されていますが、大人になると皮脂を作り出す働きそのものが低下していきます。

まず、皮脂は皮脂腺細胞によって作られます。皮脂腺細胞が皮脂を合成して自ら破裂することで分泌されていくのですが、大人になると皮脂腺細胞の働きも低下していくため、しだいに皮脂量は抑えられていきます。

年齢によって細胞の働きが低下しますが、皮脂腺細胞においても同じことがいえるのです。

なお、男性ホルモンが増加しても皮脂を作り出す細胞の働きが低下すれば、皮脂分泌は少なくなります。

皮脂が少なくなると湿疹が慢性的になる

高齢になると「皮脂欠乏性湿疹」という皮脂が減少することによる慢性的な皮膚病を起こすことが多くなります。

皮脂欠乏性湿疹は、皮脂(皮脂膜)が減少することで肌が乾燥し、湿疹をまねく皮膚病ですが、これも加齢によって皮脂を作り出す能力が低下したことが主な原因です。

若い時期にはニキビや肌のテカリに悩むことがある一方で、年齢を重ねるほど皮膚の乾燥に悩むといった現象はどんな人においても一般的に起こることです。

加齢によって肌細胞を作り出す働きが低下する

大人になるにつれてニキビができなくなるのは、肌細胞の低下によるターンオーバーの低下も関係します。

肌細胞は表皮の最も下層にある基底層で生まれ、有棘層→顆粒層と押し上げられ、最終的には保湿や肌のバリア機能を担う角質となります。

このサイクルを角化(ターンオーバー)といいますが、大人になると肌細胞を作り出す能力が低下しますので、同時に角質を作り出す働きが低下します。(これは皮膚が薄くなってくるという老化現象の一つでもあります)。

若い時期では、肌細胞が活発に生み出されることから次々と生み出された角質が毛穴をふさぎ、ニキビへと発展することが多くなりますが、大人になるほど肌細胞を作り出す働きが低下し、角質も薄くなっていくため、毛穴がふさがってニキビが発生するという現象が起こりにくくなります。

また、表皮だけではなくコラーゲンなどが存在する真皮層も加齢によってしだいに薄くなっていき、しわ・小じわ・たるみなどの肌老化が現れるようになります。

肌細胞が薄くなるのは過剰なピーリングでも起こる

なお、皮膚が薄くなっていく現象は、加齢だけではなく、ピーリングなどの過剰なスキンケアなどでも進行が加速することがあります。

また、紫外線によって極端なダメージを受けて肌細胞が損傷してしまった場合などにも、肌が薄くなってしまいます。

他にも、もともと肌が弱い人、例えば乾燥性敏感肌やアトピー性皮膚炎などの体質的に皮膚バリア機能が弱い人では、元々皮膚の角質層が薄いため、ニキビができにくい傾向があります。

肌が薄い人はワセリンや美容オイルをベタベタ塗ったりしてもニキビができにくい傾向があります。

ニキビができるのは若い証拠

一概には言えませんが、ニキビができるかどうかは肌が若いかどうかの違いという考え方もできます。

肌が若くないと皮脂分泌が少なくなりますし、肌細胞が若くないと角質で毛穴がふさがってニキビができるといったこともなくなります。

大人のニキビに悩む女性が増えているといわれますが、違う見方をすればそれだけ肌が若い証拠だといえます。そういう風に考えるとニキビができるということは決して悪いことばかりではないような気もします。