無添加化粧品とは、肌にとって余計なものをできるだけ配合しないように作られた化粧品をいいます。
「無添加」という定義は化粧品メーカーによって様々ですが、一般に香料、着色料、鉱物油、合成界面活性剤、パラベン類などが配合されていない化粧品をいうようです。(ただし、製品のジャンルによって異なります)。
「無添加化粧品」が広く認識されるようになったのは、消費者の安全志向が高まったことによるものです。
化粧品は毎日使用するものですし、化粧品に含まれる成分によってかぶれたり、アレルギーを起こしたりするケースがあることなどから、肌にとって必要のない成分が配合されていない化粧品への関心が高まったことが大きいようです。
特にアトピー肌や敏感肌のような肌がデリケートな人ほど、無添加化粧品に関心が高いようです。では実際に、アトピー肌や敏感肌に対して無添加化粧品は有効なのでしょうか。
無添加化粧品の特徴
無香料
無添加化粧品には、基本的に香料が含まれていません。化粧品に香料を配合する目的は、化粧品のイメージを引き出すために用いられたり、香りによるリラックス効果を高めるために用いられることが多いです。
また、化粧品に含まれる匂いの強い成分を紛らわすために香料が配合されることもあります。
従来は、化粧品に含まれる香料が肌への刺激やアレルギーの原因となり、かぶれ(アレルギー性接触皮膚炎)を起こして、ひどい場合は色素沈着を引き起こすことがありました。
ところが、現在ではそのようなリスクがある香料は化粧品は配合されないようになっています。また、化粧品成分の精製技術も劇的に向上したこともあげられます。
香料が肌トラブルを起こす危険性は極めて少なくなっていますが、安全性が高い成分でも人によっては肌トラブルを起こす可能性があります。
特に敏感肌のような肌が薄く弱い人においては、安全性が高い香料でもヒリヒリ感を感じたりすることもあるかもしれません。
そのため、消費者の安全志向を考慮して、香料が配合していないことを表記した化粧品が増えています。無添加化粧品もそのような考えのもとに作られています。
特に、敏感肌やアトピーなどのアレルギー体質の人は香料が配合されていない無添加化粧品が理想です。
無着色料
無添加化粧品には基本的に着色料も含まれません。化粧品に着色料が配合される目的は、化粧品のイメージを引き立たせるために用いられることが多いです。
また、化粧品に含まれる有効成分がもつ色素が商品イメージと合わない場合にも着色料が使用されたりします。
従来は、香料と同じように着色料によってかぶれ、接触皮膚炎などの症状を引き起こし、色素沈着や顔面黒皮症を起こすことがありました。
ところが現在ではそのようなリスクのある成分は規制されて、使用されないようになっています。また、化粧品の精製技術の進化によって低アレルギー化が進んだことも大きいです。
ただし、着色料がすべての人に対して100%アレルギーや皮膚炎などを起こさないとはいえません。人によっては肌に合わないことも少なくないといわれます。
特に敏感肌やアトピー肌の人では安全性が高い着色料が問題にならないとはいえません。そういった安全性を考慮して、着色料を配合しない無添加の化粧品が増えています。
なお、着色料も香料と同様に本来肌にとって不要なものなので、配合されていなくても特に問題はありません。
「肌にはビタミンが良い」として洗顔料や化粧水などをビタミンカラーの黄色に着色した製品も多いのですが、着色料そのものには何の効果もありません。
無鉱物油
化粧品のジャンルによって違いがありますが、無添加の保湿化粧品には基本的に鉱物油は使用されていません。
鉱物油とは、主に石油から合成・精製された油脂をいい、一般に「ミネラルオイル(流動パラフィン)」という液状の油分をいいます。
現在はよく使用される鉱物油(ミネラルオイル)ですが、昔は石油の精製技術が未熟で「油焼け」といわれる現象を引き起こすことがありました。
油焼けちは、不純物が多く残った鉱物油が化粧品に使用され、時間が経過すると品質が劣化して皮膚のくすみ、色素沈着をまねく現象です。
現在では、石油の精製技術の発達によって不純物がほぼゼロに近いレベルで取り除くことができるため、油焼け、酸化などの心配は劇的に低くなっています。
ところが、鉱物油による肌トラブルのリスクはゼロではありません。鉱物油は、クリームや美容液、オイルタイプのクレンジング料などに配合されることが多いですが、結局は油であるため酸素に触れると酸化が進行し、時間の経過とともに劣化して不安定な性質に変化します。
肌のバリア機能が強い人なら問題ありませんが、敏感肌では酸化が進行した化粧品によって赤く炎症を起こす可能性があります。紫外線などの影響を受けると脂漏性湿疹を起こすこともあります。
また、鉱物油のような油分は、化粧品の種類によっては水分と乳化するときに界面活性剤を必要としますが、この界面活性剤が皮膚に対して負担となってアトピー肌や敏感肌の人は肌荒れの原因になってしまう可能性があります。
さらに、ミネラルオイルそのものには若干の角質を柔軟にして剥がす作用があるため、アトピー肌や肌が敏感でバリア機能が弱い人には使いづらいかもしれません。(一方、ワセリンのほうはそのような心配はありません)。
鉱物油の精製技術が向上した現在ですが、従来の「油焼け」や「酸化する」というイメージが現在でも強く残っていたり、成分の原料が石油という化粧品成分としてはマイナスな印象があることから、「無鉱物油」と表記して鉱物油を配合していないことをアピールした化粧品が増えています。無添加化粧品もその一つです。
パラベンフリー(パラベン類無添加)
無添加化粧品には、「パラベンフリー」と表記して、パラベンという成分が配合されていないことをアピールしたものがあります。
パラベンとは、パラオキシ安息香酸エステルの総称で、防腐剤として化粧品の品質を維持するために使用されます。
メチルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベンなどがあり、これらの成分はパラベン類とよばれています。
パラベンには幅広い菌に対して抗菌作用を示し、防腐剤として優れた効果をもちますが、一方で、人によってはまれに肌に合わないことや、アレルギーを起こす可能性があると指摘されています。
アレルギーを起こすのは非常にまれなケースですが、アトピー性皮膚炎の人や敏感肌の人はパラベンを避ける傾向があります。
そのような理由から、パラベン以外の抗菌成分を使用して作られている化粧品が増えています。無添加化粧品もその一つです。
合成界面活性剤フリー
無添加化粧品には基本的に合成界面活性剤が配合されていません。界面活性剤とは、水と油脂を乳化させる成分(乳化剤)をいいます。
本来は水と油は混ざり合わない性質がありますが、界面活性剤によって混ざり合い、化粧品の品質や使用感を安定させたり、洗顔料においては洗浄力を向上させたりする目的で使用されます。
界面活性剤は、多くの化粧品に幅広く使用されていますが、角質層のたんぱく質を変性させてしまう問題点も指摘されています。
皮膚の角質層には皮脂膜やセラミドなどの細胞間脂質が存在しますが、界面活性剤によって肌の角質層が乱れ、バリアが崩されて肌荒れを起こすケースも少なくありあません。アトピー肌や敏感肌などで皮膚に湿疹がある場合などにおいては刺激性が強いかもしれません。
特に、石油由来の「合成界面活性剤」は洗浄作用や皮膚浸透性が強く、皮膚に対して刺激性が強い欠点があります。
そういった理由を考慮して、「合成界面活性剤」を使用していないことをうたった無添加化粧品も増えています。
合成界面活性剤はコストが低く、洗浄力も高いことが長所ですが、脱脂力が強いため乾燥肌やアトピー肌には適していないことが多いです。
エタノールフリー
無添加化粧品の多くはエタノールという成分を配合していません。エタノールとは、アルコールのことで、化粧品において収斂作用や使用感、または他の成分を安定させる目的で配合されます。
濃度が高くなるほど殺菌作用が強くなり、病院でも傷口の消毒に対してエタノールが使用されます。
このエタノールは肌を乾燥させる作用や、肌表面のバリア機能を乱す作用があります。これは濃度が高くなるほどその作用は強くなります。
乾燥肌や敏感肌、アトピー肌などには使いにくいことから、エタノールを配合していない「エタノールフリー」と表記された化粧品も多くみかけるようになりました。無添加化粧品もその一つです。
ニキビケアを目的とした化粧品にはエタノールが通常よりも多く含まれているものがあります。その理由は、エタノールが肌を引き締める「収れん作用」があるためです。
エタノールは皮脂型のニキビ肌には有効ですが、それ以外の肌質には適していません。特にアトピー性皮膚炎や敏感肌の人はエタノールが配合されている化粧品は避けましょう。
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