ニキビは刺激を与えるほど悪化して腫れが大きくなり、ニキビ跡も強く残ってしまうようになります。
そのため、一般にニキビは潰すことなく、塗り薬や飲み薬などで地道に治していくのが理想だといわれます。
ところが、ニキビの種類や適切なタイミングで潰してニキビの芯(角栓)を出してあげることで通常よりも早く治り、跡の悪化も予防できることがあります。
今回は、潰してよいニキビの種類と、跡が残りにくいニキビの潰し方と芯出し方法を画像付きで解説していきます。
ニキビの芯とは?
ニキビの芯の正体は、毛穴に溜まった角質と皮脂が混ざって固まったものです。角栓(かくせん)やコメドなどとも呼ばれます。
ニキビの芯は、単に毛穴に溜まっただけでは炎症は起きませんが、大きくなって毛穴が完全にふさがってしまうと、炎症したニキビへと発展する可能性があります。
どうしてニキビの芯を早く出した方がいいの?
ニキビはふさがれた毛穴内部でアクネ菌などの細菌が増加し、その異常を察知して免疫反応を起こすことで赤く炎症を起こすようになります。
通常はアクネ菌が増加しても、人間の免疫能力によって殺菌され、すぐに炎症を抑えることができますが、ニキビの芯が毛穴に残っていると、それ自体が異物となって免疫反応が続いてしまいます。
そのため、ニキビの芯をより早く出してあげることで炎症も早期に治まり、ニキビ跡も最小限に抑えることができます。
芯出しは、すべてのニキビに適応するのではありませんが、理想的な種類とタイミングで行えば、効果的な治療であることには間違いありません。
ニキビをつぶすとクレーターになる?
「ニキビを潰すと皮膚がデコボコになる」といわれることがあります。
ところが、実際には潰すことよりも免疫反応が強くなる、もしくは炎症反応が長引くことが原因でクレーター状に凹んでしまうことがほとんどです。
ニキビが跡になる原因は、炎症によって様々な生理活性物質が発生することや、白血球がアクネ菌を攻撃するために強力な活性酸素を発生させることで皮膚が強く損傷することが原因です。
ニキビ跡がクレーターになりやすいのは、炎症度合いが強いことや、肌質が厚くて硬い人、頬などの皮膚が厚い部分などに発生しやすいのですが、早めにニキビの芯をとって炎症反応を抑えることで瘢痕化(クレーター)を防ぐことができます。
ただし、ニキビの潰し方と芯出しが中途半端になってしまうと、余計に炎症反応が強くなり、跡がひどくなることもあります。
芯出し治療を行っている皮膚科も多い
皮膚科ではニキビの芯出し治療を行っているところがあります。(保険適用)
背中ニキビなどは自分での芯出しが難しいため、医師に行ってもらうのも良いかもしれません。
ただし、皮膚科医によってはニキビを潰す行為に消極的な人もいます。ニキビの芯が上手に出てこない場合もあり、炎症を悪化させてしまうこともあるためです。
つぶすと良いニキビの画像一覧
以下は潰して良いニキビの種類と、潰してはいけないニキビの種類の画像一覧です。
潰してもいいのは白ニキビ
潰して芯を出すのに適しているニキビの状態は、写真のようなやや炎症が強い白ニキビという状態です。
白にきびは表面が膿で白っぽくなっている状態で、潰して押し出すとわりと簡単に芯が出てきます。
潰す必要のない白ニキビ
画像のように、白ニキビでも小さくて腫れが大きくなりそうにないものは積極的に潰す必要はないかもしれません。
小さい白ニキビは炎症も軽度であるため放っておいてもすぐ治りますし、また、潰して下手に押し出そうとすると、その刺激によってかえってニキビ跡の赤みや色素沈着がひどくなってしまうことも考えられます。
また、ニキビではなく毛嚢炎という軽い皮膚感染症である可能性もあります。その場合は潰しても芯は出てきません。
こもったニキビ
ニキビの膿が表面に出てこないような「こもったニキビ」の場合、普通に治していくと腫れがとれるまで長くなる傾向があります。
そのような「こもりニキビ」の場合は、腫れが悪化する前に先端を針などで潰して上手に芯を出してあげると、通常よりもかなり早く治すことができたりします。
にきびの先端が少しでも白くなっていれば、針でつき刺して専用器具で押し出せば芯が出てくることが多いです。
ただし、失敗すると腫れが悪化して赤ニキビが進行してしまいます。そのリスクを覚悟で行って下さい。
つながったにきびは判断が難しい
白ニキビが近くに2つできた場合は判断が難しいです。
一方を潰して芯出ししようとすると、もう一方に刺激を与えてしまうことになるためです。
この場合はあまり扱わずに、塗り薬などで地道に治していくほうが安全かもしれません。
黒ニキビも芯出し可能
画像のように毛穴がふさがっていないまま角栓が詰まっている状態を黒ニキビといいますが、その黒ニキビに対しても芯出しを行うことができます。
ただし、黒ニキビは特に炎症を起こしておらず、自然にとれる可能性もあるため、押し出す必要はないかもしれません。
また、黒ニキビは上手に芯が取れないことも多いです。
この黒ニキビの芯出しを何度も繰り返し行うと、皮膚が傷ついたり、色素沈着が目だってくることがあるので注意して下さい。
赤ニキビを潰してはいけない
絶対に潰してはいけないのが画像のような赤ニキビや化膿ニキビといわれる炎症性が強いニキビです。
表面が白っぽくなっていない状態のニキビを潰して押し出そうとしても、うまく芯を出すのは難しいです。
また、こもったニキビも芯出しに失敗しやすいです。
ニキビの芯出しが中途半端になると、単に刺激を与えただけとなり、ニキビの腫れが悪化して化膿してしまうことがあります。
場合によっては、硬結や膿腫というしこりのような状態になってしまうこともあり、赤みや色素沈着といったニキビ跡もひどくなります。
毛嚢炎は潰しても芯は出てこない
ニキビと似た症状に毛嚢炎(もうのうえん)という皮膚感染症があります。
毛嚢炎は黄色ブドウ球菌による感染によって発生し、特にカミソリを使ったムダ毛処理などで皮膚が傷つくことが原因で発生することが多いです。
その毛嚢炎は、中央に膿が現れて白ニキビのような状態になることがありますが、ニキビとは違うため潰して押し出してもニキビの芯は出てきません。
毛嚢炎は無理に扱わずにオロナインや抗生物質などの細菌に効く塗り薬で治していくのが基本です。
必要な道具
できるだけニキビ跡が残りにくいように芯出しを行うには、針、コメドプッシャー、消毒薬の3つの器具が必要です。
道具1針(まち針など)
針はニキビを潰すための器具です。
にきびの芯の出口がないとより強い力で押し出す必要があることや、芯が出てこないこともあるため、潰して排出口を確保するために針を使います。
針は、待ち針や縫い針、安全ピンなどで大丈夫です。錆びていないキレイな針を使用しましょう。
また、ニキビの先端だけを潰せそうなピンセットでもOKです。
道具2コメドプッシャー
コメドプッシャーはニキビを潰して穴を開けた後に、押し出してニキビの芯を出すために必要な専用の器具です。
面皰圧出器(めんぽうあっしゅつき)ともいわれます。
コメドプッシャーによって最小限の刺激によってニキビの芯を出すことができるようになります。
ニキビ体質の人は一つ持っておくと良いと思います。
道具3消毒薬
消毒薬は、ニキビを潰す前や芯出しを行った後の消毒のために必要なアイテムです。マキロンやニキビ治療薬で良いです。
それがない場合は一般的な化粧水などでもOKです。(化粧水には肌を清潔にする働きがあります)。
自分で白ニキビの芯出しを行う方法
自分で芯出しを行う場合、以下のような手順で行います。
1:洗顔顔を洗って清潔にする
ニキビの芯出しの前に、顔を洗って肌を清潔にします。白ニキビは潰れやすいので優しく洗って下さい。
その後は化粧水で保湿して肌を整えます。また、使用する針やコメドプッシャーなどの器具も洗ってキレイにしておいて下さい。
2:潰す針で白ニキビの表面を潰して穴をあける
針を使って白ニキビの中心を少しだけ潰して穴を開けます。
これは、ニキビの芯や膿がでやすい状態にするためであり、傷は少しの穴で十分です。
そして、ニキビに対して垂直に刺して穴をあけるのが基本です。決して針で引っ掻くように潰してはいけません。
ニキビの芯がこもった感じがある場合は、深く刺す必要があると思います。
針を刺すことで出血することもありますが、あまり心配する必要はありません。
皮膚科ではレーザーで穴をあけることも
皮膚科においても、多くは針を使ってニキビを潰しますが、一部の皮膚科では炭酸ガスレーザーやエルビウムヤグレーザーを使ってニキビに穴をあける方法も用いられています。
それらのレーザーは水に吸収されやすい性質があり、肌に含まれる水分に吸収されて皮膚を削ることができます。皮膚を削って穴をあけて芯の出口を確保するのです。
レーザーが有効なのは、こもったニキビの芯を出す場合です。一般的な白ニキビであれば針でわずかに穴をあけるだけで十分です。
レーザーで穴をあけるとわずかに皮膚が凹んだりする可能性があることを覚えておいて下さい。
3:芯出し穴をあけたらコメドプッシャーで押し出す
白ニキビの先端を潰した後は、中心にコメドプッシャーを当てて、圧力をかけてニキビの芯や膿を押し出します。
じわーっと力を入れ続けるのではなく、瞬間的にグッと押し付けて離します。一瞬のほうが跡が残りにくいです。
芯出しに適したタイミングの白ニキビの場合は、軽く押し出すだけでニキビの芯がでてくるはずです。
そして、力を入れるときにコメドプッシャーが横にずれたりしないように、皮膚に対して垂直に圧力をかけましょう。
ニキビに刺激を与えるため痛みを伴うことがありますが、ニキビ跡が残らないような強さで行って下さい。
跡形が残るほど押してはいけない
画像のように跡形が残ってしまうほど強く押し続けてはいけません。
これは「押した」というよりも「押し続けた」ことで起こる現象。跡形ができるまで圧力を加えると、かえってニキビ跡が悪化してしまうことがあります。これは失敗例だといえるかもしれません。
そして、芯が出てこない場合は諦めることも大切です。
指で押し出すのは厳禁
手でニキビをつまんで芯や膿を出そうとしてはいけません。その方法ではしっかりとニキビの芯を出すことが難しいためです。
手で押し出そうとすると、芯出しが中途半端になってかえってニキビを悪化させてしまう可能性が高いです。
原則としてニキビはコメドプッシャーで押し出して下さい。
4:消毒白にきび圧出後は塗り薬をつける
ニキビを潰すと、血と体液が出てきますが、その体液には傷ついた細胞や組織を修復させる働きがあるため、こまめにふき取る必要はありません。そのまま放っておきましょう。
そして、潰した後は一回だけマキロンなどの消毒液やニキビ治療薬などで消毒・殺菌します。
消毒液がない場合は一般的な化粧水をコットやティッシュに含んでふき取るだけでも除菌効果があります。
そもそも皮膚には白血球による殺菌能力が備わっているため、ニキビの芯がしっかり取れていれば消毒の必要はないです。
強い消毒薬を何度も使うことで肌細胞が破壊され、治りが悪化することもあるため、ニキビを潰した後は何度も殺菌薬を塗ったりしないようにしましょう。
出血後は絆創膏は貼ったほうがいい?
ニキビを潰した後の出血に対してキズパワーパッドなどで湿潤療法を行ったほうがキレイに治る可能性もありますが、シールを剥がす時に刺激になったりするため、扱わないほうが無難です。
また、ニキビ菌(アクネ菌)は酸素がない環境で増加する性質をもつため、皮脂が多くてニキビができやすい人は、毛穴を密閉するような行為はしないほうが良いと思います。
5:消炎皮膚を冷やす
ニキビを潰すと、その刺激によって一時的にニキビが腫れるようになります。
その刺激によって様々な生理活性物質や伝達物質が発生しますが、それらの物質は赤みや色素沈着(モヤモヤしたシミ)といったニキビ跡を悪化させてしまう働きがあります。
そういった跡を悪化させる物質を抑えるには、皮膚を冷やすのが効果的です。
アイスパックやビニール袋に入れた氷水などで患部を冷やすことで、ニキビの腫れや赤みを素早く抑え、ニキビ跡の悪化を予防できます。冷やす時間は5分くらいが目安です。
なお、ニキビを潰した後の赤みは2週間~1か月くらい、一方、ニキビ跡のシミは若い時期であれば1~3か月間くらいで消えると思います。
6:保護紫外線対策をして下さい
ニキビの芯を出した翌日には患部がカサブタになっていると思いますが、そのかさぶたは絶対に無理やり剥がしたりしないで下さい。
跡が残ってしまうためです。自然に剥がれるのを待ちましょう。
そして、ニキビを潰して治った後でも、しばらくは炎症物質が残っていてメラニン色素が作られていたりします。
また、炎症によって皮膚の構造が崩れていることも問題となります。
ニキビの炎症によって表皮と真皮の中間に存在する基底膜という部分の構造が崩れると、表皮で作れたメラニン色素が真皮層に入り込みやすくなります。
だからニキビによる色素沈着は治りにくいことがあるのです。
さらに、その状態から紫外線を浴びて日焼けしてしまうと、真皮層にメラニンが大量に落ち込んで色素沈着が定着し、とても治りにくくなります。
そのため、ニキビの炎症がある時やニキビを潰した後、治った後でも、紫外線を浴びないようにして下さい。刺激を与えるのも厳禁。
なお、ニキビ跡の炎症後色素沈着は、ビタミンC誘導体のローションが非常に効果があります。
にきびの芯の疑問いろいろ
なぜ臭いの?
ニキビの芯はとても臭い匂いを放ちます。その臭いの成分は微生物の活動によって発生する酪酸やイソ吉草酸などの低級脂肪酸(短鎖脂肪酸)が原因です。
酪酸は主にバターやチーズ、銀杏の臭い。もう一つのイソ吉草酸は、主に足裏の臭いの原因となる成分。
それらは、人間にとってわずかな量でも強い臭いを感じます。
ニキビの芯を出さないまま炎症が治るとどうなる?
ニキビが赤く炎症。そして芯を出さないまま治った。その場合、そのニキビの芯はどうなるのでしょうか。
毛穴内に残ったニキビの芯は、ターンオーバーと共に外に出てきてなくなったり、活性化した免疫細胞が処理したりしてなくなっていきます。
そして、時間をかけて硬さもとれて平らになっていきます。
そもそも、どのようにニキビの芯が発生するの?
そもそも、なぜニキビの芯が発生するのでしょうか。それは主に皮脂の増加が原因となります。
皮脂が増加することで、皮膚に生息する微生物が皮脂を分解して遊離脂肪酸という物質を作り出します。
その遊離脂肪酸は、保湿作用や肌を弱酸性に導く働きがあり、病原性の強い黄色ブドウ球菌などの増加を防ぐ働きをしています。
一方で皮膚に対して刺激性があり、皮膚を刺激してターンオーバーを過剰に促し、毛穴内に角質が溜まりやすくしてしまう原因にもなります。
その毛穴に溜まった角質と皮脂が混ざった塊がニキビの芯(角栓)というわけです。
やはり洗顔が重要
皮脂による刺激でニキビの芯が作られるようになるため、1日2~3回を目安に洗顔して、皮脂を落とさなければいけません。
また、皮脂をコントロールすることも重要。ストレスを溜めない、油っこい食事を控える、睡眠をしっかりとるなどの生活習慣をこころがけましょう。
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