アゼライン酸のニキビ改善効果と美白効果、副作用が少ないメリットがある

小麦の写真 にきびに効く外用の有効成分の一つにアゼライン酸というものがあります。

アゼライン酸は、小麦やライ麦などの穀類や酵母に含有される天然由来の酸です。私達が日常的に食事から口にしているもので、安全性も高いといえます。

アゼライン酸は、日本では「ニキビケア成分」としてよく使用されるものではありませんが、ヨーロッパやアメリカなどの世界の多くの国では古くからニキビ治療の医薬品成分として使用されています。この成分が高い頻度で使用される国も少なくないです。

今回は、そのアゼライン酸のニキビ治療効果や副作用、そしてこの成分の問題点などを詳しく解説していきます。

アゼライン酸とは?

CRX AZAクリア(アゼライン酸)の画像 アゼライン酸は、小麦などの穀類や酵母類に含有される天然の「酸」です。例えば角質ケア成分として使用されるグリコール酸や乳酸などと同じように「酸」の一つだと考えて下さい。

この成分が注目されたのは、まず美白効果が確認されたことです。外用として肌に塗った場合にメラニン色素の生成を抑える効果が確認されたことがきっかけで注目されました。

そして、その後にニキビへの効果も認められたことで、美白効果のあるニキビ有効成分として使用されるようになりました。

グリコール酸と同時に使用されることが多い

アゼライン酸は、市販化粧品においては、グリコール酸や乳酸などのフルーツ酸(AHA)や、サリチル酸(BHA)などの角質を剥がすピーリング成分と一緒に使用されることが多いです。

その中でも特にグリコール酸という角質ケア成分とよくコンビネーションで使われることが多いです。

アゼライン酸もグリコール酸も同じピーリング作用を有し、同時に配合することで相乗効果が期待できます。また、他の効能をもつ成分を組み合わせることで様々な肌の悩みに総合的に効くメリットもあります。

欧米では軽いニキビ治療によく使用される成分

アゼライン酸は、欧米のニキビ治療ガイドラインにおいて、白ニキビや黒ニキビ(毛穴に黒色化した角栓が詰まった状態)などの軽い症状に対して、レチノイン酸の次に推奨されています。

レチノイン酸治療薬の代表がディフェリンゲル(成分名:アダパレン)という塗り薬で、それは日本でも最も処方される外用薬の一つなのですが、外国では軽いニキビ治療にはディフェリンの次にアゼライン酸が処方されたりします。

ディフェリンゲルの場合、赤みやヒリヒリ感、角質の剥がれ、かゆみといった副作用が現れる可能性が高く、臨床試験では約8割に副作用が起こると報告されていますが、アゼライン酸の場合はそういった副作用が極めて少ないメリットがあります。

アゼライン酸の効果

毛穴が厚くなるのを予防してニキビの形成を防ぐ

遊離脂肪酸がニキビ発生の仕組みの画像 ニキビは過剰な皮脂の影響などによりターンオーバーが必要以上に進行し、角質が厚くなって毛穴がつまってしまうことで発生します。

アゼライン酸は角化をコントロールしてニキビ発生の予防効果があります。毛穴がふさがりにくくなることで、結果的ににきびを治していきます。

ピーリング作用がある

ピーリングの画像 アゼライン酸には穏やかなピーリング作用があります。ピーリング作用とは角質を剥がす作用のことです。

ニキビは、皮脂の増加→皮脂中の不飽和脂肪酸が酸化して毛穴壁を刺激→毛穴の皮膚が分厚くなって毛穴が詰まる→ふさがった毛穴でアクネ菌が増加→免疫反応を起こしてニキビが赤く腫れる、という仕組みで起こります。

アゼライン酸は毛穴やその周辺の厚くなった角質を剥がす作用があるので、最終的に毛穴つまりを予防してニキビの減少につながると考えられます。

ただし、アゼライン酸の角質を剥がす作用は、グリコール酸やサリチル酸などよりも弱いです。マイルドな効果なのですが、当然、濃度が高くなればピーリング作用も比例して強くなります。

アゼライン酸は美白作用がある

ニキビ跡の炎症性色素沈着の画像 アゼライン酸は、の原因であるメラニン色素の生成を抑制する働きがあります。

ニキビが炎症を起こすと様々な生理活性物質や伝達物質が発生し、その結果メラニン色素がたくさん作られて色素沈着が定着するようになりますが、アゼライン酸を使用すれば、の軽減や早い改善が期待できます。

肌が白くなる作用がありますが、例えばハイドロキノンのような肌の色が抜けてしまう白斑という現象を起こすことはないです。美白作用は穏やかに効きます。

なお、アゼライン酸は女性特有の肝斑(かんぱん)というシミにも効果があるといわれています。

ニキビ菌に対する抗菌作用

アゼライン酸はニキビの原因となるアクネ菌に対して殺菌作用を示します。ただし、抗菌力はそれほど強いものではないです。濃度が低ければ、殺菌作用はほとんど期待できないです。

なお、アゼライン酸とよくコンビで配合されるグリコール酸やサリチル酸なども弱い殺菌作用があります。

アゼライン酸は皮脂を抑える

皮脂の画像 ニキビの原因の大半は皮脂の増加によるものだとされますが、アゼライン酸は皮脂の分泌を抑えてニキビの予防・悪化の効果があるとされます。

これは、アゼライン酸に抗男性ホルモン作用があるとされているためです。皮脂腺に作用する男性ホルモンの働きを抑制して皮脂量を抑え、最終的にニキビを減少させます。

ただし、実際に使ってみればわかると思いますが、残念ながら皮脂抑制効果は弱いものになります。劇的な効果があるのなら、もっと注目されているはずです。個人差があると思いますが、ほとんど効果が実感できない人もいると思います。

わずかな抗酸化作用がある

アゼライン酸は抗酸化作用があり、皮脂の酸化を抑えてニキビ形成を予防します。

また、活性酸素を抑えることでニキビ炎症の悪化を予防し、にきび跡の赤みや色素沈着の悪化も予防します。ただし、強力な作用ではないです。

どんなニキビに効くのか?

ニキビの種類の写真 アゼライン酸の効能は非常にマイルドです。そのため、軽めのニキビ(例えば白ニキビや細かなニキビ)などに効果的です。また、ニキビと同時に色素沈着を治す目的でも有効です。

顔にきびだけではなく、背中や胸元などのニキビにも使えますが、顔以外のニキビは効果が出にくいです。理由は背中などは角質層が厚く、成分の反応が悪いためです。

一方、炎症性が強い赤にきび、深いところで化膿したようなニキビの場合は、アゼライン酸だけでは効果は不十分です。やはり即効性がある殺菌薬で治療したほうがいいと思います。

なお、皮膚科では腫れの強いニキビに対して、ベピオゲル、デュアック配合ゲル、エピデュオゲルなどの即刻性が期待できる塗り薬が処方されることが多くなっています。

他の治療薬が合わない場合にも効果的

軽いニキビ治療の有効成分というと市販薬にも含まれるイオウ製剤や、皮膚科の処方薬であるディフェリンゲルなどのお薬が適していますが、それらは肌が弱い人にとっては刺激性が強い欠点があります。

そのような人にアゼライン酸は適しています。ポツポツとしたニキビを安全に治したいようなケースに穏やかに効いていきます。

紫外線を浴びる人でも使える

紫外線を嫌がる画像 例えば、ディフェリンゲルなどのニキビ治療薬の場合、塗った後に紫外線ケアが必要になりますが、アゼライン酸の場合は紫外線に対してあまり神経質になる必要はないです。

ただし、ニキビは日焼けによって色素沈着が悪化するので、炎症が強ければ紫外線を避けるようにしたほうがいいです。

アゼライン酸を配合した製品

アゼライン酸高濃度配合クリーム(ロート製薬)

CRX AZAクリア(アゼライン酸)の画像 DRX AZAクリア「アゼライン酸高濃度配合クリーム」は、ロート製薬が販売しているニキビ治療薬です。

アゼライン酸が高配合されているので、それなりの効果が期待できます。べたつかない使用感で、ノンコメドジェニックテスト済みです。

皮膚科医の中には、細かいニキビなどの軽い症状に対してこの製品をすすめるお医者さんもいます。ただし、保険は効きません。自費診療(10割負担)です。

製品価格は1本(15g)で1,800円です。

全成分水、アゼライン酸、BG、トリエチルヘキサノイン、ミネラルオイル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、ジグリセリン、ベンチレングリコール、ステアリン酸グリセリル、ホホバ種子油、PEG-60水添ヒマシ油、ナイロン-12、セタノール、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、EDTA-2Na

バランシングVCクリアジェル20g(エトヴォス)

etvos(エトヴォス)アゼライン酸ジェルの写真 バランシングVCクリアジェルは、エトヴォスというメーカーが販売しているアゼライン酸誘導体3%とビタミンC誘導体2%を主成分とした市販のニキビケア化粧品です。

この製品は、シリコン、パラベン、ニキビを誘発するオイル、鉱物油、石油系界面活性剤、香料、着色料などが一切配合されていません。

肌への刺激を抑えながらポツポツとしたニキビを治したいという人に効果的な商品です。値段は製品1本(20g)あたり約2000円くらいです。

全成分水、BG、ペンチレングリコール、グリセリン、アゼロイルジグリシンK、アスコルビルグルコシド、セラミド1、セラミド3、セラミド6Ⅱ、フィトスフィンゴシン、コレステロール、グリチルリチン酸2K、カプリロイルグリシン、ヒアルロン酸Na、カニナバラ果実エキス、グリシルグリシン、オウゴン根エキス、PCA-Na、セリン、グリシン、グルタミン酸、アラニン、アルギニン、トレオニン、プロリン、タウリン、ロイシン、バリン、イソロイシン、チロシン、フェニルアラニン、アスパラギン酸Na、リシンHCl、ヒスチジンHCl、イノシン酸2Na、グアニル酸2Na、アラントイン、ココイルプロリン、キサンタンガム、水酸化Na、ラウロイルラクチレートNa、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸Na、カルボマー、エチルヘキシルグリセリン、フェノキシエタノール

アゼライン酸の副作用や注意点

副作用の皮膚の赤みの画像 アゼライン酸はとても安全な成分なので、一般化粧品に配合される低い濃度であればほとんど副作用は現われないです。

ただし、使用中にかぶれの症状(強い赤みやかゆみ、湿疹)などが現れたら使用を中止しましょう。

特に、強いかゆみや赤みが現われた場合、アレルギー性接触皮膚炎を起こしている可能性があるので、その場合は使い続けてはいけません。使い続けて強い炎症が続くと、ニキビや色素沈着が治りにくくなります。

また、アゼライン酸は濃度が高くなるほど刺激性が強くなり、若干の熱感やヒリヒリ感、かゆみなどを感じることがあります。

その場合でも、ほとんどのケースでは一時的な現象であり、時間の経過と共に慣れてなくなっていきます。また、ヒリヒリ感が続く場合は、使用回数や使用量(濃度)を減らしたりして工夫してみましょう。

何らかの刺激感がでるのは成分が効いている証拠だともいえますので、副作用が一時的なもので、さらにアレルギーのようなひどい副作用(かゆみ、赤み、腫れなど)でなければ、使い続けて大丈夫です。数日使い続ければ肌が慣れてくるはずです。