免疫機能に異常が現れると、ニキビや毛嚢炎といった症状が悪化しやすくなり、その症状が治りにくくなることがあります。
これは、免疫低下によって皮膚常在菌のバランスが乱れてしまうことや、微生物を退治する免疫機能が低下したことがあげられます。
また、ニキビと似たような皮膚病においても免疫機能が低下することで発生する可能性があります。
免疫低下によるニキビを起こす原因は?
皮膚には無数の皮膚常在菌が存在し、通常は免疫などによって皮膚常在菌のバランスが保たれています。
ただし、免疫バランスが乱れたりすることで皮膚常在菌のバランスも変化し、ニキビや毛包炎、湿疹などの様々な皮膚疾患を引き起こす可能性があります。
皮膚常在菌には、主にアクネ菌、表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌などの細菌類や、マラセチア菌やカンジダ菌などの真菌類(カビ)などの様々な菌が存在しますが、それらのバランスが乱れるといろいろな皮膚病変を起こすことがあります。
免疫が低下しているとニキビが治りにくい
ニキビの原因となるアクネ菌が増加すると、それを攻撃するために好中球という白血球の一つが活性化します。そしてアクネ菌を食べて強力な活性酸素を放出し、アクネ菌を攻撃します。
それによってアクネ菌が死滅して炎症が抑えられ、ニキビが自然に治っていくのですが、免疫がうまく機能しなければこの反応が上手に働かなくなり、炎症が長引いてしまうようになります。
炎症が長引くほどニキビ跡の赤みや炎症後の色素沈着(モヤモヤしたシミ)なども悪化しやすい傾向があります。
ただし、このような免疫不全が起こるのは基本的に糖尿病やエイズなどの病気の影響によるものです。
免疫低下による皮膚感染症
免疫が低下すると、様々な皮膚感染症にかかりやすくなります。
カビ(真菌)によるものでは、主にカンジダ菌(カビ)によるカンジダ症、マラセチア菌(カビ)による脂漏性皮膚炎やマラセチア毛包炎などがあげられます。
ウイルスが原因となるものでは、ヘルペスウイルスによる単純疱疹、帯状疱疹などにかかりやすくなります。
免疫が低下する原因とは?
ステロイド外用薬の使用
ステロイド外用薬の副作用の一つとしてニキビが発生することがあります。
ステロイドニキビといったりしますが、これはステロイドの免疫抑制効果によって皮膚常在菌のバランスが乱れ、アクネ菌やマラセチア菌(カビ)などの菌の増加を引き起こしてしまうためです。ステロイドを塗った部分のみが影響します。
タクロリムス軟膏の塗布
ステロイド外用薬だけではなく、タクロリムス軟膏(製品名:プロトピック軟膏)を使用することでも免疫が低下し、ニキビが発生することがあります。
タクロリムスにはステロイドと同じように免疫を抑制して皮膚の炎症を治す効果がありますが、それによって皮膚常在菌のバランスが乱れてニキビができてしまうことがあります。塗った部分だけに副作用が現れます。
病気による免疫不全
ニキビがなかなか治らない場合は病気である可能性があります。病気によって免疫不全を起こすことでニキビ肌荒れが治りにくいといった現象は起こりえます。主に以下のような病気があげられます。
糖尿病
糖尿病の人はニキビが治りにくく、ニキビ跡も悪化しやすい傾向があります。糖尿病患者は血液中に糖があふれることで基本的な身体の代謝機能が阻害されます。
細胞がエネルギーをとり込めなくなるので、免疫細胞の働きも悪くなり、軽い免疫不全を起こすようになります。それによってニキビの原因菌を退治することができなくなって長期化してしまうことがあります。
また、糖尿病患者はニキビだけではなくあらゆる皮膚病の傷が化膿しやすくなり、治りも悪くなります。
HIV感染やエイズ発症患者
HIV感染の初期症状(感染後2~6週間ほど)として体調が悪化して発熱を起こしたりすることがあります。
それは、ウイルスが急激に増加するためですが、その時期に肌も不安定になってニキビや毛嚢炎などの症状が治りにくくなることがあります。
特にHIV感染の初期には、カンジダ症や脂漏性湿疹などの皮膚病を起こしやすくなります。
また、エイズを発症して免疫不全を起こすと様々な感染症を起こすようになり、ニキビなどの腫れものや、わずかな傷でも治りにくくなってしまいます。
糖尿病やエイズなどの他にも、免疫不全を起こす病気は200種類以上あります。ただし、かなりまれなケースです。
甘い食べ物の日常的な過剰摂取
砂糖や果物などの甘い食べ物を頻繁に食べているような生活が続くと、糖尿病患者のように慢性的に血糖値が高い状態が続きます。
それによって一時的に免疫が乱れてにきびが長期化して治りにくくなってしまうことがあります。糖の過剰摂取によってカルシウムなどのミネラルやビタミンなどの消費量が多くなることも原因の一つです。
また、甘い食べ物は腸内細菌バランスを乱す原因になることがあり、それによって肌荒れを起こしてしまうこともあります。アトピーのようなデリケートな肌では甘い食べ物で症状がすぐ悪化してしまう人も少なくないです。
甘い食べ物が好きな人は傷が治りにくいといわれることがありますが、ニキビ肌荒れに悩む時期は、チョコレートやケーキ、ジュースなどの過剰摂取は控えたほうがよいでしょう。
- ピーリングを10年続けた肌はどうなる?過剰ニキビケア体験談
- 面疔(めんちょう)の原因&治し方まとめ。最も効く皮膚科の薬や市販薬は?
- 皮膚の表皮・真皮・角質層の厚さは何ミリ?各部位の厚みと層数まとめ
- ベピオゲルのにきび減少率と副作用、ヒリヒリする痛みやかゆみの対処についても解説
- メガネ跡の黒ずみ・色素沈着を治す方法は? 予防法と治療方法
- 目・眼球のしみ(結膜母斑)の治療方法とは? 原因と治し方
- 皮膚科のニキビ処方薬「塗り薬・飲み薬」まとめ。保険適用で処方頻度が多い順
- アダパレンゲルの赤ニキビ減少率と副作用。ヒリヒリや皮むけ、かゆみの対処について
- ニキビを潰す方法。ニキビの芯を出す器具と潰していいニキビ写真一覧
- デュアック配合ゲルのニキビ減少率と副作用。痛みやアレルギーのかゆみ対処について