ピーリングとは、角質を剥がすスキンケアのこと。
自分で行うには市販されるフルーツ酸配合のコスメや、酵素洗顔料などを使って角質を除去し、表皮の生まれ変わりを促したり、毛穴つまりを解消することができます。
毛穴汚れの解消につながるため、ニキビ肌を改善する目的でよく使用され、日常的にピーリングを行っている人も少なくありません。
ところが、ニキビケアのために長年にわたってピーリングを続けると肌はどうなってしまうのでしょうか。
2015年の秋ごろに、筆者がメイクセミナーを受講したことがきっかけで出会った34歳の女性(以下Aさん)。
そのAさんは、約10年間にわたってピーリングを続けてしまい、それが原因で改善が難しい肌荒れが続き、それまでの仕事や一般的な日常生活さえも困難になったといいます。
今回の記事は、Aさんの協力と共にピーリングの危険性や問題点について考えていきます。
ニキビを治すために現在もピーリングを続けている人や、以前にピーリングをやりすぎた経験がある人に、ぜひAさんの体験とともにピーリングの危険性を知ってほしいと思います。
ピーリングを10年間続けた肌の印象
画像はピーリングを10年間続けたAさんの頬の写真です。Aさんの肌は、アトピー性皮膚炎や日焼けをした肌よりは赤みは少ないですが、それらと似たような赤黒い肌に見えました。
まず、顔だけの皮膚の色が他の部位の色と違っています。これは、おそらくピーリングによる刺激が続いたことで慢性的な色素沈着を起こし、顔全体が黒ずんでしまったことによるものだと思います。
そして、まばらに炎症による赤みが見られました。肌が薄くなって刺激に弱くなったことで頻繁に炎症が起こってしまうようです。
最も印象に残ったのは、肌が古い角質(垢:あか)でガサガサした状態になっていたことです。
Aさんによると、これ以上肌を薄くしないために、石鹸などで洗わないスキンケアを続けた結果、顔が垢だらけの状態になっているとのことでした。
本当はニキビ跡のクレーターやシミなども多いというのですが、顔に垢が溜まっているためそれも目立ちません。
そして、特に鼻の角栓や鼻周りの古い角質(垢)がたくさん付着していて赤みも見られ、その部分だけは症状が強く現れた脂漏性皮膚炎のような状態でした。
顔に垢がたくさん付いているので、見た目として不潔に見られるのが辛いのだといいます。
ニキビケアのために始めたピーリング
Aさんは元々ニキビ体質だったようですが、10代後半くらいから特に大きなニキビが顔全体にたくさんできるようになったといいます。
そして、いろいろな洗顔料や化粧品を試している時にピーリング洗顔料と出会ったそうです。
そして、1日1回のペースでピーリングを続けるとニキビやが治りやすくなり、さらにニキビそのものができにくくなっていったといいます。
実際にピーリングをしばらく続けると肌が薄くなってくるため、毛穴がふさがってニキビが発生してしまうといった現象が起きにくくなります。
そして、本来はニキビができなくなったらピーリングを止めるべきなのですが、Aさんは再びニキビだらけの肌になりたくないとして、ニキビ予防のためにピーリングを続けていったというのです。
Aさんによると、一般的なピーリング洗顔料などを使って10年くらいにわたってピーリングを続けたといいます。
ピーリングを続けると肌が薄くなるため顔が赤くなってくるようになります。そして、刺激にも弱くなるので少し触れただけでも顔が赤くなったりします。
Aさんは自分の肌が弱くなっているような実感はあったそうですが、それを深刻な状態だと考えることはなく、それよりも再びニキビ肌にはなりたくないとしてピーリングを続けたといいます。
そして、ピーリングを続けていると、ある時から湿疹のようなものがポツポツとできるようになり、しだいにその湿疹が増えて治りにくくなり、お化粧なども難しいような状態になっていったそうです。
急に肌荒れがひどくなったのではなく、変化が緩やかだったため、ピーリングがいかに危険なのかを認識するのが遅れたそうなのです。
肌が極端に薄くなると接触皮膚炎を起こす
Aさんはこれ以上肌を薄くしないために石鹸洗顔はほとんどしないそうですが、顔を洗わない理由がもう一つあるといいます。それが「接触皮膚炎を起こすから」という理由でした。
皮膚が薄くなると刺激に弱くなり、それによって接触皮膚炎を起こしやすくなります。
接触皮膚炎とは一般にいわれる「かぶれ」のことで、なんらかの原因物質に触れることで発生する一時的な炎症性疾患です。
接触皮膚炎には、単純に刺激によって起こる「刺激性接触皮膚炎」と、アレルギー物質に触れることで発生する「アレルギー性接触皮膚炎」の2種類があります。
Aさんは、石鹸で顔を洗うとヒリヒリして赤く炎症を起こすといいますが、それはおそらく石鹸による刺激で発生する刺激性接触皮膚炎だと考えられます。
例えば、主婦に発生しやすい手湿疹も刺激性接触皮膚炎の一つであり、それは洗浄力の強い合成洗剤による刺激が原因となりますが、それと同じ現象がAさんの場合では石鹸洗顔で起こってしまうようです。
刺激性接触皮膚炎は肌が薄くなることで発生しやすくなるのですが、肌が薄くなる要因は一般には加齢によるものです。また、元々の肌が薄い人も発生しやすいです。
ところが、現代ではピーリングや合成洗剤などの過剰なスキンケアが原因で肌が薄くなってしまうことがあります。
石鹸による刺激性の接触皮膚炎は、一時的な炎症や軽い発赤で、アレルギー性接触皮膚炎のような長い炎症やかゆみは起きにくいですが、何度も繰り返し炎症が起きるとバリア機能が崩れてさらに悪化したり、色素沈着がひどくなってしまうことがあります。
Aさんは、その接触皮膚炎を避けるためと、表皮層をこれ以上薄くしないために石鹸洗顔を極端に控え、簡単な水洗いだけの洗顔にしているといいます。
そして、現在では軽いアイメイク以外のお化粧(ファンデーションなど)はほとんどできなくなったそうです。
基本的に肌に対してあらゆる負担を避けているため顔が垢だらけの状態になっていたのですが、極端に肌が薄くなってしまった状態では最も良い判断かもしれません。
肌が刺激に耐えられず汗で接触皮膚炎を起こす
Aさんのさらなる悩みが、汗をかくとその汗の刺激によって接触皮膚炎を起こしてしまうことです。
例えば、額に汗をかくとヒリヒリした痛みと共に画像のような赤みが現れます。(なお、画像はAさんのものではありません)。
汗にはナトリウム(塩分)や乳酸、尿素などが含まれており、その塩分などが刺激となって接触皮膚炎を起こしてしまうのです。
汗による接触皮膚炎は、バリア機能が弱いアトピー患者によく見られる現象なのですが、Aさんの場合は、やはりピーリングを続けて極端に肌が薄くなってしまったことが原因だと考えられます。
汗は通常はそれほど刺激性が強いものではなく、海水などよりも塩分濃度は低いのですが、その汗でも極端に肌が薄い人は炎症を起こしてしまうことがあります。
Aさんの汗による接触皮膚炎は、ピーリングを続けた顔だけに発生するといいます。胸や背中、ワキなどに大量に汗をかいても特に炎症を起こすことはありません。
少量の汗の場合は、軽いヒリヒリ感(痛み)と共に、炎症による赤みがほんのり現れる程度ですが、汗の量が多くなるほどヒリヒリ感が強くなり、顔全体が真っ赤になってしまうといいます。
特に鼻の頭は汗をかきやすいので、夏場は頻繁にピリピリして赤くなってしまうのが辛いそうです。
そういった症状が出るようになってから、Aさんはそれまで勤めていた仕事を辞めて、現在はできるだけ汗をかかないような仕事に変えたといいます。
そして、生活も大きく変化することになります。例えば、汗をかかないようにするために、家にこもりがちになったり、温かい時期は運動をすることがなくなったようです。
また、お風呂も長い時間入ることがなくなったそうです。理由は汗をかくことを避けるためと、お風呂やシャワーのお湯の熱の刺激によって接触皮膚炎を起こしてしまうためです。皮膚が弱い人は、弱い熱でさえも炎症要因となります。
さらに、肌が紫外線に対して極端に弱くなったので日中に外に出なくなったといいます。極端に皮膚が薄い人は、通常よりも早い時間でサンバーン(日焼け)が起こりますので、紫外線を避けなければいけません。
春には花粉症皮膚炎に
ピーリングによって皮膚のバリア機能が弱くなったAさんですが、幸いにもアトピー性皮膚炎のような症状が現れることはなかったようです。
ところが、2~4月ごろの花粉シーズンになると、顔だけにアトピー性皮膚炎のような症状がでてしまうといいます。その症状を「花粉症皮膚炎」といったりします。
Aさんは従来から花粉症に対して若干のアレルギーがあり、花粉シーズンになると鼻水や目のかゆみに悩まされていたようですが、肌が薄くなったことであるシーズンから花粉症が顔の皮膚にも現れるようになったといいます。
問題は、Aさんのような表皮層が極端に薄い人は、皮膚炎に対する外用薬の使用が難しくなることです。
当然、ステロイド薬の使用はできませんし、非ステロイド性の消炎薬などを使用しても、それによって接触皮膚炎を起こしてしまうことがあります。
皮膚が薄くなる原因とは?
そもそも、なぜピーリングによって皮膚が薄くなっていくのでしょうか?その原因は、表皮細胞の細胞分裂の低下によるものだと考えられます。(表皮細胞は角化細胞ともよばれます)。
表皮細胞は、表皮内の基底層というところで作られて、有棘層→顆粒層を経てだんだんと押し上げられ、最終的には角質となり、最後は垢(古い角質)となって剥がれていきます。
その現象をターンオーバーといいますが、残念ながら表皮の基底層で作られる肌細胞の細胞分裂の回数には限界があります。限られた回数しか表皮細胞を作り出すことができないのです。
そのため、ピーリングを続けて表皮の角質細胞を剥がし続けると、表皮細胞をたくさん作り出す必要があり、それが続くと細胞分裂がしだいに低下するようになります。
表皮細胞を作り出すことができなくなると、しだいに表皮が薄くなっていき、あらゆる刺激に敏感な肌になってしまいます。これが表皮が薄くなることによる敏感肌の仕組みです。
ニキビ治療にピーリングを行うのは理想的なのか
市販のピーリング化粧品の他にも、近年の美容皮膚科などではニキビ治療に対してケミカルピーリングという方法が積極的に用いられることが多くなりました。
ニキビは皮脂などの刺激によって角質層が厚くなり、毛穴がふさがってしまうことで発生するため、ピーリングによって角質を削ってあげることで、早くニキビが治るようになり、新たなニキビの予防にもつながります。
さらに、ターンオーバーを促すことで(モヤモヤしたシミ)の改善効果もあります。また、コラーゲンの増生を促す効果もわずかにあるため、ニキビ跡の浅いクレーターならば改善できるかもしれません。
ニキビケアにとって良い影響が多いピーリングなので、皮膚科医からすすめられることもあると思いますが、やはり、やりすぎは問題です。
ニキビが重度化しやすい人の肌は角質層が厚い傾向があり、少しくらいのピーリングでは深刻な問題になることはないと思いますが、やはり何度も続けてしまうと、普通以上に肌が薄くなってしまいます。
「医師も認める治療法だから」「一般的なスキンケアだから」などの理由で行い続けると、取り返しのつかないことになってしまう可能性があります。
現代の医療において薄くなった肌を元に戻すことは可能なのか?
結論から言えば、ピーリングで薄くなった肌を「キレイな状態」で元に戻すことはできません。
見た目を気にしなければ、理論的には皮膚移植で元気な肌を取り戻すことはできると思います。
背中や脚などの皮膚を採取して顔に移植する方法ですが、問題は以下の通り。
- 目元などの皮膚の薄い部分や鼻や眉の部分などは仕上がりが難しいように思います。
- 顔をカバーできるレベルの皮膚を採取することが困難。
- 治療期間も長期に及ぶことや治療費用もかなり高額になる。入院が必要。
再生医療で元に戻る?
再生医療の分野では、別の部分から若々しい表皮細胞を採取してそれを培養し、薄くなった部分に移植するという方法もあります。
ただし、それは高度のヤケド治療で用いられるものです。
問題は、培養表皮を定着させるために表皮を削る必要があり、それによって皮膚がケロイドや瘢痕(傷痕)だらけになってデコボコになってしまうこと。
仕上がりはヤケドだらけの状態になり、キレイにはなりません。
そして、この方法は治療期間がかなり長くなり、さらに治療費用も入院費も含めて1000万円単位レベルの高額なものになると思います。
いずれにしても、ピーリングで薄くなった肌を治すというのは現実的ではありません。
戻すというよりも肌老化の進行を遅らせるというケアが重要になります。
肌が薄くなった人の理想的なスキンケアや薬
筆者は皮膚科で看護師をしていた経験があり、私の知る限りの知識のもとで、Aさんに対して症状を軽くする薬やスキンケアなどのいろいろなアドバイスをしました。もし似たような状況にある人は参考にして下さい。
洗顔は水洗い、またはぬるま湯洗い
汗で接触皮膚炎を起こしてしまうくらいに肌が弱い人は、洗顔は水洗い洗顔やシャワー洗顔が理想です。シャワーの刺激でも肌が荒れてしまう場合は、洗面器に水を溜めて顔を左右に振ってパシャパシャとするだけが良いと思います。
洗うというようりも、顔を水やぬるま湯につけるという感覚です。それだけである程度は汚れが落ちると思います。
皮脂に含まれる遊離脂肪酸(特に不飽和脂肪酸)という物質は、ニキビや脂漏性皮膚炎の主な原因とされますが、不飽和脂肪酸は常温では液体なので、水に付けるだけで水の表面張力によってある程度落とすことができると思います。
保湿スキンケアはワセリンだけにする
スキンケアは最も純度の高いとされるサンホワイトというワセリンだけのスキンケアにするようにすすめました。
Aさんはどんな刺激性が低い化粧水を使用しても肌がヒリヒリしてかぶれると悩んでいましたが、そのような肌が薄くなった人の保湿剤はサンホワイトのような純度の高いワセリンしかありません。
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ワセリンは肌表面だけをコーティングするもので、化粧水のような浸透性がほとんどないため、接触皮膚炎を起こしにくいのです。皮膚のバリアを崩すような乳化作用もありません。
ニキビ体質の人は、ワセリンのような油だらけでベタベタしたものを肌に塗るのに抵抗があるかもしれませんが、肌が極端に薄くなった人は角質を作り出す能力が低下しているため、角質肥厚によって毛穴がふさがってニキビができるといった現象がほとんどおきません。
ステロイド外用薬は使用しない
ピーリングで極端に表皮が薄くなった人は、ステロイド外用薬を使用してはいけません。Aさんの肌は炎症がみられましたが、ステロイドを使用すると副作用でさらに皮膚を薄くしてしまうためです。肌が薄い人がステロイドを使用すると悪循環に陥るリスクが高くなります。
抗アレルギー薬の服用
そして、内服薬ではフェキソフェナジン(アレグラ)という抗アレルギー薬を継続的に服用したほうが良いとすすめました。病院で処方してもらえますし、市販薬でもアレグラという製品があります。
フェキソフェナジンのような抗アレルギー薬は、一般にヒスタミンを抑えてかゆみを軽減する目的で使用されますが、他にも炎症に関与する様々な物質の働きを抑制する効果があるため、かゆみの抑制だけではなく炎症そのものが起きにくくなります。
Aさんのような肌が薄い人に頻発する接触性皮膚炎が起きにくくなるのです。
そして、フェキソフェナジンは抗アレルギー薬の副作用でありがちな眠気が起きにくいため、継続的に使用できる利点があります。
ビタミンやミネラルサプリとLシステインの摂取
さらに、総合ビタミンサプリの服用や亜鉛などのミネラルの摂取、また、Lシステインというサプリの摂取もすすめました。
Lシステインはシミに効く成分として認識されていますが、他にも肌作りをサポートする働きがあります。
薄くなった肌を強化する働きがあるため、皮膚科などではアトピー治療などにも処方されることがあるのです。ハイチオール錠というお薬が処方されますが、市販医薬品のハイチオールCという商品でも大丈夫です。
そのようなスキンケアや内服薬を続けたことでAさんの肌は劇的にキレイになっていきました。
他にも肌に良い様々なスキンケアを増やしたいところですが、やはり汗で接触皮膚炎を起こしてしまうくらいに肌が弱くなっているため、限られるものになってしまいます。
ピーリング化粧品が普及した世代は老化が進んでいる?
もともとピーリングというスキンケアは欧米から入ってきた美容法で、欧米では1990年代前半くらいからニキビやシミ、しわ治療などに対してピーリングが効くと認識されるようになりました。
欧米人の表皮層(角質層)は日本人よりも2~3割くらい厚くて刺激に強いため、アメリカなどでは若返り目的で強い濃度のピーリングがよく行わていた時期があります。当時はハリウッドセレブの間でも人気の若返り法だと話題になったこともありました。
そのピーリングという美容法が日本で認識され、ケミカルピーリングという名称で美容皮膚科などで行われるようになったのは、1990年代後半くらいだったと筆者は記憶しています。
そして、同時期に多くの市販ピーリング化粧品が普及し、それによりピーリングを使ったニキビケアを自分で日常的に行うことができるようになりました。
ところが、ピーリング化粧品が普及した一方で、ピーリングの危険性の認識が低い問題があったように思います。それは消費者だけではなく、販売している化粧品メーカーに対してもいえることです。
以前の化粧品メーカーは、「毛穴の黒ずみが取れる」「ニキビが治る」「赤ちゃんのようなツルツルの卵肌になる」「肌のくすみがとれる」などの宣伝文句で積極的にピーリング化粧品をすすめているところが多くありましたが、長期使用に対する安全性の認識が低かったと思います。(現在でもそういう化粧品会社はあります)。
現在では、店頭に並ぶピーリングコスメは昔よりも劇的に減った印象がありますが、従来はとても一般的に販売されていたために、そういった化粧品を使ってピーリングを続けてしまった人はとても多いと思います。
そういった人は通常よりも肌老化が進行している可能性がありますので、心当たりのある人は今後は普通よりも肌の負担にならないようなスキンケアを意識して下さい。
また、近年では「ピーリング化粧品」として販売していない一般の化粧品にも普通にグリコール酸や乳酸、リンゴ酸などの角質を剥がす成分(それらはフルーツ酸といいます)が配合されることも多くなりました。
角質を剥がす成分には肌をワントーン明るく導く効果があるため、普通の化粧品にも配合されたりするのです。シミ消しを目的とした化粧水や美容液などにもよく見かけたりしますね。
肌が弱い人は、そういった化粧品にも注意しなければいけません。特に女性は日常的なお化粧やスキンケアによって肌へのダメージが蓄積していますので、化粧品には刺激性が低いものにこだわりたいところです。
クレンジングオイルも注意が必要
ピーリングと同じように肌を薄くしてしまう危険性が高いのがクレンジングオイルです。
クレンジングオイルは、ピーリング化粧品と同時期に広く普及した経緯があります。きっかけはDHCのオリーブクレンジングオイルだったと思いますが、そのオイルクレンジングを長い期間続けた経験がある人は注意が必要です。
クレンジングオイルは乳化剤(界面活性剤)を多量に含むことでオイルなのに水でスルスルと洗い流すことができるメイク落としです。
使ったことがある方ならわかると思いますが、クレンジングオイルを使うと毛穴汚れ(角栓)がよく取れるようになりますよね。それがにきび予防にもつながるメリットがあります。
メイクと共に毛穴汚れも落とせるのがオイルクレンジングが人気である理由だと思いますが、毛穴の汚れがよく取れるのは、オイルが角栓や古い角質と良く馴染んで取り除く作用があるためであり、言い換えれば角質を剥がすピーリング作用が強いということでもあります。
オイルクレンジングは簡単にメイクや毛穴汚れを落とすことができる一方で、肌老化を極端に進行させてしまうスキンケアであることを覚えておいて下さい。
できれば、クレンジング料はオイルタイプよりも肌の刺激性が少ない水溶性タイプや乳液タイプ、クリームタイプのクレンジング料に変えてみましょう。また、できるだけお化粧をしない日を増やすことも大切です。
1回のピーリングでどれくらい皮膚が薄くなる?
ピーリングは、その化粧品を購入すれば誰でも手軽に角質ケアやニキビケアができます。
では、市販のピーリングコスメを使ったピーリングにはどのくらいの肌老化(肌を薄くする)を進行させる作用があるのでしょうか。
Aさんの例でいうと、10代後半から20代後半の10年間にわたって毎日ピーリングを行ったことで、汗で接触皮膚炎を起こしてしまうくらいに肌が薄くなってしまったとされます。
どんな人でも老化によって肌が薄くなって刺激に弱くなるものですが、例えば80歳くらいになっても通常は顔に汗をかいて接触皮膚炎を起こすようなことはありませんね。
つまり、目安としてAさんの肌は30歳くらいの段階で80歳を軽く超えるくらいまで皮膚の薄さ(肌老化)が進んでいたと考えることができます。
これを簡単に計算すると、通常の6倍以上のスピードで肌が薄くなってしまったということになります。やり方しだいでは10倍以上の肌の薄さが進行することも。
ニキビ体質の人は比較的に皮膚(表皮)が厚い傾向がありますが、Aさんも元々は肌が厚くて強いことから10年間もピーリングを続けることができたのだと思います。
ところが、人によっては2~3年くらいのピーリング期間でもビニールのような薄い肌になってしまう可能性もあります。
いずれにしても、継続的に行うと肌の健康を損ねてしまう危険なスキンケアだということを理解しなければいけません。
自分の肌が弱くなっているか確認するには?
ピーリング化粧品やクレンジングオイルなどを長い期間続けた経験がある人は、肌が弱くなっている可能性が高いといえます。
では、どれくらい肌の薄さが進行しているのか?
それを確かめるには、まず胸元などの皮膚を軽く叩いたり、つまんだりして下さい。そして、その後に同じ強さで顔の皮膚を叩いたり、つまんだりして下さい。
過剰なスキンケアによって皮膚が薄くなっている人は、胸の赤みと比べると顔の赤みだけが特に強く現れると思います。
顔の皮膚と胸の皮膚は角質層の厚みに違いがあるため刺激の現れ方に違いがあるのは当然ですが、一つの目安として赤みの強さや赤みが残る時間などを比べ、肌が弱くなっているかどうかを比べてみて下さい。
そして、肌の弱さを感じた人は、ピーリングを控えるようにし、さらにお化粧やクレンジングなどの肌への負担が大きいスキンケアをできるだけ減らすようにして下さい。
また、ニキビケアのためにピーリングを行っている人は、ニキビが治ったら必ず止めるようにして下さい。ニキビ予防のために続けるようなことはしないで下さい。
そもそも、ニキビが治らなくても1年以上ピーリングを続けるのは理想的ではありません。今は問題なくても、加齢と共に過去に続けていたピーリングの影響が現れてくる可能性があるためです。
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