フォトフェイシャルとは、アメリカのルミナス社が開発したIPL機器を使った治療のこと。
IPLとは「Intense Pulsed Light:インテンス・パルス・ライト」の略。
IPLはレーザーではなく特殊な光であり、幅広い波長をもちます。
幅広い波長と、さらに肌の症状に合わせて「560nmヘッド」、「590nmヘッド」、「640nmヘッド」の3種類のヘッド(光を発する部分)を組み合わせて照射することができます。
それにより、老人性のシミ、ニキビによる色素沈着、そばかす、顔の赤み(赤ら顔)、毛細血管拡張などの様々な肌の悩みの改善に導きます。
今回は、フォトフェイシャルのニキビ跡への効果や副作用などについてまとめました。
フォトフェイシャルの波長域とその効果
フォトフェイシャル(IPL)の波長域は560~1200nm(ナノメートル)で、メラニンのような黒い色素や、皮膚の赤みなどの赤い色素にも吸収されやすい560~640nmのエネルギーが特に強いのが特長です。
わかりやすく画像を作ってみました。
フォトフェイシャルは特に560~640nmの波長が強く、その波長域は黒い色素、つまりシミや色素沈着の正体であるメラニンや赤い色素(ヘモグロビン)にも反応しやすい特徴があります。
メラニンにも毛細血管にも対応するので、シミや赤みといった様々な肌トラブルを同時に解消していくことができるのです。
なお、レーザー治療でいえば、シミ治療では(Qスイッチ)ルビーレーザー(波長694nm)やアレキサンドライトレーザー(755nm)、赤ら顔治療ではダイレーザー(波長585nm)といったように、皮膚の症状に合わせてレーザーを使い分ける必要がありました。
フォトフェイシャルではそれらを一気に改善に導くことができます。
フォトフェイシャル(IPL)の効果
- IPLの黒く濃い色に吸収される波長により、シミ、そばかす、にきび跡の炎症後色素沈着、毛穴の黒ずみに効果がある。
- IPLの赤い色に吸収される波長により、赤ら顔、毛細血管拡張、にきび跡の赤みなどに効果がある。
- 光が真皮層に到達し、線維芽細胞の活性化させてコラーゲン増生を促す。(ただし、ニキビ跡の凹み・クレーターを劇的に改善するような作用は期待できません)。
- 皮膚を引き締めて毛穴の開きを解消し、皮膚のキメを整える。
- 皮脂腺に作用して、皮脂分泌を抑制する。(効果には個人差があり、持続効果は数日~数週間程度が目安です)。
- 比較的、穏やかな治療であるためダウンタイムがほとんどなく、日常生活に影響することはない。
適応症状
- しみ、そばかす、毛穴の黒ずみ、ニキビ跡などの炎症後色素沈着、皮膚の黒ずみ、皮膚のくすみ。
- 赤ら顔、毛細血管拡張、ニキビ痕の皮膚の赤み。
- 浅いしわ、小じわ。(深い皺や皮膚のたるみを改善するようなエネルギーはありません)。
- キメの乱れ、毛穴の開き、毛穴のたるみ。
- 肌老化、若返り、エイジングケア。
治療内容
Step1カウンセリングをして肌状態を診断する。
Step2施術前に洗顔、お化粧によって汚れをしっかり落とす。ここでメイク汚れが残っているとしっかりと効果を得られないことがあります。
Step3アイシールドやゴーグルなどで目を保護し、冷却ジェルを塗る。
Step4目的の部位にIPLを照射していく。痛みはゴムで軽く弾かれた程度で、麻酔なしでも我慢できるレベルです。(照射前に皮膚をアイスパックなどで冷やすと痛みが和らぎます)。
Step5照射が終わったら、ジェルを洗い流してクールダウンさせる。その後は保湿。
Step6施術後はお化粧をして帰宅することができます。ただし、あまり肌に負担をかけないほうが理想です。
Step7治療後は必ず紫外線対策をしましょう。
施術動画
以下はフォトフェイシャルの治療内容の動画。美容皮膚科エルムクリニックのYouTube。
フォトフェイシャルは現在までいくつかの機種が登場していますが、動画はフォトフェイシャルM22という機種を使ったものです。どの機種でも効果に大きな違いはないと思います。
照射前に冷却ジェルを塗っているところ。これによりダメージが抑えられます。
IPLを照射しているところ。我慢できないような強い痛みではありません。 なお、他のIPL治療器ではジェルを塗らずにそのまま照射するものもあります。
ここからは効果のビフォーアフター。(写真はルミナス社YouTube)。フォトフェイシャルファーストm22という機種で、初期の機器よりも機能アップしたものですが、だいたいの効果は同じです。まずはニキビによる色素沈着や、老化性のシミへの効果。
ニキビによる赤みとシミが混ざった状態への効果。術後は薄くなってます。
頬の赤みや老化性のシミへの効果。しみだけではなく赤み(ヘモグロビン)にも適応するところがこの治療のメリットです。
頬のシミや毛細血管拡張による赤みの治療。過剰な毛細血管を破壊することで治療後は赤みが軽減しています。
鼻周辺に発生しやすい毛細血管拡張の治療。薄くなってます。
参考:https://www.youtube.com/watch?v=3kJgSse60YY
アフターケア
- 施術後にメラニン色素が一気に表面に押し上げられて一時的にシミが濃くなることがあります。これは効果があらわれている証拠です。ターンオーバーや治療の継続によってメラニンは排出されていきます。無理にカサブタを剥がさないようにしましょう。
- フォトフェイシャル治療期間中は紫外線対策は必要です。
- 保湿をして肌の再生力を高めましょう。
治療時間
フォトフェイシャルの施術時間は施術範囲によって異なりますが、顔全体の照射で10分程度が目安です。洗顔やクールダウンなどを含めると、20~30分くらいかかります。
治療料金
治療価格は、フォトフェイシャルは2万円くらいが一つの目安です。
古い機種を使っているところでは1回あたり1万円前後で行っていたりします。
キャンペーン価格として大きく割引して行っていることがありますので、その機会に受けてみると良いかもしれません。
治療回数の目安
フォトフェイシャルの施術回数は、シミやニキビの跡は1か月おきに3~5回くらいの照射が目安です。
穏やかに作用する治療であるため、一度でははっきりとは効果を感じることができないかもしれませんが、治療回数を重ねるたびに効果を実感できるはずです。
フォトフェイシャルとIPL治療との違いは?
フォトフェイシャルという名称は、アメリカの医療レーザー機器開発メーカーのルミナス社の光治療器を使った治療名をいいます。
そのため、基本的に「フォトフェイシャル」という名称で治療を行っている病院はルミナス社の治療機器を使用しています。
また、他のメーカーが開発したIPLを使った治療は単に「IPL治療」や「光治療」という名称で治療が行われていたりします。
副作用や注意点
- IPL治療には照射時に輪ゴムで軽く弾かれたような痛みがあります。麻酔なしで我慢できるレベルです。
- 個人差がありますが、施術後に肌の乾燥を感じることがあります。
- 施術前は紫外線対策を行ってください。施術前に強い日焼けをしている場合は治療できないこともあります。
- 妊娠中の人や日光過敏症などの場合は、治療を受けることが出来ません。
- 肌荒れ、湿疹、すり傷、切り傷などがある場合など、治療を受けられないケースもあります。
- 敏感肌やアトピー肌においてはフォトフェイシャルの刺激でかえって肌荒れを起こす可能性があります。
最後に
筆者はフォトフェイシャルも、他のメーカーのIPL治療もどちらも受けたことがありますが、お医者さんによっては施術がとても痛くなることがあります。
例えば、皮膚科医によっては一箇所を集中的に連続で照射する人がいたりするのです。特に小鼻周辺です。2~3回連続で照射したりします。
パチン!パチン!パチン!と一部分に熱エネルギーが蓄積されることでヤケドしたように感じることもあります。
連続照射は肌へのダメージが強くなり、赤みが残ったり、色素沈着を起こしたりすることがあるので、特に肌が弱い人は「一箇所に対する連続照射はやめてほしい」と医師に告げたほうがいいかもしれません。
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