老人性面皰(ろうじんせいめんぽう)とは、その名の通り、老人に発生する面皰(小さなにきび)をいいます。
主に「黒ニキビ」という状態を指し、男性の高齢者に多いことで知られています。
今回は、老人性ニキビの発生原因と治し方について解説していきます。
老人性面皰の原因とは?
老人性面皰は加齢によって生じる黒ニキビをいいますが、黒ニキビは毛穴に垢(古い角質)や皮脂汚れが溜まり、酸化して黒く変色したニキビをいいます。
単に毛穴に垢(あか)が溜まり、時間が経過した状態といえます。
年齢を重ねると皮脂がでなくなることで洗顔料や石けんで顔を洗わなくなったりすると老人性の黒ニキビが発生しやすいようです。
老人性ニキビは炎症ニキビになりにくい?
老人性にきびは、単に毛穴に汚れが溜まっただけの「黒にきび」といわれる状態であり、基本的に炎症性のニキビへと発展することはありません。
赤ニキビにならないのは2つの理由があります。
1つは加齢によって皮脂が減少すること、そして2つ目は年齢によってターンオーバーが低下していることがあげられます。
ニキビは皮脂による刺激で皮膚が厚くなり、毛穴がふさがってしまうことで発生しますが、高齢になると皮脂そのものが少なくなるので、毛穴が刺激を受けて厚くなり、完全にふさがれてしまうという現象がなくなるのです。
また、高齢になるとターンオーバーも低下します。ターンオーバーが低下すると毛穴が角質でふさがれにくくなり、ニキビができにくくなるのです。
炎症したニキビは、アクネ菌という皮膚常在細菌が増加することで発生しますが、そのアクネ菌は酸素がない環境でしか増加できません。
つまり毛穴が完全にふさがれて酸素がなくならないと炎症へとつながらないのですが、老人になると毛穴が完全に塞がるという現象がなくなるので炎症ニキビへと発展しないのです。
高齢者でニキビができてしまうような人は、それだけ肌が若々しいともいえます。
治療方法
老人ニキビの治し方についてですが、積極的に治そうとする必要はないと思います。
老人性面皰は、単に毛穴に垢(古い角質)や皮脂汚れが溜まった状態であり、一般に炎症を起こしたものではありません。
そのため、特に見た目を気にしないのならば積極的な治療をする必要はありません。
黒ニキビはコメドプッシャーなどで押し出して芯を出してあげるとキレイになりますが、基本的に肌にダメージを与えないようにすることが基本です。
高齢者の肌はデリケートなので、無理に負担を与えないのが理想です。
アダパレンゲルが老人性ニキビに効く?
老人性ニキビは黒ニキビが生じることですが、黒ニキビにはアダパレンゲルという皮膚科の塗り薬がよく効きます。先発品はディフェリンゲル。
なので、老人ニキビに対してこのお薬を処方するお医者さんもちらほらいます。
アダパレンは、レチノイド(ビタミンA誘導体)と似たナフトエ酸誘導体で、皮膚内のレチノイン酸レセプターに作用することでターンオーバー(角化)を抑えるように働きます。
ニキビの芯は、角質が毛穴の中に溜まって発生するものですが、アダパレンゲルによってターンオーバー(角化)を抑えることでニ毛穴にキビの芯(角栓)が溜まる現象を予防します。
簡単にいうと、角質が作られるスピードを遅くすることで毛穴の中に古い角質(垢)が溜まりにくくするというものです。使い続けることで黒ニキビの解消が期待できます。
このアダパレンゲルは、一般的なニキビ治療においてもスタンダードなお薬となっていて、黒ニキビ、白ニキビ、赤ニキビなどの一般的なニキビの治療に第一選択肢として処方するお医者さんも多いです。
ただし、アダパレンゲルは、皮膚の剥がれ、乾燥、赤みやヒリヒリ感などの副作用が現れやすいのが難点です。効果が現れるほどそういった副反応がでやすいといえます。
老人のニキビに対するアダパレンゲルの効果は低い
アダパレンゲルは皮膚内の受容体に反応して効果をもたらすのですが、高齢になるとそういった受容体の反応が悪くなるので、効果が低くなる傾向があります。
一方でそれは赤みやかゆみといったディフェリンゲル特有の副作用が現われにくくなるともいえますが・・・。
また、ディフェリンゲルは使い続けると皮膚が慣れてきて効果が弱くなっていきますので、老人の黒ニキビのような使用期間が長くなるような症状には中途半端な治療に終わってしまうことも多いかもしれません。
老人性面皰のスキンケア
老人性ニキビは、洗顔を心がけることで改善していくはずです。
黒ニキビは角質や皮脂が混ざったものなので、洗顔によって角質や皮脂を落とすことが黒ニキビ解消のポイントになります。
ただし、高齢者の場合は皮脂分泌が減少していることや、肌細胞を作り出す能力が低下して表皮層も薄くなっていますので、石けんや洗顔料を積極的に使っていると、かえって肌荒れを起こしてしまうことがあります。
積極的なスキンケアがかえって肌トラブルの原因となることが多いのです。
なお、高齢になると「皮脂欠乏性湿疹」や「皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)」などの症状を引き起こすことがよくあります。
加齢によって皮膚が薄くなり、さらに乾燥をまねくとかゆみを伴った湿疹が起きやすくなるので、過剰なスキンケアは控えたほうが良いでしょう。
老人性面皰を押し出す動画(YouTube)
コメドプッシャー(面皰圧出器)という器具を使って老人の黒ニキビの芯を圧出する動画です。
毛穴が塞がれていない状態であるため、ニキビの先端を潰すといったことなく押し出すだけで汚れが出てきます。
動画ではコメドプッシャーで黒ニキビの芯を押し出していますが、炎症のない黒ニキビに対して、器具を強く皮膚に押し付けるようなやり方には疑問があります。
老人の皮膚に強い圧力を加えると皮膚を傷つけたり、色素沈着を引き起こしてシミになってしまうリスクがあるためです。
高齢者は肌が薄くなったり、回復力が弱くなっていますので、皮膚に強い刺激を与るのは可能な限り避けるべきです。
そして、動画のように無理に黒ニキビの芯を出したところで、この老人の場合は再び毛穴に芯が溜まってきます。そのたびに芯を出すのでしょうか。
動画のような治し方は間違っていると思います。
まとめ
- 老人性のニキビは炎症を起こすことはないので気にならなければ治療の必要はない。再発するので意味がない。
- ディフェリンゲルによる効果が期待できるけど副作用が心配。また、老化した肌に対してディフェリンを使い続けるのは難しい。
- 高齢者の肌に強い刺激を加えると、色素沈着になったり、アザができたりするのでニキビの芯を押し出すようなことはしないほうがいい。
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