敏感肌は、肌の潤いが少ないことや表皮層が薄いことなどによってバリア機能が弱く、刺激に敏感に反応してしまう肌質をいいます。
化粧品の配合成分や薬品の刺激に対しても敏感に反応したり、アレルギーによって皮膚炎を起こしやすいのも敏感肌だといえます。
一般に敏感肌というと肌が乾燥していてニキビができにくいイメージがありますが、まれに敏感肌でもニキビができやすい人もいます。
洗顔しなければニキビができるし、洗顔をすると肌が赤くなってしまうというようにスキンケアが難しくなることがあります。
今回は敏感肌のニキビの原因と治し方、理想的なスキンケアを解説していきます。
敏感肌の原因
生まれつき肌が弱くて敏感肌である人もいますが、それ以外でも様々な原因で敏感肌になってしまう人もいます。
石鹸や洗顔料が原因?
石けんや洗顔フォームなどの洗浄作用は界面活性剤の働きによるものです。
界面活性剤とは水と油を乳化させる成分で、水と皮脂を乳化させて汚れを落としたり、古い角質を剥がす作用があります。ところが、敏感肌の場合は皮脂や角質を落とす界面活性剤の働きが肌に負担になってしまいます。
敏感肌の場合は角質層のバリア機能を作り出す能力が低く、多くの人が一般的に行っている洗顔でも肌トラブルにつながってしまうことがあります。
敏感肌の人が石鹸などを使うと、角質層が極端に薄くなりますが、そのバリア機能を補うために皮脂が多く分泌されることがあります。それによってニキビができてしまうことがあります。
お化粧・クレンジングのしすぎ
お化粧を頻繁にしていると、肌が疲弊してきて敏感肌になってしまうことがあります。また、お化粧がニキビの原因になることもあるでしょう。
さらに、強いタイプのクレンジング料を使い続けることでも肌が弱くなってくることがあります。
例えば、オイルタイプのクレンジング料は界面活性剤が豊富に含まれ、皮脂や角質を剥がす作用がとても強く、それを長い期間に渡って使い続けていると肌が薄くなって敏感肌になってしまうことがあります。
ピーリングのやりすぎ
ピーリングのやりすぎによっても肌が薄くなって敏感肌になってしまうことがあります。ピーリングとは角質を剥がしてターンオーバーを促す治療です。また、毛穴つまりを予防することからニキビケア目的でも使用されます。
ピーリングは角質を削って肌の生まれ変わりを促すものですが、やはり肌細胞も細胞分裂には限界があるため、過剰に肌を削りすぎると肌老化を促進させてしまいます。
現在はピーリングをやっていなくても、過去にピーリングをしていた人は肌がかなり薄くなっている可能性があります。
ピーリング化粧品はドラッグストアなどでも簡単に購入できたり、一般的な化粧品に「角質ケア成分」として普通に配合されていたりしますので、注意しなければいけません。
ビタミン不足
ビタミン不足によって敏感肌になってしまうことがあります。ビタミンは酵素の働きを助け、エネルギー代謝や健康的な肌作りに深く関与していますので、それが不足することで刺激に弱い肌質になってしまいます。
特にビタミンAやビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシン、ビオチン、ビタミンなどのビタミンB群、ビタミンCは特に肌の健康にとって重要です。
バランスの良い食生活をおくっていればビタミンは不足することはありませんが、偏食・ダイエットなどで栄養が不足することでビタミンも不足することがあります。
また、ストレス、過度な運動、喫煙、飲酒、過食などによってビタミンが不足してしまうことがあります。ビタミンの中には食事から摂取するよりも腸内細菌が産生するほうが重要な種類がありますので、便秘や下痢などにも注意して下さい。
グリチルリチン酸類の使用
グリチルリチン酸類とは、甘草の根や茎に多く含まれる消炎・抗炎症作用がある成分です。
優れた消炎効果によりニキビケア化粧品に多用される成分ですが、このグリチルリチン酸の消炎作用はステロイドと似た構造をしていることによってもたらされます。それは一方でステロイドと同じような副作用をもつということでもあります。
グリチルリチン酸は成分の分子量が大きいためステロイドのような吸収性はありませんが、長い期間使い続けることでステロイドの副作用のように皮膚が薄くなって刺激に弱い肌になってしまう可能性があります。
化粧品に「グリチルリチン酸・・・」や、それを酸で分解して得られる「グリチルレチン酸・・・」といった成分が配合されている場合は注意して下さい。
ステロイド外用薬で敏感肌になる?
ステロイド外用薬には長期的な使用で皮膚を薄くしてしまう副作用があります。角質層がもろくなることで肌が刺激に弱い肌になってしまい、ちょっとした刺激でも出血したりすることもあります。
ステロイドはアトピー性皮膚炎などに対して使用されることで有名ですが、顔は特に薬剤の吸収が良くて副作用が現れやすいため、慢性的な使用は控えなければいけません。
敏感肌と思っているけど実は違う場合も
自分は敏感肌だと思っている人でも実際は違ったりします。単に乾燥肌であることを敏感肌だと考えている人もいます。
年齢を重ねれば誰だって肌は乾燥してくるものですし、また、女性の場合は生理周期とともに変化する女性ホルモンによって肌質が不安定になるものです。
目安として、アレルギー体質である、肌を軽く掻いたりしただけで肌が赤くなる、化粧水などを使ってヒリヒリしたことがある、汗や洗剤などで接触皮膚炎を起こしたことがある、などの経験がある人は敏感肌だといえると思います。
敏感肌のニキビの治し方
これ以上角質層を剥がさないようにする
ピーリングやお化粧、クレンジングをやりすぎて敏感肌になった人は、これ以上肌老化が進行しないようにしなければいけません。
角質を剥がさないような工夫をして洗顔をしましょう。石鹸洗顔なども控えて、シャワー洗顔やお湯洗いなどで済ませます。
石鹸や洗顔フォームを使用しない
敏感肌のニキビのスキンケアは、ニキビが深刻でない場合は石鹸などを使用しない水洗い洗顔や、お湯洗い洗顔などにしてみましょう。
皮脂が奪われすぎることでターンオーバーが乱れたり、皮脂が増加してニキビの原因になることがあるので、敏感肌の人は一度石鹸を使わないスキンケアにチャレンジしてみましょう。
水洗いやお湯洗いだけでもある程度の皮脂を落とすことができますし、お湯を使ったシャワー洗顔ではかなり皮脂汚れは落ちます。
ティッシュや脂とりフィルムを活用
ティッシュペーパーや脂とりフィルムなどを使用すれば角質を落とさず、肌の潤いを残したまま余分な皮脂だけを吸収することができます。
そして、ティッシュや脂とりフィルムを使う場合は肌に押し付けるように使ってはいけません。押し付けるとセラミドなどの保湿成分も吸着して乾燥をまねいてしまいます。簡単に表面の皮脂だけを吸着するように使いましょう。
紫外線を浴びない
敏感肌の人は肌が薄いため紫外線の影響を受けやすいといえます。紫外線は肌細胞の老化を促し、肌作りを破綻させます。
敏感肌のような上部な皮膚を作り出す能力が低い人は、紫外線は特に注意して下さい。
保湿は刺激が少ないものを選ぶ
敏感肌の人は保湿が重要になりますが、敏感肌の場合はどんな化粧品でも良いわけではないと思います。
保湿力の高いセラミドを配合した化粧品でも乳化剤が含まれることで肌のバリア機能が乱れてしまうことがあります。また、保湿成分としてよく使用されるグリセリンなども敏感肌には刺激になることあります。
敏感肌には化粧品は低刺激性のものを選んで下さい。おすすめは化粧水の場合はアミノ酸を中心に配合されたものが理想です。アミノ酸は天然保湿因子(NMF)の主要構成成分で、肌にもともと含まれる成分です。
そして、肌を保護する保湿剤は、最も肌への刺激性が少ない保湿剤はワセリンです。
ニキビができる人にはワセリンのような油分は不向きかもしれませんが、乾燥肌や敏感肌の人ではワセリンで肌のバリア機能が整ってニキビができにくい肌になっていくことも多いです。
ワセリンは植物油などのようにターンオーバーを乱す作用はないため、ニキビの原因にはなりにくいとされます。
ニキビ治療薬が刺激になるケースも
一般にニキビができると塗り薬を使ったりしますが、敏感肌の人はニキビ治療薬が刺激になって、かえって赤みや腫れが悪化してしまうことがあります。
保険適応のニキビ治療薬においても刺激が強いものが多く、イオウカンフルローション、ベピオゲル、デュアック配合ゲル、ディフェリンゲルなども刺激が強いです。
市販のニキビ治療薬においても、イオウやレゾルシンなどの角質剥離作用があるものが多いため、デリケート肌には合わない可能性があります。敏感肌のニキビは下手に扱わずに自然に治していくほうが良いかもしれません。
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