ニキビは一般的に潰さずに治していくことが基本だとされます。
その理由は、腫れたにきびに刺激を与えると、炎症反応が大きくなり、かえってニキビ跡がひどく残ってしまうことがあるためです。
ただし、上手にニキビを潰してニキビの芯や膿を出し、刺激を最小限にすることで早くキレイに治ることがあるのも事実。
病院でのニキビ治療においても、皮膚科医によっては積極的ににきびの芯出し治療を行う医師も少なくないです。
ニキビを潰す場合、まずニキビの芯を排出するために針などを使ってニキビに穴をあけ、その後にコメドプッシャー(面皰圧出器)で押し出す方法が一般的です。
ところが、病院によっては針を使う方法以外にもエルビウムヤグレーザーや炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)を使用てニキビ芯出し治療を行っているところもあります。
今回は、そういったレーザーを使ったニキビの芯出し治療の効果と問題点を解説します。
ニキビ芯出しに使われるレーザーの種類
ニキビの芯出し治療において、レーザーを使用する場合、一般にエルビウムヤグレーザーや炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)が使用されます。
それぞれの性質は以下の通り。
エルビウムヤグレーザー
エルビウムヤグレーザーは、波長2,940nm(ナノメートル)のレーザー。
この波長は非常に水分に吸収されやすい波長であり、肌に含まれるの水分に吸収されて皮膚をしっかりと削る(蒸散)させることができます。
人間の皮膚は30%ほどの水分を含みますので、その水分に反応して一気に蒸散させることができるのです。
エルビウムヤグレーザーは、皮膚を削る作用が最も強いレーザーで、一瞬でスパッと皮膚を削ってしまいます。
ほくろ取りやイボ取りなどに使用されます。
炭酸ガスレーザー
炭酸ガスレーザーとは、二酸化炭素(炭酸ガス)を媒質とした波長10,600nmのレーザー。(CO2レーザーともいわれる)
昔からホクロ除去、イボ取り、脂漏性角化症(盛り上がったシミ)などの治療で用いられることで有名です。
この波長も、エルビウムヤグレーザーと同じように水に吸収されやすい性質があり、肌が含む水分に吸収されて皮膚を蒸散(削る)させることができます。
ただし、エルビウムヤグレーザーよりも水分への反応はかなり弱いです。10分の1くらいの水分吸収率しかないとされます。
つまり、皮膚を削るエネルギーも弱いということです。
欠点は、照射時に熱が発生しやすく、肌に対して余計なダメージが強くなることです。
ニキビの芯出し治療におけるレーザー使用の有効性
ニキビの芯を出す時には、まず排出口を確保する必要があります。
きちんとニキビの芯がでてくるように穴をあけなければ、より強い力で押し出す必要があることや、場合によってはにきびの芯が出てこない場合があり、それによってニキビを刺激して跡がひどく残ってしまうことがあります。
その穴をあける手段といえば、針が一般的。
ところが、エルビウムヤグレーザーや炭酸ガスレーザーを使用した治療を行っている病院もあるのです。
針とレーザーはどちらが理想的?
一般に、ニキビの芯出しを行う場合、レーザーよりも針を使って穴をあける方法が最も理想的な方法だといえます。
なぜならば、レーザーを使うと皮膚に凹みができてしまうリスクがあるためです。
ホクロやイボを削ってしまうようなレーザーを使うので、それを使えばわずかな凹みができてしまう可能性があるのです。
特に炭酸ガスレーザーは、瞬間的ではなくジワジワと皮膚を削るようなスピードなので、わりと時間をかけてニキビの先端に穴を開ける必要があります。
そのため、照射部位がずれてしまうと広い範囲を削ってしまうことになりかねません。
エルビウムヤグレーザーの場合は、一瞬で穴があけることができるので、熱発生も、余計な皮膚蒸散も抑えられますが、炭酸ガスレーザーの場合は熱損傷もダメージも大きくなりやすいので、ニキビ跡になるリスクが高いといえます。
失敗動画
以下のYouTube動画は炭酸ガスレーザーを使ったニキビ芯出し治療の失敗例といえるもの。
通常、レーザーによる穴はニキビの芯が出てくるほどの微細なもので良いのですが、この動画ではあまりにも大きな穴をあけようとしています。
こんなやり方ではニキビが治ったとしても、レーザーで皮膚が凹んだままになってしまいます。
動画にはありませんが、術後には肌がすり鉢のような形に凹んでしまっていると思います。この動画はメチャクチャな失敗事例です。
レーザーによる芯だしが有効なニキビ
レーザーを使ったニキビの芯出しが有効な状態は、白にきびやニキビの芯が確認できる赤にきびなどです。
特にニキビの芯がこもったような状態が効果的だと思います。普通の白ニキビであれば、レーザーを使う必要性はなく、針で良いはずです。
保険適応
なお、にきび芯出し治療は保険適応です。レーザーを使う場合においても保険が効きます。
レーザーによる芯出し治療の施術内容
Step1洗顔とクレンジング
洗顔・クレンジングをして肌の汚れ、お化粧を落とすします。
ニキビを刺激しないように優しく洗います。(にきびは物理的な刺激によって悪化するので注意)。
Step2治療部位を冷やす
アイスパックなどでレーザー照射部分を事前に冷やすことで痛みを抑えることができます。
皮膚を深く削ることがあるためレーザー照射時に痛みを感じることがありますが、皮膚を冷やすことで知覚神経の働きを抑制することができます。
Step3炭酸レーザー照射
レーザーをニキビの中心部分に照射して皮膚を蒸散させ、穴をあけます。これにより、ニキビの芯の排出がスムーズになります。
レーザー照射時は痛みがありますが麻酔なしでも我慢できるレベルです。
問題は、このレーザー照射時のダメージです。エルビウムヤグレーザーの場合は一瞬で皮膚に穴があきますが、炭酸ガスレーザーの場合は、ジワーっと照射しないといけません。
なので、痛みや熱感を感じやすいです。
皮膚科医の技術により、仕上がりに違いがありますが、炭酸ガスレーザーを使ったニキビ芯出しは痛みやダメージが強くなることが多いです。
Step4コメドプッシャーで押し出す
穴を開けた部分を専用のコメドプッシャー(面皰圧出器:めんぽうあっしゅつき)で押し出します。
穴をあけたニキビ中心部分を上手に押さないと跡がひどくなることがあります。たいていは芯を押し出すと血が体液がでてきます。
Step5患部を消毒
ニキビの芯を出した後はエタノールを含んだ消毒液で簡単に消毒します。
きちんとニキビの芯が出ていればしだいに腫れが小さくなっていき、翌日には腫れが劇的に小さくなっていると思います。
副作用と注意点
- レーザーは皮膚を削るためダウンタイムがあります。仕事や生活に余裕があるときに行いましょう。
- 跡をひどくしないために紫外線を避けて下さい。
- ニキビの芯出しの治療範囲が広くなるほど、施術後の肌の赤みが広範囲になります。広範囲行う場合はマスクを持参しておくと良いと思います。
- ニキビの芯を出すべきかどうかは医師の判断によります。
- そして、治療がうまくいかないことも普通にあります。例えば、ニキビの芯が出てこなくて、赤みや腫れだけがひどくなったということもあると思います。
- 治療が中途半端になるとかえってニキビがひどくなることがあります。無理に何度も押し出すこともニキビ跡がひどくなります。このあたりは医師の判断が重要になります。
ヤブ医者に注意
世の中には患者さんのことを第一に考えないようなお医者さんはいるものですが、そういった医師だと感じたら、こういった治療は止めたほうが良いと思います。
ヤブ医者みたいな評判がたっている病院では行わないようにしましょう。
悪い病院の特徴いろいろ
- 患者さんの話しを聞かない。カウンセリング時に面倒くさそうに対応する。
- リスクの部分を説明しない。問題点をたずねると口調が強くなって言い返してくる。(逆ギレ感が出る)
- 話し方、プライドが高い。
- Googleのクチコミ評価が悪い。
まとめ
- ニキビの芯出しは針を使って潰すのが一般的。
- レーザーを使ってまでニキビを潰す必要はない。
- それでもレーザーを使う場合は、スパッと穴を開けることができるエルビウムヤグレーザーが理想。炭酸ガスレーザーは跡になりやすい。
- 親切で丁寧に行ってくれる医師(信頼できる医師)に行ってもらう。
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