写真のような肌がキレイな状態を、「キメが整っている」、「キメが細かい肌」などと表現することがあります。
このキメが細かく整った肌というのは、どういう状態をいうのでしょうか?
まずは皮膚の構造からみていきましょう。
皮膚表面の構造
皮膚を拡大して見ると網目状の溝があり、全体的には凹凸状になっています。
この皮膚の表面に存在する無数の溝を「皮溝(ひこう)」といい、その皮溝によって盛り上がったように見える部分を「皮丘(ひきゅう)」といいます。
この皮丘は、皮溝の形によって三角状や四角状になっています。
キメが細かく整った状態とは?
キメが整った状態とは、皮溝と皮丘がはっきりとしており、一つ一つの皮溝や皮丘が小さくて細かくなっている状態です。
皮溝や皮丘が規則正しく並んでいることで、キレイな肌に見えるようになり、多くの光を反射して透明感のある若々しい肌に見えるようになります。
キメの整った肌はファンデーションなどのお化粧のりも良くなります。
キメが乱れている状態とは?
肌のキメが乱れた状態とは、皮溝と皮丘の模様が不規則になります。皮溝が浅くなったり、皮溝が拡大した状態になり、肌が荒れているように見えます。
皮溝が拡大するため、しわ・小じわの原因となったり、皮溝と皮溝の間に存在する毛穴がより広がって見えてしまうこともあります。
キメが乱れた肌はファンデーションなどのお化粧のりも悪くなります。拡大した皮溝にファンデーションが落ち込んだりしてムラができてしまうことで凹凸のあるような肌に見えてしまうようになります。
肌のキメは遺伝が関係する?
肌のキメは遺伝が影響するといわれています。親がモチモチしたキレイな肌をしている場合は、その子供も綺麗な肌であることが多いです。
また、人種においても肌のキメは異なり、一般に日本人の肌はキメが細かいほうだといわれています。
肌がキレイに見えるかどうかは、肌の白さやシミ・色素沈着の有無などによって異なり、一見キレイな肌に見えても、マイクロスコープで拡大して見るとキメが乱れていることもあります。
肌のキメが整うには潤いが重要
キメが整った美しい肌を作り出すには、肌に十分な潤いが必要です。そのため、洗顔後には必ず保湿して肌を乾燥させないようにする必要があります。
特に、毛穴が開いた肌というのは乾燥による影響が大きいといわれ、保湿スキンケアを徹底することで、開いた毛穴をある程度は抑えることができます。
コットンなどに化粧水を含ませた保湿パック(ローションパック)などを日常的に行うことで、潤いのあるキメの整った肌へと導くことができます。
肌の美しいキメを生み出すには細胞間脂質が最も重要
肌の水分保持の役割を担う角質には、様々な保湿成分が存在します。
肌の潤いをもたらす保湿成分には大きく分けて、「皮脂」、「天然保湿因子(NMF)」、「細胞間脂質」の3つがありますが、その中でも細胞間脂質は角質層の約80%の水分保持を担っているといわれています。
一昔前の認識では「皮脂が肌の水分蒸発を不正で潤いを閉じ込めている」と考えられ、それが保湿成分として最も重要だと考えられていましたが、実は皮脂の水分保持能力は低いことがわかっています。
そして、肌の保湿機能のほとんどをもたらす細胞間脂質の主成分が「セラミド」です。
セラミドは角質細胞どうしをつなぎ合わせてバリア機能を強化し、角質層の水分を維持する働きがあります。
このセラミドが不足すれば肌は潤いをキープすることが難しくなり、肌のキメも乱れてきます。そして、慢性的な乾燥や湿疹に悩まされることになったり、アレルギーなどがある場合はアトピー性皮膚炎といった症状がでてくることもあります。
セラミドはラメラ構造を作り出して潤いを守る
肌の保湿機能は最も表面にある角質層が担います。そして顔では10層ほどの角質細胞が並んでいます。
セラミドはその角質細胞の間でラメラ構造という状態を作り出して水分を保持しています。
ラメラ構造とは、層状構造という意味で、セラミド(細胞間脂質)と水分が規則正しく交互に重なりあうことで角質層から水分が逃げないようになっています。
セラミドが不足すれば、このラメラ構造というを作り出すことができず、バリア機能が弱い肌になってしまいます。
加齢やストレスでセラミドが不足する
セラミドなどの細胞間脂質は年齢とともに減少していきます。また、そもそも生まれつきセラミドを作り出す働きが弱い人もいたりします。それらは仕方ないことです。
そして、ストレスなどもセラミド合成にとってマイナスです。(ストレスが体内酵素の働きを弱めてしまうためです)。なのでストレスやイライラは溜めないようにしないといけません。
肌のキメを乱してしまうスキンケアいろいろ
洗顔がセラミドを最も減少させる要因
キメが整った肌を実現するには、セラミドを中心とした細胞間脂質をキープすることがとても重要なのですが、その細胞間脂質を減らしてしまう原因が洗顔やクレンジングです。
そういったスキンケアは肌の潤いやバリア機能を乱してしまう原因となり、洗浄力が強いものを使うほどセラミドは奪われてしまいます。
当たり前のように行っている洗顔やクレンジングが肌の乾燥をまねき、それが小じわやシミにつながることも。
そのため、乾燥する人は石鹸や洗顔料を使った洗顔ではなく、「水洗いだけにしてみる」、「シャワーだけにしてみる」、といったスキンケアが理想です。
ただし、皮脂が多くてニキビができやすい人ならば、ある程度は洗わないとニキビがたくさんできてしまいます。
ピーリングはキメを無くしてしまう最大の要因
普通ならば年齢を重ねることによって肌のキメはなくなっていきます。それは肌が薄くなってくるためで、それによって水分を保持する能力が低下してきます。
そういった現象は加齢によるものなので仕方ないことなのですが、スキンケアによっても肌のキメがなくなってしまうことがあります。それがピーリング(角質ケア)です。
ピーリングを頻繁に続けていると、肌が薄くなってしまい、キメが無くなってきます。ピーリングを続けた肌を見るとツルツルしたキレイな肌に見えるのですが、肌の健康にとってはマイナスしかありません。
キメの無い肌というのは角質層が薄いということで、それは水分とバリア能力がとても低い肌だということです。非常に乾燥しやすくなったり、刺激に弱くなったりします。
一部の化粧品メーカーは「角質ケアをして化粧水の浸透を高めましょう」、「ごわついた肌を解消しましょう」、「角質ケアをして毛穴汚れを解消しましょう」というようにピーリングコスメをすすめていたりしますが、将来的な肌の健康のためにはピーリングは止めたほうがいいです。
湿度も重要
肌のキメは湿度によっても大きく影響されます。一般に湿度が高い地域で生活する人の肌はキメが細かく、反対に乾燥した地域で生活する人の肌はキメが大きく乱れていることが多いといいます。
日本は比較的に湿度が高いためキメが整いやすい環境であるといえます。
ただし、日本でも冬場になると気温も湿度も低下して肌が乾燥するようになります。また、エアコンなどによっても室内は乾燥をまねくこともあります。その場合は、加湿器を上手に利用すると良いと思います。
加湿器を利用する場合、室内の理想の湿度は50~60%が目安です。湿度が高すぎる状態が続くとカビの増殖を促す原因になってしまうため、湿度計を見ながらコントロールしましょう。
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