スピロノラクトン(アルダクトンA)のニキビ治療効果「使用方法と副作用」

スピロノラクトン スピロノラクトン(製品名:アルダクトンAなど)とは、元々は高血圧症に対する降圧剤として用いられるお薬です。

利尿効果があり、水分を排出して血圧を下げることで浮腫(むくみ)を解消し、血圧を下げます。また、心不全にも非常に効果があります。

一般に、降圧剤や心不全治療薬として用いられますが、この薬には男性ホルモンのレセプター(受容体)を阻害する作用があることがわかり、まれな治療なのですが、その効果を利用してニキビ治療に用いられることがあります。

主に成人女性の改善が難しいにきび治療に用いられます。

ここではスピロノラクトン、製品名ではアルダクトンAのニキビ改善効果やいろいろな副作用と注意点などを解説していきます。

スピロノラクトンがニキビに効く理由

皮膚の構造とターンオーバー 男性ホルモンは皮脂腺に作用して皮脂の分泌を促す作用があります。また、ニキビの初期段階である角化異常(ターンオーバーを乱して角質が厚く硬くなる現象)の原因になることもわかっています。

ニキビの原因の多くの要素を男性ホルモンが占めているといわれ、若い時期にニキビができやすいのも男性ホルモンが増加することによるものといわれています。

スピロノラクトン(アルダクトンA)は、その男性ホルモンが作用するレセプター(受容体)を阻害して皮脂分泌の増加や角化異常を抑制し、ニキビの悪化や再発を防ぎます。

ちなみに、女性にも男性ホルモンが分泌されており、その量は男性の約10%程度だといわれています。

ピルとの違い

マーベロン(ピル) 女性のニキビ治療に対してピルが使用されることがあります。

ピルは、女性ホルモンを取り入れることで性腺刺激ホルモンの働きが抑制され、結果的に女性ホルモンや男性ホルモンの分泌を抑制するものです。

それらの性ホルモンが抑えられることで皮脂が減少し、ニキビも減っていきます。

一方、スピロノラクトンは男性ホルモンのレセプターに作用し、それをブロックすることで男性ホルモンの作用を弱めるものです。

ピルやスピロノラクトンは、どちらも抗男性ホルモン作用をもち、似たような結果が得られますが、作用においては根本的に違いがあります。

ピルとの併用

スピロノラクトンとともにピルを併用するとさらに効果が高くなります。どちらも抗男性ホルモン作用がありますが、作用が異なるため組み合わせて使用することができます。ピルとスピロノラクトンを同時に使用する場合は、女性の重度ニキビの場合です。

スピロノラクトンが適応する人

難治性にきび スピロノラクトンは、成長期を過ぎた女性でホルモンバランスが安定せずにニキビが多発している場合に効果的です。

顔が脂っぽく、頬やアゴ、Uゾーンにかけて赤ニキビが多発している場合や、顔だけではなく背中や胸などにも炎症ニキビが多発している場合、他のニキビ治療で効果が現れなかった重度のニキビ患者の場合にスピロノラクトンは適しています。

治療が受けられない人

スピロノラクトンによるニキビ治療は、男性が行うことはできません。男性の場合、乳房が大きくなるといった女性化現象が起こるため、ニキビ治療にスピロノラクトンを使うことはありません。

また、過去にスピロノラクトンで問題のあった場合や、成長期や妊娠中・授乳中などにおいても治療は受けられません。

他にも、腎障害、肝障害、心疾患、動脈硬化などがある場合も受けられません。そして、様々な病気や医師の判断によっては治療が受けられないことがあります。

治療方法

一日の使用量・服用方法

薬を飲む画像 スピロノラクトンの治療開始時は、1回50~100mgの範囲で1日2回朝と夜に服用します。(1日合計100~200mg)。早く効果を出したいからといって一度に多く飲んではいけません。また飲み忘れた場合でも一度に2回分を飲んだりしてはいけません。通常、治療効果が現れてきたらお薬を減らしていきます。

治療期間の目安

スピロノラクトンによるニキビ治療期間は、3~6ヶ月間が目安です。深刻な副作用が現れた場合は使用を中止します。

スピロノラクトンは自由診療

スピロノラクトンは保険が利きません。自由診療です。薬の量によっても料金に違いがありますが、治療料金は28日分で2000~4000円くらいが目安です。

効果が現れるまで「治療の経過」

通常、1~2週間ほど経過すれば皮脂の減少を実感できます。そして、しだいにニキビが減っていくようになります。また、定期的な血液検査が必要です。

スピロノラクトンの副作用や注意点

スピロノラクトンの使用によって生理不順、無月経、乳房痛などの副作用が起こることがあります。生理不順は良く起こります。

他には、低血圧によるめまい、頻尿、憂鬱、無気力などの副作用が起こることもあります。

皮膚においては、シミが濃くなったりすることがあります。肝斑(かんぱん)が現れることもあります。深刻な副作用として、急性腎不全、高カリウム血症、低ナトリウム血症などを引き起こすこともあります。

多くのケースではスピロノラクトンによってニキビの改善や皮脂の減少がみられますが、ヒトによっては効果が現れない場合もあります。試してみないとわかりません。