皮膚の炎症を抑制する治療薬にスタデルムクリームという塗り薬があります。スタデルムクリームは非ステロイド系消炎薬で、炎症性の皮膚疾患の治りを良くする働きがあります。
主に湿疹やアトピー性皮膚炎を中心に、ステロイド治療が難しい顔の皮膚炎などに使用されますが、消炎効果によりニキビ治療に対してもスタデルムクリームが有効なケースがあります。
スタデルムクリームの効果
スタデルムクリームはイブプロフェンピコノールを主成分とした非ステロイド系の消炎薬です。
スタデルムの主な作用は、炎症プロセスに関与するプロスタグランジンという物質の合成を阻害して抗炎症作用を示します。皮膚の炎症を和らげることで赤みやかゆみ、痛みなどを軽減することができます。
生理活性物質を抑制する
スタデルムクリームは炎症に関与するプロスタグランジンを抑制して素早く皮膚の炎症を抑制しますが、炎症を抑制することでヒスタミン、ブラジキニン、ロイコトリエンなどの生理活性物質が増大する現象も抑制します。
それによって皮膚炎による炎症性色素沈着(もやもやしたシミ)の悪化を予防することができます。
効果は緩やか
スタデルムクリームには消炎作用がありますが、効果は穏やかです。強いステロイドのような劇的な消炎作用はありません。比較的に軽い皮膚炎に効果的です。
殺菌作用はない
スタデルムには殺菌作用はありません。炎症を抑える効果のみです。
副作用のリスクが極めて低い
スタデルムのメリットは、副作用の発現がほとんどないところです。非ステロイド性の消炎薬であるため、ステロイドのような副作用はありません。免疫抑制剤であるタクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)のような副作用もありません。
スタデルムはニキビの腫れを治す
スタデルムクリームは消炎効果があるため、炎症ニキビにも効果が期待できます。
ニキビの発生によって様々な生理活性物質が発生し、それがニキビを悪化させてしまうようになりますが、その炎症を悪化させる物質の一つがプロスタグランジンです。
スタデルムクリームはプロスタグランジンの合成をブロックしてニキビの腫れを治します。ニキビの炎症をより早くしずめることでニキビ跡の赤みやモヤモヤしたシミの予防にもつながります。また、クレーターやケロイドなどの予防にもつながるはずです。
かゆいニキビに効果的
一般に皮膚科におけるニキビ治療というと、スタデルムクリームが処方されることは少ないです。
皮膚科ではベピオゲルやディフェリンゲル、ダラシンTゲル、デュアック配合ゲル、アクアチムクリームなどの治療薬が使用されます。
ところが、ニキビにかゆみがある場合はスタデルムクリームによる効果が期待できます。
かゆいニキビはヒスタミンという物質が過剰放出されることで発生しますが、スタデルムが炎症を誘発するプロスタグランジンを抑制することで、ヒスタミンやヒスタミンを増強するサブスタンスPの働きを抑えることができます。
ヒスタミンは炎症反応をひどくする作用があり、ヒスタミンが関与したかゆいニキビは悪化してひどいニキビ跡が残りやすい傾向がありますが、ステロイドの使用が難しい場合はスタデルムクリームで代用できます。
油分に注意して下さい
スタデルムクリームには白色ワセリンなどの油脂が多く含まれます。クリームタイプと軟膏タイプの2種類がありますが、軟膏タイプは特にワセリンが多く含まれます。
ワセリンは肌を柔軟にしてニキビの芯が排出されやすい状態へと導きますが、油脂であるためニキビの原因になってしまうことがあります。そのため、スタデルムは乾燥ニキビには効果的かもしれませんが、脂性肌のニキビに対してはかえって悪化して逆効果になってしまう可能性があります。
適応する皮膚症状
スタデルムクリームは、湿疹、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、口囲皮膚炎、帯状疱疹、にきびを含む炎症性皮膚炎などに適応します。顔や背中ニキビがかゆいときにも使用できます。
アトピー性皮膚炎で脱ステロイド薬として代わりに使用されることが多いです。また、強い日焼けをした後の消炎薬としても使用されます。
デリケートな赤ちゃんの肌にも使用可能
生まれて間もない赤ちゃんは、ニキビや乳児湿疹など何かと肌が不安定になります。そういった新生児の肌トラブルにもスタデルム軟膏は使用できます。
妊娠中にも使える
妊娠すると薬が胎児に影響がないか心配になるものですが、スタデルムはお腹の赤ちゃんに対して特に悪影響はないです。問題なく使えます。
使い方と注意点
スタデルムクリームの使い方は、1日1~2回、洗顔後の清潔な患部に適量塗ります。患部にはみ出さないように塗ります。使用後は紫外線対策をして下さい。
購入するには?
スタデルムクリームは、皮膚科で処方してもらうことができます。保険適応です。ニキビ治療の場合、一般的なお薬が難しい場合や、にきびにかゆみがある場合などに対して、このお薬が使用されることがあります。
薬の形状
スタデルムクリーム5%とスタデルム軟膏5%の2種類があります。ニキビには使用感の良いスタデルムクリームが理想です。
クリームタイプの全成分
スタデルムにはクリームタイプと軟膏タイプがあります。以下はクリームタイプの主成分と添加物を含む全成分とその性質です。
- イブプロフェンピコノール・・・スタデルムクリームの主成分で炎症をもたらすプロスタグランジンを抑制することで抗炎症作用を示します。
- 感光素201号・・・優れた抗菌作用がある成分です。ピオニンとも呼ばれます。
- 白色ワセリン・・・製品の基剤となる成分です。
- パラオキシ安息香酸メチル・・・防腐剤。パラベンの一つ。
- セタノール・・・乳化安定に導く作用や皮膚保護作用がある成分です。
- ステアリルアルコール・・・乳化安定作用や保湿作用があります。
- 軽質流動パラフィン・・・ミネラルオイルといわれる成分です。低刺激性で安定性がよく、乳化特性もよいためクリームや乳液のオイルとして使用されます。
- セトマクロゴール1000・・・基剤となる成分です。
クリームタイプはベトベトせずにサラッとしている使用感です。ニキビ治療にはクリームタイプが効果があります。
軟膏タイプの全成分
スタデルムの軟膏タイプの主成分と添加物を含む全成分と、その性質です。
- イブプロフェンピコノール50mg(5%)・・・スタデルムの主成分で、プロスタグランジンの合成を阻害して炎症をしずめます。
- 硬化油・・・基剤となる成分です。
- モノステアリン酸グリセリン・・・乳化剤。
- 白色ワセリン・・・基剤となる成分です。ややベタベタ感が現れます。
一般に油性基剤である軟膏タイプのほうが肌への刺激性が低いメリットがあります。肌が弱い人やかぶれを起こした場合は軟膏タイプが理想です。
保存方法
スタデルムクリームは、キャップをしっかり締めて冷暗所に保管します。日光が当たるところや温度が高くなるところに保管すると品質が劣化してしまうことがあるため注意して下さい。また、冷蔵庫に保管する必要はありません。
副作用
スタデルムは副作用の心配が極めて低いです。スタデルムクリームは非ステロイド系消炎剤で、ステロイドとは違う働きによって消炎作用を示します。そのため、ステロイド使用でよく起こる副作用を心配することなく使える利点があります。
スタデルムクリームを塗った後すぐには一時的にヒリヒリ感や赤みが現れることがありますが、それらは一時的な現象で、時間の経過とともに消失するため心配する必要はありません。
ただし、肌が弱い人は軽いかぶれ(接触皮膚炎)を起こす可能性があります。また、スタデルムに対してアレルギーを起こすと塗った後にかゆみが現れ、炎症が悪化してしまうことがあります。塗って強いかゆみが現れた場合は必ず使用中止してください。
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