サーマクールのニキビ跡治療効果「皮膚の凹み・クレーター」を改善できる?

サーマクール にきび、吹き出物が強い炎症を起こして化膿したりするすと、皮膚が凹瘢痕を形成してクレーターのような状態になってしまうことがあります。

そういったニキビ痕の凹んだ皮膚とともに、しわやたるみなどの老化現象を総合的に改善する方法の一つに「サーマクール」という治療法があります。

今回はサーマクールのニキビ跡クレーターへの治療効果と、リフトアップ効果、また副作用などを解説していきます。

サーマクールとは?

サーマクールの治療風景 サーマクールとは、高周波によるエネルギーを皮膚の深い層にまで与えて真皮内のコラーゲン産生を爆発的に促し、肌のハリや弾力を高める治療法です。

真皮内のコラーゲン、エラスチンなどの組織が新たに増生されて皮膚がリフトアップし、たるみのない若々しい肌へと導きます。

このサーマクールという方法は、しわやたるみを劇的に解消できるリフトアップ治療としてトップレベルの効果を発揮します。

なお、サーマクールは世界的にも注目されているメスを使わないリフトアップ法として広く知られています。

アメリカFDA(アメリカ食品医薬品局:日本の厚生労働省にあたる機関)に2002年にも認可されていて、日本では2002~2003年ごろから各クリニックで導入されるようになってきています。

ニキビによって皮膚がクレーター状にデコボコになる要因とは?

にきび跡のクレーター まず、ニキビによってなぜ皮膚が凹んでしまうのでしょうか。

塞がった毛穴の中でニキビの原因となるアクネ菌が増殖すると、白血球(好中球)がヒドロキシラジカルなどの強力な活性酸素を発生させてアクネ菌を攻撃します。これにより、最終的にニキビの炎症が治まっていきます。

この免疫システムが働くおかげでニキビが自然に治っていくのですが、白血球(好中球)が発生させるヒドロキシラジカルなどの活性酸素は、肌に強いダメージを与えてしまいます。

そして、皮膚が破壊されて真皮のコラーゲンなどが硬く萎縮してニキビ跡のクレーター状の凹み(瘢痕)となってしまうことがあります。

コラーゲンを増やせば皮膚の凹みも少しは和らげることができるはずですが、その方法の一つがサーマクールというわけです。

サーマクールの作用原理

サーマクール サーマクールは、レーザーやIPL(光治療)などとは違い、「高周波(RF)」というエネルギーを使用した治療です。高周波は皮膚の色素に反応せず、エネルギーを皮膚の深部にまで届けることができます。(これがメリットの一つ)

高周波によって真皮層にエネルギーを届け、コラーゲン活性をもたらします。そして皮膚の凹み、しわ、たるみなどが改善されるというわけです。

皮膚は、表皮、真皮の2層の下に皮下脂肪などがある皮下層が存在しますが、サーマクールの熱エネルギーは皮下層にまで影響を及ぼすことができ、深い層からの皮膚の引き締めとリフトアップ効果を実現できます。

どんなニキビ跡に効くのか?

ニキビ跡クレーターの画像 年齢を重ねるとコラーゲンが減少してしわが目立ったり、肌のハリがなくなったりします。それと同時に、ニキビ跡の凹みも目立ってくることがあります。

特に、こめかみは年齢によってくぼんでくるようになりますが、それとニキビの凹みが重なると、かなりデコボコ感が出てくるようになります。

また、老化によってほうれい線が目立つようになり、さらにそのラインに凹みがあることで、ほうれい線がよりくっきりとでてしまうこともあります。

そういった老化によるニキビ跡のクレーター治療にサーマクールはおすすめです。コラーゲンを増加させることでしわもニキビ跡の凹みも薄くなっていくのです。

皮脂腺を破壊する効能があるといっている医療機関もある

この治療を行っている一部の皮膚科のサイトでは「サーマクールの高周波は皮脂腺を破壊する」と説明している医療機関があり、ニキビの予防にも効果があるように宣伝していたりします。ただしこれは間違いです。

サーマクールでは皮脂腺を破壊することは無理です。皮脂腺を壊すほどのエネルギーを照射すれば皮膚もヤケドしてしまいます。そんな都合の良いものではないです。

ところが、施術後に少し皮脂の分泌が少なくなったように感じることもあるのは事実です。

なお、筆者も過去にサーマクールとは違う高周波治療を受けた経験がありますが、その時は、わずかに小鼻や頬の皮脂が減ったように感じましたが、日がたつにつれて皮脂量は元に戻りました。

色素沈着やシミには効かない

や赤みなどには効果がないと考えて下さい。この治療は真皮層に大きく変化をもたらすので、真皮に入り込んだシミや毛細血管の問題にも改善に向かうように思えますが、むしろ悪化する可能性もあります。

最新のサーマクールは劇的に痛みが少ない

サーマクールは2002年に登場し、現在まで改良が重ねられて複数の機種が存在します。

初期のサーマクールは、一度の照射で高いエネルギーを皮膚に対して高密度に与える仕様であったため、麻酔をしていても非常に強い痛みやダウンタイムがある欠点がありました。

サーマクールはその後改良が重ねられて進化し、最新のサーマクールCPTでは若干エネルギーを落として分散させて照射をすることにより、痛みや副作用を劇的に軽減しています。

また、冷却装置によって表皮に対するダメージを軽減し、麻酔なしでも治療ができるようになっています。

サーマクールの効果と長所

  • サーマクールは皮膚深部に高周波による熱エネルギーを与え、皮膚の土台から引き締めてリフトアップする。
  • サーマクールの熱エネルギーにより、線維芽細胞を刺激してコラーゲンやエラスチンなどを劇的に増加させることができる。
  • サーマクールの効果は、術後から約1~6ヶ月かけてじわじわと現れます。
  • 皮膚を切らずに劇的なリフトアップ・若返り効果が期待できる。
  • 年齢による皮膚の凹凸を改善する。
  • サーマクールはにきび跡のクレーター治療というよりも、それを含むしわ、たるみなどの総合的なエイジングケアとして有効な治療です。ニキビ跡治療としての目的であれば、サーマクールの効果は低いです。
  • ニキビ痕の凹みがひどい場合は、ダーマローラーやフラクショナルレーザーなどのコラーゲン増生とともに皮膚を入れ替える効果がある治療法が理想的です。単にコラーゲン増生を促すサーマクールだけでは進行したニキビ跡クレーターを改善するのは難しいといえます。

適応症状

  • しわ、たるみ、小じわ、ちりめんじわ、ほうれい線。
  • 肌老化、エイジングケア、皮膚のリフトアップ。
  • 軽度のニキビ跡の凹み、クレーター。
  • 毛穴の開き、毛穴のたるみ、キメの乱れ、毛穴引き締め。
  • セルライト、妊娠線、肉割れ。
  • バストのリフトアップ。

サーマクールの施術内容

動画

治療内容は動画で確認したほうがわかりやすいはずです。日下部形成外科のYouTubeより。

Step1カウンセリングして肌状態を診断する。また、施術日を決める。

Step2施術日、治療前に洗顔クレンジングによって肌の汚れを落とす。

Step3照射部位を区分けするためのマーキングする。サーマクールは深部への作用が強いため、同じ部分を何度も照射しないように一つ一つブロック的に照射します。 サーマクール前のマーキング

Step4ジェルを塗ってサーマクール照射。 サーマクールの治療風景 昔の機種なら痛みがありますが、改良された機種サーマクールCPTでは我慢できないような痛みはほとんどありません。ピリピリしたり熱を感じるくらいです。

Step5照射後はジェルを取って冷却剤などで皮膚を冷やし、クールダウンさせて終了です。

アフターケア

  • サーマクール施術後は紫外線対策をしましょう。
  • 施術後は肌に負担をかけないようにしましょう。施術から数日はマッサージなどは避けましょう。
  • しっかりと保湿スキンケアをこころがけましょう。肌水分が高くなることで肌の再生力が高くなります。

治療時間の目安

サーマクールの施術時間は顔全体の施術で30分程度の照射時間です。

治療回数の目安

サーマクールは、1回の施術で大きな効果が現れます。

サーマクールは短期間に何度も行うような施術ではなく、効果も1~6か月かけてじわじわ現れるため、2回目に行う場合は約6ヶ月以上の間隔をあけることが一般的です。

治療料金の目安

サーマクールの治療価格は、病院によって大きく異なりますが顔全体で1回あたり10万円程度が目安です。(ショット数によって違いがあります)。

サーマクールの機器の価格が高いことや、人気の治療であることから一般に金額もわりと高額になります。

サーマクールの副作用と注意点

  • サーマクールの術後に皮膚に赤みがでることがあります。時間の経過とともに改善します。
  • 妊娠中はデリケートな時期ですので基本的に治療を受けることができません。出産後、落ち着いてから行いましょう。
  • 強い日焼け、湿疹、肌荒れ、皮膚病などがある場合、医師の判断によっては施術を受けられないケースがあります。特に敏感肌やアトピー肌のようなデリケートな肌においてはサーマクールのような治療は不向きです。
  • 体質により、ケロイド(肥厚性瘢痕)を起こす可能性があります。例えば、ニキビによってケロイドができたことがある人はこの治療は適していません。

結果的に肌の老化が進行してしまう可能性がある

コラーゲンが劇的に増加するということは、真皮層の線維芽細胞が極端に活性化したということ。それは一方で線維芽細胞を消耗させたともいえます。

こういったリフトアップ治療を何度も行った後に線維芽細胞の寿命を調べてみると、通常よりも寿命が短くなっていたという報告もあるようです。

細胞寿命が短くなっていたというのは、テロメアという細胞の核内にある染色体の末端部分が短くなっていたことが確認されたことによるもの。

サーマクールのような治療を繰り返せば、細胞分裂も繰り返すことになり、結果的に細胞が疲弊して高齢になると一気にシワが増えてしまうこともあるかもしれません。