唐辛子やワサビ、カラシなどの刺激物がニキビ悪化原因になることも

唐辛子の画像 香辛料をたくさん摂取することでニキビが悪化しやすくなることがあります。

その刺激物の代表的なものがトウガラシやワサビ、カラシなどです。今回は刺激物によるニキビへの影響についてです。

トウガラシの特徴

唐辛子(乾燥)の栄養成分(10gあたり、約10本)

まずは唐辛子の栄養価をみていきます。以下は乾燥させた唐辛子の可食部10gあたりの数値です。

エネルギーと三大栄養素

エネルギー(カロリー):34kcal、炭水化物:5.8g、たんぱく質:1.5g、脂質:1.2g

ビタミン

ビタミンA:150μg、ビタミンB1:0.06mg、ビタミンB2:0.14mg、ビタミンB6:0.38mg、ビタミンB12:0μg、ナイアシン:1.4mg、パントテン酸:0.38mg、葉酸:3.0μg、ビタミンC:0.1mg、ビタミンE:2.9mg。

ミネラル

カルシウム:7.4mg、リン:26mg、マグネシウム:19.0mg、カリウム:280mg、ナトリウム:1.9mg、鉄:0.68mg、亜鉛:0.16mg、 銅:0.08mg

その他

食物繊維:4.6g、カプサイシン:30~40mg

唐辛子の栄養成分だけを見ると、とても健康に良い食べ物のように思えます。でも、結局は刺激物ですのでいろいろな問題があるのです。

トウガラシに含まれるカプサイシンが問題になる

トウガラシを食べると、汗をかいたり、体温が上がったりしますが、その作用はトウガラシに含まれる「カプサイシン」という成分によるものです。

カプサイシンは唐辛子の辛味をもたらす成分で、この成分によって人体は様々な影響を受けます。

カプサイシンは交感神経を活性化させる

ポイント 自律神経には交感神経と副交感神経の2つがあり、交感神経は人間が活動的になっているときに活発に働き、一方、副交感神経は身体がリラックスしている時に活動的になります。

トウガラシに含まれるカプサイシンは、2種類の自律神経のうち、交感神経を活性化させる働きがあります。トウガラシには発汗作用や体温上昇作用などがありますが、それは含有成分のカプサイシンが交感神経を刺激することによるものです。

カプサイシンを摂取すると交感神経が活性化してアドレナリンというホルモンが分泌され、エネルギー代謝が促進されます。

それによって体脂肪が燃焼されやすくなったり、体温が上昇したり、発汗が促されたりします。

トウガラシは皮脂分泌を増加させる?

ニキビの画像 トウガラシをたくさん摂取すると汗がたくさん出るようになります。これは唐辛子に含まれるカプサイシンによって交感神経系が刺激されたことによるものですが、例外なく皮脂分泌も増加すると考えられます。

一般に代謝を高める食品を摂取すると、それに比例して皮脂分泌も活発になります。

カプサイシンはサブスタンスPの発生を促す

サブスタンスPが皮脂を増加させる写真 唐辛子に含まれるカプサイシンにはサブスタンスPという伝達物質の発生を促します。サブスタンスPとは、人間の生理機能を維持すために働く伝達物質の一つです。

そのサブスタンスPは皮脂腺に作用して皮脂分泌を促す働きがあることがわかっています。

皮脂が増加するほどニキビができやすくなるといわれていますが、それは皮脂の増加によって皮脂をエサにする皮膚常在細菌が皮脂を分解して遊離脂肪酸を作り出し、それが毛穴周辺を刺激することで毛穴づまりを引き起こすと考えられているためです。

ニキビができやすい時期やニキビが悪化している場合は、トウガラシのようなカプサイシンを含んだ刺激物はできるだけ控えたほうが良さそうです。

従来までは交感神経と皮脂分泌の関係ははっきりとわかっていませんでしたが、何らかの物理的刺激・ストレスによって交感神経系が活発になることで神経伝達物質が発生し、それが皮脂腺に作用することで皮脂が増加することがあるといわれています。

サブスタンスPは炎症性サイトカインの発生を促す

ニキビが発生する時は、炎症性サイトカインが発生し、それが様々な炎症をもたらす物質を発生させることで腫れが大きくなっていくのですが、サブスタンスPはその炎症性サイトカインの発生を促す作用があるとされています。

唐辛子に含まれるカプサイシンはそのサブスタンスPを活性化させ、その結果、炎症性サイトカインの発生を促し、ニキビを悪化させる原因となってしまう可能性があるということです。

サブスタンスPはヒスタミンの発生を促す

カプサイシンによって発生するサブスタンスPはヒスタミンの放出を促す作用があります。ヒスタミンとは、炎症反応やかゆみなどを大きくする生理活性物質の一つで、アレルギーやアトピー性皮膚炎などの症状を悪化させる物質です。

ヒスタミンの放出が多くなると、ニキビの炎症反応が大きくなったり、にきびにかゆみが現れて治りが長引いたりする可能性があります。

アトピー性皮膚炎などにおいても、唐辛子などの刺激物によってかゆみがひどくなったりすることがあります。ニキビにおいても、悪化して入る人や、ニキビとともにアレルギー体質だったりする場合は唐辛子の摂取に注意して下さい。

カプサイシンは脳や消化器系に悪影響?

胃腸の写真 カプサイシンを過剰に摂取すると脳細胞、脳機能に悪影響をもたらす可能性があると指摘されています。

また、刺激物なので消化器系にも悪影響を及ぼすことがあります。例えば、胃が悪い人では唐辛子の摂取で胃炎や胃潰瘍が悪化したりします。

また、カプサイシンが腸管を刺激することで下痢を引き起こすこともあります。これは元々下痢体質の人ほど起こりやすいようです。カプサイシンは、適度の量を摂取する場合は健康効果も多いですが、一度に過剰に摂取するほど健康に悪影響をもたらす作用が強くなります。

ワサビやカラシでも皮脂が増加する?

ワサビ トウガラシと同じ香辛料の一つにワサビやカラシがありますが、それらの辛味をもたらす成分は共に「アリルイソチオシアネート」という物質によるものです。

そのアリルイソチオシアネートにも交感神経を刺激して汗や皮脂などの分泌物を促す作用があると考えられています。

ワサビやカラシなどで皮脂や汗が増加すると一般にニキビができやすくなります。もともと脂性肌でニキビができやすい人や、湿疹・皮膚炎がある肌がデリケートな時期は唐辛子やワサビ、カラシなどの刺激物の摂取は控えたほうが良いかもしれません。